キリエのうた をみた
もちろんアイナ・ジ・エンド目当てだ。
主演なので当たり前だけどアイナ・ジ・エンドを愛でる映画で
歌声を堪能する映画であることは間違いない。
がしかし、ちょっといろいろものが詰め込まれてて重い
多分そのへんが、岩井俊二映画なんだろう
アーティストが主演でいろいろ重いといえば
鬱映画で有名な「ダンサーインザダーク」だ
Bjorkのアイドル映画だと思って見に行ったのに、明るい気持ちで帰れなかったのを覚えてる。
この映画もそれに近い。キリエの歌声は素晴らしいけど
アイナ・ジ・エンドについて
昔WOWOWでBiSHというアイドルのライブやってて、一人だけ異常に歌が上手い子がいるなーと思ったのが最初の印象だった。
その時は、それだけで2022年ぐらいに解散するとかなんとか言い出してか
TVでもよく出るようになってから改めてハマった。
TVでもアイナ・ジ・エンドだけ注目されるようになって、「あーあー世間に見つかっちゃったねー」と思った。
それからの快進撃は、ご存知ことかと思います。
歌声だけで感動を与える事ができる。
そんな天性の才能をお持ちの方だ。
BiSH時代もほとんど肌の露出はなかったように思うけど
今作では、すごく頑張っていた(ストーリーとして不自然ではなかったけど)
BiSH解散前に撮影して、上映後いろんな賞を取っていたけど
機会があったらまた映画に出るんだろうか?
Bjorkはダンサー・イン・ザ・ダークを撮った後、
「映画は懲り懲りもう出ないわ」って言ってたらしいですが.…
岩井俊二監督について
スワロウテイルは大好きで定期的に見直す
でも他の映画はそうでもない。
四月物語とラストレターは見た(松たか子が好きなのだ)
リリィ・シュシュのすべては知り合いが面白くなかったと言ってたので見てない
ピクニックは見た
そのぐらいなので僕は岩井俊二信者では全然ない。
でも、前の「ラストレター」に中井美穂がでてたように
江口洋介がチョイ役で出て来たりして
この監督の映画に出たい人は多いんだろうなっていう
監督の凄さはわかってるつもり。
広瀬すずについて
この人は天才で主演でもそうでなくても圧倒的な存在感がある。
だから、時々もったいない使われ方をする「広瀬すずの無駄遣いだ」って思う。
今作は、思ったほどずっとは出てこなかったけどやっぱり圧倒的な存在感だ。監督作としては前作のラストレターから続きで出演されてますが
今回はどっちかと言うと
でも、最後はスワローテイルと同じだよね
あーその伏線としての江口洋介か
松村北斗について
他の活動をあんまり存じ上げてないのですが、
この映画では、とても重要な役で
過去を引きずる複雑な心境の変化を上手く演じていた
この役柄がいないと話がまとまらなかった気がする
映画の感想
よそ者感がいっぱいのときに「異邦人」歌ったり
二人でずっといたいときに「私は泣かないから、このまま一人にして…サヨナラ、サヨナラ」と歌ったり
それだけでもいい。とてもいい
「この状況は看過できないんですよ」
たびたび問題になってる行政の杓子定規な対応で
切り裂かれる関係
児童相談所とかのいろんな課題が含まれている
結婚詐欺を繰り返しるイッコの生活は
頂き女子りりちゃんを想起させるが上映はニュースになる前だから
先見の明はすごい
311については、ネガティブなことも含めて10数年たってやっと映画で表現できようになってきたのだろう
直接的な表現でいうと「風の電話」がすごく好きだ。
るかも同じようにずっと抱えて生きていかなといけない。
「オッペンハイマー」で二本への原発投下のシーンが生ぬるいって議論になったけど、この映画でも津波のシーンは、音楽と映像で衝撃的ではなくかつエモーショナルに上手に表現している。
とてもいい映画表現は直接的じゃなくていいのだ。
お姉ちゃん役はアイナじゃなくても良かったんじゃないの
って思ったけど、最後にそっくりに成長した顔を見ながら夏彦が懺悔しながら泣くシーンに繋がるのでしかたない
最後の神社のシーンで「何おねがいしたの?」って聞かれて
キリエは「祈ってた」という
キリスト教系の孤児院で育ったるかは
神へはお願いするんじゃなくて祈るものだと思ってる
実際 手を合わせるんじゃなく
手を組んで祈りのポーズをしている
ほかにも教会でのシーンは心を打つ
プロデューサーが最後までインチキくさい。
そんな大人たちの中でイッコは生きてきたんだっていう象徴的なキャラ
結局そんないんちくくさいプロデューサーの手助けがないのでエンドロール開けの漫画喫茶のシーンに繋がるのだろう
僕は、結局何も起こらなかったって映画が好きです。
この映画もエンドロールのあとの映像を見るに何も物事が好転していない感じです。
がしかし、映画なんだから一瞬でもいい思いをできるようなシーンは作ってくれないもんなのか、ラストの路上フェスにしてもそれで生活が上向くわけではない。
厳しい現実を伝える内容になっている。
「スワロウテイル」好きが「ラスタレター」見た後にも思ったけど、ちょっとした心境の変化はあれど現実は大きくかわからない。
そんなのとこも最近の監督の意向なんだろう。
映画の後に原作小説も読んでみた
映画とは組み立ても違うし、他の登場人物のことも詳しく書かれている。特に真緒里からイッコになるまでの過程とか、映画は時間の制限もあるし、キリエに焦点を当てて作られてるのでカットされたのだろう。
あとは、なんでキリエは電車に乗ってるのかとか、なぜキックボクサーの武尊がイッコが襲われるとこで出てくるのかとか
小説を読むと「なるほどね」って納得できる。
神社の件もちゃんと説明がされてた。
それと、名前の由来はどっかで説明してほしかったな。
それと、映画としてカットしたんだろうけど
最後の漫画喫茶のシーンはすごく重要で
隣の部屋で聞いてた人が、キリエのうたに感銘をうけて付き人になるという終章になっていて、僕が想像してたくらい未来の話にはなってなくて、映画でももうちょっと説明してくれよと思った。
とはいえ、映画は、映像と音楽で心を揺れ動かすものなので、311の表現や教会での涙とか文字では伝えられない表現方法を持っている。
なによりアイナ・ジ・エンドの歌声が、この映画の中心だ。
アイナ・ジ・エンドに監督が出会って、惚れ込んで作られた映画で
キリエを通して歌声を一人でも多くの人に聞いてほしいという思いは伝わる。