《42》レストランの事例(㈱資生堂パーラー)~持続可能な食文化へ~
業界別SDGs事例紹介。
今回ご紹介するのは、㈱資生堂パーラーが運営するレストラン「ロオジエ」。
このロオジエのエグゼクティブシェフであるオリヴィエ・シェニョン氏は、自然環境を守りながら、おいしいだけでなく、ゲストの健康長寿も考えた「マイクロバイオーム・ガストロノミー(※)」を提唱しています。
ロオジエは、「美しい環境を守らなければ、美しい食材を得ることができず、美しい食文化も次世代に残せない」という危機感を持ちながら、SDGsを推進しています。
ロオジエで使われる多くの食材は持続可能な漁を実践している漁師の一本釣りの魚や、環境に配慮した養鶏場からの地鶏・卵、有機栽培の畑からの野菜などを使用しています。
また、電力は再生可能エネルギーを使い、キッチンから出る廃油をリサイクルして作られたせっけんや99%リサイクルビニールのゴミ袋を使用するなど、身近なことから取り組みを進めています。
そして、厳選された乳酸菌とその代謝物の力を借りて土壌を改良する「マイクロバイオーム農法」で作られた卵、フィンガーライム、ニンジンジュースなどをメニューの中で提供しています。
マイクロバイオーム農法では独自の微生物の生態系が生まれ、農薬を使わずとも有機栽培ができるようになっており、この農法で育った食材はビタミンやミネラルが豊富で、健康に良いとされています。
例えば、この農法を取り入れたメニューで人気が高いのがオリジナルティーです。
茶葉には、長年にわたり女性の自立を支援する非営利の慈善団体「ファム・デュ・モンド」財団と共に、紅茶作りに携わるスリランカの女性たちを応援する「Tea for Twoプロジェクト」で作ったものを使用しています。
さらに世界で唯一、茶葉をフレンチオーク樽(だる)で熟成する特許取得製法を導入するなど、こだわりが詰まった逸品となっています。
皆さんもよく知るミシュランガイドは、近年、「持続可能なガストロノミー」を最前線で実践する飲食店、レストランの取り組みにも光を当て、「真に献身的で革新的な慣行を行う施設」を「グリーンスター」として紹介し始めました。
ロオジエは上記のようなサステナブルな取り組みが評価され、このグリーンスターを2021年に初めて獲得しました。
ロオジエは今年で50周年を迎えるようですが、やはり「名店」と言われるところは味を追求するのはもちろんのこと、同時にサステナビリティーも推進しており、だからこそ末永く運営していけるのだなと改めて考えさせられる事例です。
(※注釈)マイクロバイオーム・ガストロノミー
銀座にあるフレンチの名店「ロオジエ」のオリヴィエ・シェニョン氏が提唱するサステナブルな食の在り方を目指す考え方。