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人は皆自分自身に「絶望」を抱いている

人生なんて、振り返ってみてからでないとわからないもんだ。けれども人は前だけを向いて歩いていかねばならない。こんなことを言ったのは、セーレン・キェルケゴール(Kierkegaard)というちょっと陰鬱な哲学者だ。

キェルケゴールは世界に名のしれた哲学者で、今日では一般に実存主義の創始者、ないしはその先駆けと評価されている。

彼はコーヒーが好物で、その飲み方は山盛り(角砂糖約30個分とも言われる)の砂糖にブラックコーヒーを掛けて溶かすというものだった。お気に入りのコーヒーカップを50個持っており、そのうち1つを秘書に選ばせてはそれを選んだ妥当な哲学的理由を述べさせたという。

セーレン・キェルケゴール(Kierkegaard)

ここで彼の結婚観、人生観を彷彿させる、その書物の一節を紹介しよう(翻訳は筆者によるもの)」


もしあなたが結婚するなら、あなたはそれを後悔するだろう。
もしあなたが結婚しなければ、あなたもそれを後悔するだろう。
あなたが結婚するにしても結婚しないにしても、
どちらにしてもあなたは後悔するだろう。

世界の愚かさを笑い、それを後悔し、泣き、あなたはそれを後悔するだろう。
世の愚かさを笑い飛ばしても、泣き叫んでも、あなたは両方を後悔するだろう。彼女を信じて、あなたはそれを後悔するだろう、
彼女を信じないで、あなたはそれを後悔するだろう。女性を信じるか信じないか、あなたは両方を後悔するだろう。

自分で首をくくれば、あなたはそれを後悔するだろう。自分の首をくくらないでいれば、やっぱりあなたは後悔するだろう。
あなたが自分自身を吊るすか、自分自身を絞首刑にしないかにかかわらず、あなたは両方を後悔するだろう。
紳士諸君、これはすべての哲学の総和であり、本質である。


キェルケゴールは幼少の頃より日記を綴る習慣をもっており、急逝するまでの生涯にわたって日記を書き留め続けた。この『日記』が最近の研究においては著作物と同等(か、もしかしたらそれ以上)の価値をもつ文献資料として扱われることは少なくない。

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