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Haruyahman
2024年8月27日 14:43
男は、何も感じていなかった。ただ土を掘る感触、シャベルの音、それだけが彼の現実を繋ぎとめていた。記憶はほとんどなく、何をしているのかも分からない。ただ、掘らなければならないという衝動に突き動かされていた。周囲は深い森だ。空気は冷たく、湿り気を帯びている。遠くで鳥が鳴いているが、それすらも遠い出来事のように感じた。ここには自分しかおらず、自分以外は何も関係がない。掘ること、それだけが彼の
2024年8月17日 11:11
昼下がりの地下鉄は乗客がまばらだ。対面には若い女が座っている。短いスカートを履いており、スマホを熱心に操作していた。私は電車の中で苦悩していた。旧人類となるか、それとも新人類として生きるのか。世の中には経済を見通すのではなく、スカートの中を見通していた経済学者がいる。残念ながら私も同じ穴のムジナだ。大学教員でありながら、性に正直である。いつもであれば、見られている側が恥ずかしくなるほど