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「人は、居るだけで価値がある」大人も子どももそう思えるために|運営メンバー 中谷さつき
こんにちは。School Voice Project 運営メンバーの中谷さつきです。
私は大学卒業後に教職の道に進み、小学校教諭として少しだけ働き、現在はSchool Voice Projectの呼びかけ人でもある武田緑さんの事務所Demo(デモ)で代表補佐をしています。主に会計や人事給与、総務に関わることをしていて、“みどり秘書”と言った方がわかりやすいかもしれません。
仕事をする中で、社会福祉制度や税金のことに詳しくなってきたこともあり、教育系団体やNPO、ソーシャルな活動をしている「現場の人」のサポートがしたいと思っています。
しばらく学校現場と近い仕事ができていませんでしたが、このプロジェクトでは、学校現場で働く方とがっつりコミュニケーションが取れることになり、嬉しく思っています。
意見が言えない自分と向き合うために、教員になることを決意
私は幼少期から「声が小さい」と指摘されることが多く、相手から強い口調で意見を言われると、言いたいことがあってもなかなか言い出せない子どもでした。
進学した中学校や高校では、積極的に自分の意見を伝える人が多く、元々意見を言うことが苦手な私は、さらに自分の意見を言わなくなっていきました。
そんな環境で過ごす中で、「自分は意見を言っても意味がないし、尊重もされない」と感じるようになったのです。
大学時代は、それなりに楽しく学生生活を送りましたが、就職活動が始まると「あなたの意見は?」「あなたの個性は?」と問われることが多くなり、私は自分の意見に自信が持てず、言いたいことが言えない自分の弱さに改めて直面することになりました。
私自身が「話すことが苦手」と思い込んでいることが原因ではないかと考え、コンプレックスと真正面から向き合うために、人前で話す仕事である教員になることを決めました。
退職後、意見を言うことで気づいた「自分の価値」
人前で話す経験をすることで、ある程度は話せるようになり、その過程で自分に自信を得ることもできました。
一方で、決して得意とは言えない「話すこと」と毎日向き合うことで神経を擦り減らし、ストレスを抱えている状態が続きました。
そして、私が担任をしていた学級の子ども達を思い浮かべたとき、「話すことが苦手な自分が教員でいるのではなく、もっと話すことや子どもと接することが得意な人がここにいた方が子ども達のためなのではないか」という思いも拭えず、教員ではない立場で教育に関わろうと考えるようになりました。
その後、次の道を探っていたときに武田緑さんと出会い、教育系NPO団体「CORE+(コアプラス)」の事業を一緒につくる過程に関わらせてもらうことになります。
最初は自分の意見を言うことに躊躇していましたが、少しずつ私自身の意見や考えを伝えていきました。コアプラスのメンバーは、私がどんな意見を言っても否定することはありませんでした。
「自分の意見には価値がない」と感じていた私でしたが、意見を尊重され、肯定してもらう経験を積むことで「どんな意見にだって価値がある」と強く感じることができるようになりました。
コアプラスのメンバー
コアプラスの活動に関わる中で、自分の生き方を探すための大学シューレ大学(現 雫穿大学)の存在を知り、「こうあるべき」という社会の常識や、「普通の生き方」にとらわれず、自分の生き方を模索しながら創ることを大切にする価値観に魅力を感じ、私は体験入学をすることになりました。
「これまで苦手を克服するために教員をしてきたけれど、苦しかった」
シューレ大学で出会った仲間にそんな話をすると、「そりゃきついよ」「よく頑張ったね」「しんどかったね」と言ってくれました。
その言葉を聞いて、涙が止まらなくなったことを覚えています。
それまでは私自身が頑張ろうとしていたこともあり、教員を辞めようとすると、周囲からは「辞めてどうするの?」「もうちょっと頑張ったら?」「こんなに時間をかけて教員になったのにもったいない」と言われるばかりでした。
シューレ大学での体験入学を通して、私は自分の好きなことや楽なことをやるとに罪悪感があったことに気がつきました。本当は、自分の好きなことや得意なことをやっていいし、苦手なことがあってもいいのです。
シューレ大学にて
思い返すと、教員時代は自分が苦手な能力を伸ばそうとして、「できる自分」になることを目指していました。けれど、それよりも大切なのは「自分は居るだけで価値がある」と思えることだと、今はそう思います。
「人は、居るだけで価値がある」
「どんな意見でも、言うことに価値がある」
みんながそう思うことで、過去の私のように「意見を言えない」「言いづらい」と感じる人は減るはずです。
出来ることの枠を外して、やりたいことに向かう
このプロジェクトの発起人である武田緑さんとは長い付き合いで、私が教員を辞めてから次のキャリアに悩んでいたときに出会った人です。これまでにも緑さんが運営する団体で、多様な教育を広げていく活動の運営をしてきました。
昨年秋、緑さんから「学校現場の声を見える化するプロジェクトの立ち上げメンバーに入らないか」という話がありました。声をかけてくれたことへの嬉しさを感じたのと同時に、少し迷う気持ちもありました。
私は表に出て事業を進めていくよりも、会計や事務方として事業を支える立場の方が合っていると思っていました。裏方でいる方が、私自身が無理なく働けるのです。
でも、「本当に自分のやりたいことをやっていくには、直接教職員の方の話を聞いたり、色んな方と関係を作っていくことが必要ではないか」という考えもありました。
何より、「人は、居るだけで価値がある」「どんな意見でも、言うことに価値がある」と思っている自分自身に正直でいたかったのです。
「今の私にできること」の枠を少しだけ外して、自分の意見を言ってみる。そんな場所に飛び込んでみようと思って、このプロジェクトに関わることを決めました。
教員として学校で働いてきたこともあり、特に関心が強いのは学校教育の制度や仕組みです。私自身は、肯定的に自分の意見を受け止めてもらえる経験をしたことで、思ったことが言えるようになり、生きやすくなりました。
声を上げられていない教職員や子どもたちが、思ったことを言える環境は、これからつくっていけると思っています。「聴いてくれているんだ」「言って良かった」と思える経験を、大人も子どもも、一人ひとりが積めたらいいなと思っています。
「自分が主人公の一人だ」と思える場所がみんなにある。
そんな社会に近づけるように。
一人ひとりが思いを出し合い、存在を肯定し合えるようになるために、私は「教育を通して、自分の思いをカタチにしていきたい」と思っています。
中谷さつき(Nakatani Satsuki)プロフィール
大学卒業後に教職の道に進む。塾講師・小学校教諭として勤務したのち、現場の人のサポートをするべく事務職に移行。学校事務を経て、現在はDemoの他、フリースクール事務スタッフとしても働く。
1歳児の育児を通して子どもの成長・発達を学び中。webデザインと労務をもっと学びたい。小さな団体や個人の方の会計相談受け付けます。
教育を通して多様な価値観や生き方に触れながら、一人ひとりが自分を生きるための学びを支えていきたい。
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(文:中谷さつき 編集:建石尚子)