<大絶賛されるほどか?> 映画「さかなのこ」
のんこと能年玲奈さん主演で描く「さかなクン」の自伝的映画。
予告などのイメージでテンポよくすすむドタバタコメディ劇かと思いきや、意外と「オフビートなシュールな笑い」でミニシアター系邦画的に淡々と進む感じ。いかにも本人存命中の伝記映画を粛々と原作通りに描いているという感じで正直、退屈する場面もあった。絶賛の評判からハードルを上げすぎない方がいいです。
「魚が好きというのを貫いたからこそー」っていうよく言われるストーリーの肝や、その志の美しさは理解できるんだけど、終始、淡々としていて感情をドライブさせてくれない感じだった。案外こう言うのが賞をとったりするんだけど、個人的にはもっと映画としてフィクションとして突き抜けて、嘘をついて、ドライブして、エンタメをしてほしかった。監督はあくまでエンタメ作ではなく、文芸的なもっと上品なものを意図していたのかもしれないけど。
映画的なギミックとして、のんさんが演じているのはミー坊であって、さかなクンではないというテイ、本物のさかなクンが演じるキャラは別にいるというのが面白い。さかなクンの別の可能性を描いているのが、笑える、反面味わい深い。
主人公、ミー坊を演じる役者は、女性なんだけど、キャラクターは男性である。特に説明をされない。事情のわからない海外の人が観たらLGBTQ作品のように捉えられたりするのかな?そのように匂わせてる感じにも見えるのが興味深い。
のんさん主演だと、いつも書いてるけど、彼女の映像の中での絵力、画面にいるだけで映像がキマる、映像の支配力がすごい、そして30歳手前だと言うのに失われない透明感。
華々しいだけじゃない、回り道もしてきた、のんさん主演だからこそ「さかなクンがさかなクンになる前の、何者でもない人間だったときのストーリー」が倍増されてグッとくるものがある。必見!
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