女性版ジョブズと謳われた起業家に判決
エリザベス・ホームズのストーリーはこれまで2本の映画になっている。
情熱的な女性起業家としてシリコンバレーで数多くの投資家を集め、ビリオネアとなったホームズは、その神秘的でカリスマ的なキャラクターで人を魅了した。
その大きな美しい目は、「まばたきしない」ことで有名だ。何千人もの観客の前でスピーチをする時、そしてカメラを正面から見据える時、その目は瞬きしないで鋭い光を帯びている。
声は低音で、自信に満ち溢れている。まるで生まれつきのカリスマ性を持った人間としてこの世に降り立った、そんな印象を与えた。
ホームズは、指先からの血液1滴であらゆる病気を発見できると謳い、のちに虚偽であることが明らかになったセラノスの創業者だ。
このエリザベス・ホームズに、禁固11年以上(135カ月)の有罪判決が2022年11月18日(米国時間)に下された。世界を驚かせた画期的な技術だったはずが内部告発で不正が明らかになり、2018年に詐欺罪で起訴された。
ホームズはスタンフォード大学を19歳で中退して2003年に立ち上げた事業が、わずか数滴の血液で何百もの病気をスキャンできる技術をもっていると主張し、「医療界に革命を起こす」として注目された。一時は総額90億ドル(約1兆円)の価値があるユニコーン企業とまでみなされていた。
称賛と金とを集めたバイオテックスタートアップを創立した
若き創業者エリザベス・ホームズは、女性版のジョブズだと、噂された。
けれどいま、そのすべてが崩壊を迎えている。
「ジョブズになり損ねた女:DNA検査の寵児、エリザベス・ホームズの墜落」として、WIREDのマガジンは報道している。
ホームズの裁判において、陪審員たち11の詐欺関連の罪状のうち有線通信不正行為および同行為への共謀にかかる4件の訴因について、彼女に有罪の評決をは1月3日(米国時間)に言い渡していた。
これらはいずれも投資家が関連した罪である。残る訴因については無罪の評決が下されたか、合意に至っていない。
これにより最長20年の禁固刑が見込まれていたが、弁護側は刑期を最高18カ月とし、自宅での軟禁にするよう判事に求めていた。しかし、最終的に禁固11年超の量刑判決となり、ホームズは23年4月27日までに収監される見通しとなった。
シリコンバレーから世界へ、あんなにも輝かしい約束を発していた起業家が、このような結果になってしまったことに、投資家をはじめとするバイオテックの人たちは驚いている。
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