「きらきらひかる」はハッピーエンドなのか
江國香織さんが贈る純度100%の恋愛小説「きらきらひかる」を読み終えました。
同性の恋人を持つ睦月とアル中で情緒不安定な笑子が互いの境遇を受け入れ結婚するところから物語は始まります。
この設定だけ見ると最近増えつつある普通ってなにかを問いかけるようなテーマかなと感じますが、1991年初版の本。ポケベルとかおとこおんなとか、今では使われていない(というか使えない)言葉やものも出てきて21世紀生まれの私にとってはちょっぴり新鮮でした。
感情的で真っ直ぐすぎる笑子と自分の気持ちを表に出さず誠実に合理性を重んじる睦月が対照的です。他人から見たら歪な関係のように見えますが、互いを大切に思っていることは伝わってきます。
いつもnoteに本の感想を書く時はネタバレをしないように書いていたのですが、今回はこの本の結末について掘り下げたいので、これから読むという方はネタバレに注意して下さい。
「きらきらひかる」はハッピーエンドなのか
正直ラストの3人での生活の始まりを色々な愛の形で片付けるのはこれで良かったのか…?と思ってしまいました。でも恋愛に正解か不正解かを決めたくはないし、第三者が口出しするのも違うって読んでいて強く思っていたのに最後に自分が口出ししたくなってしまう。それでも3人の幸せな生活はそんなに長く続かなさそうと思ってしまいました。お互いを想う気持ちは本物だけど、それがかえって自身を苦しめそうな関係。
考えさせられたのは、睦月が紺くんへ感じている愛おしいという気持ちと笑子へ感じている愛おしい気持ちは何が違うのか。この違いを説明するのが結構難しいと思いました。この先生きていく上で愛するものが増えていけば分かるのかもしれない。また何年かしたら読み直してみたいです。
私にとってはメリーバットエンドに感じるお話でした。ここまで書いてみたものの上手く自分の気持ちがまとめられない。とにかく、笑子の不安定さとか真っ直ぐさとか、睦月の誰も傷付けたくないけど傷付けてしまうところとか、紺の破天荒の中に時折感じる優しさとか、全てがもどかしくて愛おしい〜〜
江國香織さんの本に夢中です、最近
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