《28》左官工業業界の事例(㈲原田左官工業所)~時代に合った職人育成~
業界別のSDGs事例紹介。
今回ご紹介するのは左官工事業界。
東京都文京区に本社を置く㈲原田左官工業所です。
https://www.haradasakan.co.jp/
同社は1949年の創業当時から「夢とロマン」を持って仕事に励むことを掲げており、
21世紀に入ってからも「夢」を持って仕事をすることの大切さ、「ロマン」を追い求めることの素晴らしさを忘れずに活動することで、
職人一人ひとりが仕事を通じて左官の素晴らしさを理解し、左官を通して社会貢献できるよう努力しておられます。
同社の特徴は人材育成。
「左官版モデリング訓練」というビデオを見て塗り方をまねるという育成方法で新人を育てています。
昔も今も職人の世界では、技術は「見て習う」と言われていますが、同社はビデオ映像を用いた現代版の「見て習う」訓練を用い、
一流の職人の塗る姿を撮影したビデオを元に、繰り返し「見る」ことで、一流の動きを分析し、まねをしていきます。
この育成方法によって左官の技術をしっかり身に着ける若者が増え、定着率が格段に良くなりました。
また、こういった職人育成の取り組みが評価され、東京都中小企業人材育成大賞、厚生労働省のキャリア支援企業表彰を受賞されています。
左官業界は平均年齢が56歳ですが、同社の平均年齢は35歳で、離職率は5%です。
「見て盗んで覚える」という従来の業界の常識を打ち破り、今まで習得するのに3年かかっていた技術を1年で身に着けられることから、毎年多くの若者から採用の応募があります。
前回ご紹介した機械金属業にもつながる部分ですが、「技術の承継」というのは、働き手が高齢化していく時代において喫緊の課題です。
《27》機械金属業界の事例(㈱ナンゴー)~「あったらいいな」を実現~|hiroya@つれづれなるままにSDGs (note.com)
今回の事例のように昔からの慣習を打ち破り、今の時代に合わせた教え方で職人技を習得させる工夫をしていくことが、
SDGsゴール8「働きがいも経済成長も」を推進する上で不可欠になると考えます。