【取り巻く環境から自分(相手)を変える:他者から受ける影響】
習慣化を身につけるためには、“自身の意志力より外部環境に頼る方がいい!”と何度も書いてきたが
今回は人の集団(グループ)が、個人の行動(成績)に、どのような影響を与えるかを書いていく
例えば…
「素行の悪い人が多い学校に子供を行かせたら、うちの子供もヤンキーになっちゃう!!」
「社員のほとんどがタバコ吸っている会社に入ったら、禁煙なんて出来ないよ…」
など色々考えたことはあると思う
はたして
本人は影響を受けている自覚があるのか、はたまた自身の意志とは関係なく無意識に染まってしまうのか…
色々な研究を紹介していきます
【大食いのグループにいるとどうなるのか?】
38件の論文によるメタ分析結果から言ってしまえば
食べる量が明らかに増える!!
※参考文献
tandfonline.com/doi/full/10.10…
※参考文献2
面白いのが
外部からの影響を自覚することが、“ほぼできない”と言うこと
明らかに周囲の影響で沢山食べているにも関わらず、沢山食べた理由を尋ねると「お腹が空いていたから…」「料理が美味しかった」などと答えていた
間違っても、「周囲から影響を受けて沢山食べてしまいました」なんて報告する人は一人も居なかったという
※参考文献3
※参考文献4
【体力があるグループに配属されると…】
「ん?友人の体力が自分の体力に影響するとでも言いたいのか?」と思うかもしれないが
正しくそうである!!!
これはアメリカ空軍士官学校に入学した約3500名の候補生を無作為に30名前後のグループ分けをし、2年後の体力がどうなったか調査した自然実験である
※参考文献5
sciencedirect.com/science/articl…
このグループ分けで
高校時代の体力テストで高得点者が多いグループ、低い得点の人ばかりが集まったグループなどが自然に出来上がった
ポイントなのは、どちらのグループにしろ空軍士官学校に入学するレベルなので、少なくとも普通の市民より体力のレベルが高い集まりではあった
こんなハイレベルな環境でも、グループのパワーは個人に働きかけてくるが
この実験の面白いところが、他者の影響はほぼ一方通行にだけ機能していた
“入学時に体力テストで点数が低かった候補生は、同じグループのメンバーの体力を下げた”
しかし
“体力テストの点数が高かったグループは、他のメンバーの点数を上げることはなかった”
つまり
体力に関しては、ネガティブにしかグループのパワーが働かなかった
この背景には、候補生たちが大半の時間を一緒に過ごし、寮の隣り合う部屋で暮らし、一緒に食事をし、ともに勉強していたことに起因する
候補生たちは、互いに声をかけてトレーニングをしたと思われる
つまり、“グループとして厳しいトレーニングを積んだ”か、“あまり行わなかった”かが関係しており、体力の劣るメンバーが座って何かをしている(映画を観たり、ゲームをしたり)と、ともに仲間に加わる事が簡単に起きる
そのためトレーニング時間が容易に減っていく
《逆のパターンは、起きなかったのか?》
これはなかなか起きづらく、体力のあるメンバーが「今から10km走りに行こう!」と誘っても、そもそも体力のあるメンバーしかその誘いにのらなかったからだと研究者はいっている
大食いグループ研究や士官学校研究から分かるのは、ネガティブな影響(楽だったり、人の欲求に忠実)は安易に受けるが、ポジティブな影響(勉強やトレーニングをする)は、ゼロとは言わないがなかなか働きにくいということ
サポート代金は嫁さんに秘密でコッソリ新たな文献や論文購入に使わせていただきます!! これで論破されないぞ!!