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そして夫は思い出す。いつも妻が日常の小さなことに気を配っていてくれていたことを

愛し合って結婚したはずの二人の心の距離がどんどん遠くなっていく。
そんな悲哀に満ちた、それでいて軽いタッチに仕上げられた映画が『マリッジ・ストーリー』だ。

劇団演出家と女優の夫婦による離婚劇。二人が息子の親権を争いながら離婚に至るまでを描いている。

昔はあんなに好きだった相手の、嫌な部分が目につきだすと、どんどん膨れ上がって収拾がつかなくなっていく。そして好きだった部分がどんどん小さく、その影は薄くなっていく。

同じような映画で昔『ローズ家の戦争』という、すごくよくできた映画があった。こちらは離婚バトルともいえる壮絶な展開で、日常の小さなすれ違いが、だんだんと嫌悪感になってムクムクと育っていく過程が見事に描かれている。

犬好きの夫と猫好きの妻が、それぞれのペットを使って相手に嫌がらせをするシーンも、なんだか現実味を帯びて面白い。

話しを『マリッジ・ストーリー』の映画に戻そう。主人公の二人は結局離婚に至る。

そして離婚が成立して、別れてしまってから二人は子供の学校の送り迎えで顔を付き合わせるのだけれど、その時に別れた妻が、別れた夫の靴紐をちょっと直してあげるシーンがある

そして夫は思い出すのだ。いつもそうやって、妻が日常の小さなことに細々したことを気を配っていてくれていたことを。それは離婚競争の時は忘れ去られてしまっていた、小さな思いやりや気遣いだ。

とても心に残るシーンだ。





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