《19》花業界の事例(㈱hanane)
業界別のSDGs事例紹介。
今回ご紹介するのは花業界。東京都港区で生花店を営む㈱hananeの事例です。
2016年に設立し、「世界にたくさんの笑顔を咲かせる」というビジョンを掲げ、人々の日々の生活において「花と人の距離を近づける」ことをミッションとされています。
まず、同社は「フラワーロス」、すなわち世の中に出る前に捨てられてしまう花がたくさんあることを課題として捉えています。茎の長さや太さがまばらだったり、大きさが基準に満たなくて通常の花市場の流通に乗らない花は「規格外」として廃棄されることが多く、その数は多いところで全体の2~3割に及ぶそうです。
そこで、規格外でも自宅用で楽しむには問題のない奇麗な花を「チャンスフラワー」と名付け、1本100円で販売するイベント「花つみ」を実施。高価な花には手を出しづらい生活者にも花を楽しむ裾野を広げ、店頭販売を基本として気軽に手に取ってもらえるようにしたことで人気が高まっています。
そして、チャンスフラワーの売上金は学校教育や地域活性化の支援など、同社が実施する様々なボランティアに全国各地で生かされています。
さらに、同社では21年3月から「東北ありがとう10年プロジェクト」と題して、東日本大震災が発生してから10年の節目に、これまで支援に携わってきた人や現地で暮らす人へ向けて「ありがとう」のエールをチャンスフラワーに替えて毎月11日に届けるプロジェクトを実施。活動に賛同する全国の市場や花農家とパートナーシップを組み、共感の輪を広げています。
SDGsゴール12「つくる責任つかう責任」に深く関わるいわゆる「ロス」の問題は、このコラムでもアパレルや食品などをご紹介してきましたが、いずれの業界でも起こり得ることだと思います。
今回ご紹介したチャンスフラワーの取り組みのように、「ロスになってしまうものにいかに価値をつけるか」という発想の転換をすることで、思わぬ事業のチャンスとなることもあるのではないでしょうか。
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