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ブローハン聡の セカイ、おすそわけ日記vol.1「今年のこと」

勝手に覗いたらダメなもの、と言われてまず思い浮かべるものは、他人のスマホや手帳などではないだろうか。自分が許可なく見られたらイヤなもの、で考えたほうがわかりやすいかもしれない。
やましいことがなくたって、なんとな〜く恥ずかしい。それは、スマホから送られたメッセージやSNSに投稿した言葉・写真、手帳に書き込んだ予定やメモといった類の記録は、それを読んだり見たりしただけで持ち主のこころがありありと映しだされるからではないだろうか?
どんなできことを、どんな風に受け止め、どう自分のなかで血肉としていくか……そうした持ち主の"思想"が、スマホや手帳といった持ち物には詰めこまれている。

……

でも正直、気になりませんか。だれかの"思想"って。
日常のどんな景色を拾って、そこからどんなことを感じたり考えたりしながら生きているのか、とか。
スマホや手帳(のなかに書かれていること)は勝手に覗こうとするからいけないのであって、見せてもらえるなら堂々と見たくないですか? 私なら見ます。
ということで、私がいま最も"思想"を覗いてみたい方にお声がけしたところ、なんとこのnoteで月に1回、日記を書いていただけることになりました。題して、「セカイ、おすそわけ日記」です。
各々の価値観を通すことで異なって見えている世のなか(=セカイ)を、おすそわけしてもらいましょう。


🌝では、よろしくお願いします。

🗣️はじめまして、ブローハン聡(さとし)です。
僕は啓発活動や情報発信を中心に、さまざまな活動をしています。
例えば、児童養護施設の出身者3人組でお届けするYouTubeチャンネル「THREE FLAGS~希望の狼煙~」の運営、俳優・サヘルローズさんが初監督を務めた映画『花束』でのキャスト出演、こども家庭庁の審議会に出席したり若者検討委員を務めるほか、講演会への登壇の機会もあります。

YouTubeチャンネル「THREE FLAGS~希望の狼煙~」
映画『花束』

肩書きで表現すると「活動家」となるかもしれませんが、ひとつひとつの活動には「人生の主人公は自分自身」「誰もが、いつでもリスタートできる」と思ってもらえるきっかけになれたら、という思いがあります。
そのなかでも特に力を注いでいるのは、僕が代表理事を務めている「一般社団法人コンパスナビ」での活動です。これは、ひとことで言えば「若者を全力で応援する団体」です。
当初は企業のCSV事業として、児童養護施設を出る子どもたちを対象に、自動車運転免許の取得にかかる費用の助成を行い、免許証といういわば"最強の身分証"を取ってもらう、というところからスタートしました。

そのほかにも、施設を離れたあとのサポートとして、就労の支援や住まい探し、生活に困窮した若者の再建支援などに取り組んできました。
また今年の4月からは、児童養護施設にいる子だけではなく、施設に入れなかった子どもたちや、刑務所を出た若者にも支援の対象範囲を広げました。そこまでやるの? と思われるかもしれませんが、若者にとって明るい未来へ繋がるのなら、どんな挑戦も惜しみません。

活動の背景には、自分自身の経験があります。僕は無戸籍・無国籍で出生し、養父からの暴力により11歳から19歳までの8年間、児童養護施設で育ちました。また、施設を離れたあとにも頼れる身内がいないことで苦労し、何度も挫折しました。そこで、同じような境遇にある子どもたちが、大人の事情に振り回されてしまう現状に対して何かできないか、と考え、現在の活動へと繋がっています。

プライベートでは、自宅にピアノやギターが置いてあるので、普段から思い立ったときに弾いています。体を動かすことも好きで、以前はストリートバスケやスケボーなど、よくやっていました。最近は、観葉植物をたくさん育てていて、気付いたときには自宅がジャングル状態になっていました(笑)
あとはペットをたくさん飼っているので、ワンちゃんたちの洋服を奥さんと一緒に作ったり、DIYをしたり。あとはゲームも好きで……挙げ始めたらキリがないほど趣味は多いほうです。

🌝 あまりにもかわいい……

🗣️このnote連載では、コンパスナビでの活動についてはもちろん、僕が日々を過ごすなかで目にしたことや耳にしたこと、そこから感じとったことを、日記のような感覚で書いていけたらいいなと思っています。よろしくお願いします!

🌝 記念すべき第1回は、「今年のこと」をテーマに、活動の幅を広げていった2024年を振り返ります。


〈今年のこと〉
そうか、もう12月か。今年は、紅葉をほとんど見ることなくクリスマスシーズンを迎えてしまった。去年は、飼っているペットたちも一緒に泊まれるグランピング施設に出かけて、その近くの大きな公園できれいな紅葉を見られたんだけど、今年は本当に忙しかった。それで、気づいたら秋を感じることなくもう年の瀬……という感じ。

去年の思い出

クリスマスや年末年始を目前にした今の時期は、家族と過ごす場面も増えるから、一部の若者が孤立しやすい月でもある。年末になると行政サービスが休止してしまうので、何かあったときすぐに外部と繋がることができないことも、その要因かもしれない。あえてこの期間に集中して活動するような団体さんも増えてはいるけれど、若者が寂しさを抱える時期だということは、毎年感じながら過ごしている。

昔、「孤立」と「孤独」というそれぞれの言葉の意味を調べたことがある。僕は、自分自身が何か/どこかに所属することは簡単にできるけれど、そこにずっといると逆にしんどくなったりするから、「孤独」はけっこう好き。でもそれは「孤立」しているわけではなくて、僕にとっては自分の世界を謳歌できるもの、という感覚が強い。「孤独」って寂しいもの、みたいなイメージがあるけど、それは「孤立」の意味合いに近いのかもしれない。
支援するべきは、「孤立」した若者だ。


僕自身の1年間を振り返る。小さな変化で言えば、1月1日から日記をつけ始めた。たまにサボったりすることはあっても、一応、毎日続けている。1行しか書けない日があったとしても、毎日欠かさずやる、というのが自分のなかで新しいチャレンジだったと感じている。小さなことからでも変化していきたいという思いで始めて、12月まで継続できたことは達成感にも繋がっていて、人間的も成長できた気がする。
仕事の面では、10月からコンパスナビの代表理事になったことで、リーダーとしてチームを動かしていく経験が自分にとって新たなチャレンジだったと言える。実質的な立場としては去年から変わらないけれど、肩書きとしても正式に代表となったことで、組織作りみたいなところに自然と目が向くようになった。意識が「個」ではなく、もっと大きな枠のなかで動いていく感覚、そこをもがきながら走ってきた。
ただ、たしかな手応えは感じているので、自身の小さな変化から、自分の枠を越えた大きな変化まで、それらがすべて繋がっていった1年間だった。
今年のことで言えばもうひとつ。コンパスナビでの活動範囲が徐々に広がり、関わりを持つ方々は全国規模に広がっている一方で、地域の方々との繋がりが希薄であったことが昨年からの課題だった。僕たちは埼玉県の浦和に拠点を置いて活動しているものの、その地域の方々には団体の存在やその活動内容をあまり知ってもらえていなかったのだ。それならば、近いところから目を向けようということで、今年は浦和にお住まいの皆さんとタッグを組んで講演会を開催した。 それ以降も、一度きりの熱で終わらせることがないよう、水がじわじわ浸透していくようなイメージで動いてきたつもりだ。そうした意味でも、新たな1歩を踏み出せたような感覚があったので、これも今年を象徴するできごとのひとつだったように思う。


来年の目標。じつは毎年、「飛躍」を自分自身のキーワードとして掲げていて、ずっと飛び続けている。だから着地してない、笑。 でも来年も変わらず飛び続けたい、チャレンジしたい、という気持ちは変わらない。
これまでにも、YouTubeやこのnoteのようなメディアを通して関心を持ってもらったり、今も上映中の映画にキャストとして出演していたりと、「福祉の枠を越えた発信」を大切にしながら活動の幅を広げてきた。これは来年以降も継続していきたい。
それから、所属しているコンパスナビという団体を育てていくことも大きな目標だ。内部にいる自分たちだけが頑張るのではなくて、その地域の方々も含めて一緒に動ける人を増やしていきたい。そうすればもっと、活動の輪も広がっていくのではないだろうか。
今年感じた多くの手応えをさらに確かなものにできるよう、来年も飛躍できたらと思う。

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