業界初のライメックスラベル80ミクロンの薄さに挑戦
こんにちは。
中野製薬入社4年目のYです。
私はマーケティングで主に容器のパッケージ開発を担当しています。
今回は、容器の観点からサステイナビリティの取組みついてお話したいと思います。
サステイナビリティとは
そもそもサステイナビリティとかSDGsとかって言葉の意味自体会社に入社するまで知りませんでした。今ではお恥ずかしい話です。ここ最近でこそ、色々なところで耳にするようになりましたが4、5年前の私にとってはあまり馴染みのない言葉だったのです。
既にみなさんはご存知かもしれませんがサステイナビリティとは、「持続可能性」であり「環境・社会・経済」の観点から今後長期的にわたって地球環境を壊すことなく、資源を使いすぎず、良好な経済活動を維持し続けることを意味します。
これは一社だけが意識すれば良いわけではなく、社会全体で協力し合い、みんなで「持続可能性」を目指していこうという取り組みです。
これまでの開発事例
今回当社とお付き合いのあるサロンさまのPB商品を担当させていただきました。私が担当させていただいてから2回目のリニューアルとなります。1回目のリニューアル時には、シャンプーとトリートメントボトルにリサイクルPETを採用しました。これが私にとって入社後初のサステイナブル商品の開発です。
リサイクルPETは使用済みのペットボトルをもとに作られた容器となります。使用済みの容器を使用し再利用することで、産業廃棄物の量を減らすことができます。またリサイクルによって再生されたPET樹脂を使用することで原材料の使用量を減らせるというメリットがあります。
今回2回目のリニューアルではバイオPETを使用しました。こちらはPETの原料の一部を植物由来のバイオマス原料に置き換えた容器です。バイオマスPET容器は、再生可能エネルギー源であるバイオマスを使用するため、環境にも優しく化石燃料の使用料を減らすことができます。また、二酸化炭素の排出量を削減することができ、環境に配慮した容器となります。
どちらの容器も環境への負荷を低減することができます。といってもリサイクルPETやバイオマスPETの採用は最近当たり前になりつつあり、こういった環境配慮型容器に切り替えているメーカーは多いです。
ライメックスラベル80ミクロンの薄さに挑戦
リサイクルPETやバイオマスPET以外にも化粧品業界でまだ採用されていないような事に先駆けて挑戦したい。そう思っていた時に、お客さまの方からライメックスを使用することは出来ないかというご相談がありました。
ライメックスは石灰石を主原料とした新素材であり、環境にも配慮できる素材として様々な商品が開発されています。ライメックスを使ったラベルも既に開発されていましたが、化粧品業界ではまだ実績は少なかったのが現状です。
ライメックスのメリット
そもそもライメックスとはなんなのか、どう環境にいいのか気になりますよね。
まず、ライメックスは石灰石を主原料としています。石灰石は世界にほぼ無尽蔵と言って良いほど存在しており、日本においても自給率100%を超え、安価に入手することが可能です。通常紙を1トン作るのに木が20本、水が85リットル必要とされるのころ、ライメックスは石灰石と、ポリオレフィン樹脂のみで作られているため環境負荷を大幅に低減することができます。炭酸カルシウムを60%含むライメックスでポリプロピレンを置き換えると、約33%プラスチックの使用量を削減できます。
ライメックスの採用に至るまで
今回パウチのラベルに採用していく際に、ラベルの厚みに問題がありました。当時ライメックスラベルで実績のある厚みは150ミクロンで、当社で使っているパウチラベルの厚みの2倍程厚く、そのままではライメックスを使用することができませんでした。
そこでラベルの厚みを通常のパウチラベルの薄さまで薄くした80ミクロンのラベルに挑戦しました。80ミクロンのラベル開発は業界初の試みです。実績のない素材になりますので、印刷の剥がれテストや付着物との粘着のテストも行いました。
一つクリアできなかった点が印刷の剥がれです。耐久性に強いと言われているライメックス紙ですが、シャンプーやトリートメントが付着した状態で時間が経過すると印刷が剥がれてしまったため、ラミネートフィルムの取りやめは出来ませんでした。次回以降、ラミネートフィルムなしでの開発を検討していきたいと思います。
最後に
容器のパッケージ開発を担当者として、お客さまを美しくする化粧品が環境にも地球にもできる限り優しくあって欲しいと考えていた中、新規資材でパウチのラベルを開発できて非常に良かったと思っています。微力でもサステイナビリティへ貢献できた事や新しい可能性を見つけることができました。サロンさまにも製品をお客さまとのコミュニケーションを図るきっかけのツールにしていただきたいと思います。
今回ライメックスを採用できたのはパウチラベルだけでしたが、今後容器自体の素材に石灰石を使用するなど新たな挑戦をしていきたいと思います。
また、石灰石に限らず環境に優しいパッケージ開発は日々更新されておりますので、様々なメーカーに掛け合い新たな新規資材での容器開発も行い、社会への貢献や化粧品業界へ新しいことを引き続き発信していきたいと思います。