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小さな本屋さんで出会った1冊の本

とある本屋さんへ行きました。

店主の方が自分の目で選んだ本だけが置いてある街の小さな本屋さん。
まだ開店して2か月ほどです。

お店の開店準備をしているときに、店主の方とひょんなことから知り合うことができ、クラウドファンディングにも協力させてもらいました。開店して半月ほど経った頃、お邪魔してきました。

町の小さな本屋さんは私が小さいころには商店街には必ずありました。けれど、気づけば大きな書店で本を買うことが当たり前になり、小さな書店はいつの間にかなくなっていました。

店主の方は自分が住んだこの街に、自分があったら良いなと思う本屋を開きたいという想いで開店を決めたそうです。

自分が欲しい本は大きな書店では売ってないことが多い。地方の小さな出版社から出ている素敵な本はたくさんある。それをお店に並べ、お客さんに手に取ってもらいたいし、ここにしかない本を並べたいという想いからオープンした街の小さな本屋さん。

本が好きで開店を決めたんだと思いますが、私は本を通しての人との繋がりを大切にしたいんだろうなという店主の方の想いを感じました。

ぜひ一度皆さんに行ってもらいたい素敵な本屋さんです。


そんな小さな本屋さんで手に取った1冊の本。

その本を読み終わったと同時に、「本の感想を聞かせてくださいね」という店主さんの言葉を思い出す。

久しぶりに書いてみるかなぁ、読書感想文。

学生時代は大嫌いだった読書感想文。
できるだけ薄い本を選んで書いた読書感想文。
3分の1はあらすじで埋めた読書感想文。
夏休みの最後の最後まで残っていた宿題の読書感想文。

そんな学生時代を思い出し、大人になった今だから書ける読書感想文を書いてみよう。

そう決めた後、もう1度最初から再読を始め、気になる部分に付箋を付けながら読み進めた。

↓ その証拠。

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もうね、脳が劣化してきてますのでね。。。
読んでて共感!って思っても、次の日には忘れちゃうのですよ。。。

自分の仕事の在り方を考える


1人で出版社『夏葉社』を立ち上げ、本を作っている島田さんが書いた本。

『古くて あたらしい仕事』 島田 潤一郎 著

仕事への想いを綴っている本ですが、その想いに共感することばかりでした。

どういう気持ちで仕事をしているのか。
誰のために仕事をしているのか。
仕事で関わる人達とどう向き合っていたいか。
自分はどうやって仕事をしていきたいのか。
そして、大切な人たちとどう関わっていくか。

改めて考えた本でした。

パーソナル秘書として仕事をいただいている今、これから先どう仕事をしていくのか、私にあったやり方は何なのかを考えるようになりました。そんなときに読んだものだから、自分の仕事に対するイメージが一気に膨らんでいきました。

この本の島田さんは、関わる『人』たちを大切にしているように感じました。その点がとても共感できました。

” 本というものは、果たして、一対一の手紙に似ているのか、一対複数の手紙に似ているのか、どちらだろうか、と思う。
ふつうに考えれば、一対複数の手紙なのだろうが、ぼくは一対一の手紙のような本をつくりたいと思う。
具体的な読者の顔を想像し、よく知る書店員さんひとりひとりを思いながら作る本。
親密で、私信のような本。
仕事もまた同じ。
一対一の関係でしか伝えられないことがある。
効率的に、合理的に仕事を進めようと思えば思うほど、ひとりひとりの個人の顔が見えなくなってくる。” (本より引用)

大きな会社になってくればくるほど、間に多くの人が関わり、大きな事業を展開できる。それは大きな会社の強みです。

しかし、人が多くなればなるほど、そこに関わる人の顔はだんだんと薄れていく気がするのです。(これは私の個人的な感覚ですので、決して皆さんがそうとは言えません)

私はいつも顔が見える仕事がしたいと思っています。実際に顔を見てということではなく、この人と仕事をしているという実感を感じながら仕事をしたいんです。

この本を読んで、そう改めて思いました。

相手が見えるからこそ分かる癖やリズム、それを感じながらどうフォローしていくかを考えるやり方が私には合っていると感じます。だからといって、距離を詰めすぎず、ほどよい距離感で相手の環境をすっと整える。。。
う~ん、これができるようになりたいなぁ。。。

”  一冊目の本が売れてくれば、二冊目の本も置いてくれるかもしれない。それで二冊目の本が売れてくれれば、また三冊目の本も置いてくれるかもしれない。その先にあるのは、「その本の著者の名前は知らないですが、島田さんがいいと思ってるんですよね? だとしたら、置いてみます。」という、思いもよらぬ反応だ。
 それはマーケティングの世界というよりは、信頼とか、そういった類いの話だと思う ” 
(本より引用)

私もこんな風に、他の誰でもなくだんじょうさんにお願いしたいと思われたなら本望だなぁ。。。

仕事は結局のところ、人と人との信頼関係の上で成り立っているんだと思います。あなたににお願いしたい、あなたに任せておけば大丈夫というお客様からの信頼。お客様の信頼に応えようとする受け手側のお客様への信頼。

その信頼は最初から得られるものではなく、積み重ねていくものなんでしょうね。

最初の依頼を丁寧にこなす。その仕事で小さな信用を相手が感じ、次の仕事を任せようと思ってもらう。そういった信用をすこしづつ積み重ねて、お互いの信頼関係を築き上げていくことで仕事は成り立っているんだと思います。

最初から得られる信頼はそうそうありません。続けていくからこそ、続けているからこそ、積み重なっていくものなのかもしれません。

自分の持っているもの以上のものは出せない


今ある自分の実力は、今までの経験から得たものでしかなく、自分の力を過信してしまうと、結局どこかでひずみが出てしまう。

”  重要なのは自分の能力を過大評価しないこと。
 かといって見くびらないこと。
 だれかになろうとしないこと。
 これまで培ってきた経験の延長線上で、すべてを考えるということ。”
(本より引用)

この文章も共感しっぱなしでした。

若い時は、あの人のようになりたい、どうしてあの人のようにできないんだろうと人と比べたりして落ち込んだりしてましたが、結局のところ、自分の手の中にあるものでしか勝負はできないんだなと今は痛感しています。

でも、はっとしたのが、2行目の『かといって見くびらないこと』。

大きな壁にぶつかったとき、自分には無理だとくるりと反転して逃げ出したくなってしまう。そんなとき、『できない』ではなく、自分の今の実力でなんとかならないか、今までの経験値を駆使すればできるのではないかと、自分自身を信じることも大切だなと背筋がピシっとなりました。

誰でもない、自分の力を信じるしか乗り越える方法はないですもんね。

今までの経験が自分の実力というのもそうですが、今ある人間関係も自分の人との関わりの結果なのだろうとも思います。自分はどう相手と接してきたのだろうか、どう関わっていきたいのだろうかと改めて考えています。

なにより周りの人たちを信じることも大切なんでしょうね。自分のできることなんてほんの少しです。けれど、そのほんの少しを持ち寄って、世の中のいろんなことが出来上がっているんだろうなと、今いただいている仕事をしていて思います。

自分の仕事のスタイルを考える。


師匠に言われた言葉を思い出しました。

「だんじょうさんは、大々的に宣伝して有名になるわけじゃなく、一人で切り盛りして口コミでお客さんがくるラーメン屋さんみたいなやり方になるんでしょうね。」

そうですね、そこが私の理想かもしれません。

有名になりたいわけでもありません。スポットライトを浴びたいわけではありません。むしろ、黒子に徹したい。。。

かといって、一人ですべてをこなすには限界があります。いつかは少数精鋭のチームができればと思っています。

昨年から蒔き続けた種が、ちょっとづつ芽を出し、成長させるための2020年。今年はどれだけ成長させられるかが課題の年。

” たいせつなのは、待つことだ。
自分がつくったものを、読者を信じて、できるだけ長いあいだ待つこと。 自分が作った商品の価値を信じること。自分の仕事をいたずらに短期決戦の場に持ち込まず、五年、十年というスパンで自分の仕事を見ること。”
(本より引用)

一気に成長することはまず無理な話で。たとえあったとしても、それを長続きさせることはとても難しく。。。

長いスパンでやっていこうと思ったら、結果が出るまである程度の期間は必要だし、それなりに我慢も必要です。伸び悩むこともあるし、うまくいかないことだってあります。

続けることが大切。でも、ただ続ければいいわけでもない気もします。芯の部分はぶれないものをもちつつ、その時に合わせて形を変えていくことが続けていくコツかなとも思ってます。

自分がどうなりたいか、どう在りたいかが、まだはっきりとは確立できていないけれど、島田さんの本はそんな私にヒントをくれた気がします。

自分の行き先が分からなくなったとき、また読み返したくなるであろう本でした。

本によって普段考えないことに想いを巡らせる

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本を読むといつもとは違う所に思考が及びます。

” 本を読んでいるあいだは、いつも、著者の言葉を借りて、その著者の文脈で、そのなかに書いてあることについて考えている。
  だから、ふだんの自分の頭では考えられないことや、日々の生活とはほど遠い、大きな物事についても考えることができる。
(中略)
  もちろん、しばらくすれば、そのほとんどはすっぽりと抜け落ちて、いつもの平凡な自分に戻る。
  けれど、澱のようになにかは残っている。
  その何かを手がかりにして、前に進む。” 
(本より引用)

何かのヒントを求めて本を読む。
違う世界を感じたくて本を読む
ちょっとした気分転換に本を読む。
人に勧められたから本を読む。

本を読む理由は様々で、意図して手に取る本もあれば、何気なく手に取る本もあります。

しかし、読み始めれば、その世界に自分の思考が入り込み、疑似体験することができるのが本の良さなのだと思います。

本の一文に胸躍らされたり、考え込んだり、共感したり、涙したり・・・。
頭の中で繰り広げられる世界は、様々な感情を読み手に残していきます。

島田さんが書いているように、しばらくすれば読んだ内容をすっかり忘れてしまうことが多いけれど、ふっとしたときに読んだ時の感情や、思考が呼び覚まされることもしばしばあります。

澱みのように蓄積されたものが、たまにかき混ぜられて、ふわっと頭の中をくすぐる。そして、その余韻を感じながらまた思案する。

自分の知識なんてほんの少しで、世の中の全てを知ることは不可能だけれど、こうやって本を読むことで知らないことを知ることができる、感じることができる、思案することができるのが本の良さでもあります。

本の虫というほどたくさん本を読んでいるわけではないけれど、こうやって読んだ後にもう一度読み返したいと思える本に出会えたときはうれしく思います。好きな本がまた1冊増えました。

冒頭で紹介した小さな本屋さん。

今、こういったこだわりを持った小さな本屋さんを、あちこちで見かけるようになっているみたいです。今回読んだ本の中でも著書の島田さんがいくつか紹介しています。

皆さんの街にも素敵な小さな本屋さんがあるかもしれませんよ。

さて、また新しい出会いを求めて、次の本を買いに行こう。

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