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今年も一年ありがとうございました

今年も残すところ2日となりました。

振り返ってみて、今年のnoteの記事は中身が薄いものが多かったなぁと反省しているところです。ただ一方で率直に言うならば、当noteの中国語の翻訳理論に関する解説も、ほぼ語りつくしたかなという感があります。現にここ数カ月は過去の記事をリメイクしたみたいな感じになってしまっていて、自分としては忸怩たる思いでもありました。

まぁ翻訳理論というのは、語っていけばいつかはネタも尽きるというわけで、頭に叩き込んだ後はひたすら実践あるのみです。実践の中から自分なりのノウハウを体にしみ込ませるほかありません。

「どのようにしたら精度の高い翻訳文を訳出できるか」というノウハウを、実践を通じて理解していく。

当noteもこのテーマに持続的に取り組んでいく必要があると、私自身痛感しています。このため、来年からは実際のニュース原稿を例文として、「より実践に近い」形式で解説記事を作っていきたいなと思っています。

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実践をテーマとした取り組みは、昨年の夏ごろにも試験的にやりました。あらかじめ当noteを通じて課題文を提示し、スペースを通じて課題文の翻訳の解説を行うというものでした。

最初はなかなか大きな反応でしたが、回を重ねることに反応は薄くなり、スペースを聞いてくださる人は多くて数十人、末期のころには数人という結果でした。今から考えても、やはりあまり理想的ではないシステムだったと思っています。同時に中日の翻訳に興味がある人はあまり多くはないんだなと痛感もしました。

この反省点からもやはり、一番理想的なのは中日のニュース翻訳のレベル向上に興味がある人たちのみが集まって、私が主催の「中国語→日本語のニュース翻訳サークル」をつくり、リアルで定期的に勉強会を行うということだと思っています。

もし興味がある方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。ある程度人数があつまれば、私の主催の下で勉強会などを検討したいと思っています。

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ここのところ、翻訳界隈の環境も劇的に変わりつつあります。

私が近年一番気になっているのはやはり、AI翻訳の台頭でしょう。Xでもnoteでも、中国語の文章を「ChatGPTにかけてみました」みたいなことをしている人がたくさんいらっしゃいます。翻訳の精度もかなり向上しており、ある程度「読める日本語文」を出せるようになってきているみたいです。こういうのを見ていると「われわれ翻訳者の存在意義ってなんだろう」とつくづく思ってしまいます。

ただ、「みたいです」と書いた通り、私はChatGPTに頼って翻訳をしたことは一度もありません。日常の本業はもちろんのこと、Xでの投稿も、、です。

理由は簡単です。ChatGPTに頼るよりも、自身が訳出した方が速いからです。ChatGPTで訳文を作った場合は、それをそのまま世に出すのではなく、人の手で見直しをするという工程を挟まなければなりません。その工程がかなりめんどくさい。なあなあでやるなら構わないのですが、お金をいただいてやる以上は、ちゃんとした日本語文をお届けするのがプロとしての役目だと思っているので手抜きはできないと考えています。

Xでの投稿も同じです。ざっとみて重要部分を訳出する手間暇は、実はChatGPTを使うのとあまり変わりません。

・・そして何よりも。「自分のためにならない」からです。ChatGPTを使えば速く訳文を生成できるかもしれませんが、自分の中国語力・翻訳力アップには1ミリも貢献できません。

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正直ChatGPTを使わない私のような人間はアナログなのかもしれません。私はあと十何年後に退職するでしょうが、じきにAI翻訳が生身の翻訳を追い越すときが来ます。その時にわれわれ翻訳家は何をすべきなのでしょうか。

正直私自身は、独創性を求められないプロの専業ニュース翻訳者は遅かれ早かれ淘汰される運命にあるのかなと思っています。生き残るとするならば、創造的な翻訳が求められる文芸翻訳などでしょう。

でも一方で翻訳を専業としないジャーナリストなど、情報を扱う業種の人たちは、たとえAIが発達したとしても「翻訳スキル」を持っておいたほうがいい可能性が高いです。

AIが発達する中で、「フェイク」の問題も必ず出てきます。AIといっても、それを操作するのは生身の人間ですから、どうしてもその本人のイデオロギーや思想、考え方などに影響されてしまうリスクが出てくるのです。

そのようなリスクを回避するためにも、報道界隈の人たちは一次情報としての原文をちゃんと咀嚼して理解できるスキルが必須になってくるでしょう。

よって、こういう人たちに「翻訳スキル」を指南できる人材というのは生き残れるかもしれません。

そういったことを見据えながら、私は来年も当noteで「中国メディアの翻訳のノウハウ」を発信し続けていきたいと思います。


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