「大人の学び直し」に効く一冊。
「粘り強く続けた者だけが成功する」「諦めたら終わり」――。
だれもがこの言葉に一度は心を動かされ、行動した経験があるのではないでしょうか。
それでも毎日生きていたら、嫌なことや辛いことは必ず起こります。
そして壁にぶち当たると、こう思うはず。
「自分はなんてダメ人間なんだ」
「みんなは頑張って成功しているのに」
でもそれは、あなたがダメなのではない。
まだ自分の心をコントロールする方法を知らないだけなんだと思います。
そう思えたのは、『勉強が面白くなる瞬間』(ダイヤモンド社)を読んだからです。
モウソウチク
突然ですが、モウソウチクって知っていますか。
漢字では「孟宗竹」と書くらしいです。
字面の通り、モウソウチクは竹なのですが、いくら手間暇かけてもなかなか芽が出ないそうです。
その期間、なんと5年……。
お金をもらっても毎日お手入れできるかどうか、微妙なレベルです。
でも成長しだすと、1日80センチずつ伸び出して、一気に30メートルまで伸びるのだとか。
単純に「え、30メートルも伸びるんだ、すごい」って思いますよね。
でも実は、根っこの方がすごいんです。
モウソウチクの根の深さは、合計すると4000メートルだそう。
「時間をかけていたら、上に伸びるのは当たり前」と思っていた私にとって、衝撃的なエピソードでした。
(※2022年12月28日追記:こちらのエピソードは、p.69「Beyond Story 根を張れば高く伸びる」に掲載されています。)
今まで「かけた時間」ばかりを気にして、「根の深さ」は考えていなかった、と気がついたのです。
自分で限界を決めていた
なにかを諦めるとき、私はいつも「自分で自分を説得」します。
「今が潮時だから」、と。
「こんなに"時間"をかけたのに、成果が出ていないじゃないか」
これは自分を諦めさせる、決まり文句です。
しかしそれは、諦める理由でもなんでもなかったんだな、と今になっては思います。
本の中には、こう書かれています。
「にもかかわらず」の精神で、勉強に取り組んでいたか?と聞かれると、正直言って「はい」と答えられません。
いろいろと思い当たる節があり、心がギュっとなりました。
ライターとして生きていきたい、でも……
私は今年の9月に、開業届を出しています。
4月に出産して仕事もしていない状態だったので、ゼロからのスタートです。
ライターとして稼いでいるお給料は、まだまだです。
会社を辞めるリスクはないので始めやすかったものの、なんとなく「私は知り合いがいないから仕事がない」と思っていたような気がします。
活躍されている方々が「仕事は人とのつながりから生まれるもの」とお話されるのを聞きながら「もともと知り合いがいたからでしょ」と思っていた私。(ごめんなさい)
でもそれは、私が勝手に今の「環境と条件」に文句を言って、無理だと決めつけているだけだったのです。
まだまだ行動が足りていないな、と反省したのでした。
知り合いがいない状態"にもかかわらず"自分から発信して、「ライターとして存在すること」が大事ですね。
乗り越えたら、自分は何を得る?
さて、環境や条件に文句を言わないことは心に決めました。
今の私は、ライティングや通訳案内士試験の勉強をしています。
これから頑張るぞ!(オー)
……とは言ったものの。
続けて勉強したとして、私は何を得るのか?
そんな漠然とした不安にも、『勉強が面白くなる瞬間』はしっかり答えてくれています。
ほんの一部ですが、紹介します。
本の中では学校と書かれていますが、仕事や大人の学び直しにも通ずることですよね。
勉強を"通して"何を得るのか、よくよく考えないと。
勉強"する"ことが目的になってしまっていないか、改めて勉強のあり方を考えるキッカケになりました。
それでも傷つくことはある
よし、準備万端で、エネルギーもみなぎった。
あとはコツコツやるだけ。
……そんな状態でも、心が折れることってありますよね。
1回だけではない、私は何回もあります。
そんな時はどうすればいいのか。
答えは「二度目の矢には撃たれるな」、です。
生きていたら、誰でも傷つくことはあります。
他の人と比べて気分が落ち込むこともあれば、ミスをしてイライラしてしまうこともある。
本の中ではそのことを「最初の矢」と定義しています。
当たり前のことですが、「最初の矢」に撃たれないようにするのは不可能です。
でも大丈夫。
「最初の矢」に撃たれることが、問題なのではありません。
では「二度目の矢」とは?
「二度目の矢」とは、自分で自分を攻撃してしまうものなのです。
しかし裏を返すと、自分でコントロールできるものとも言えます。
これには目から鱗でした。
1回落ち込んだとしても、自分を責めないように気を付けます。
「失敗」と「ミス」は違う
33年生きてきた中で、何かを始めては諦める、の繰り返しでした。
ギターにダイエット、プログラミングやデザインの勉強、あとは……。
うん、これ以上は悲しくなるのでやめます。
でもそれを自分で「失敗だ」と決めつけたとき、「本当の失敗」になるのです。
ちょっと挫けてしまったのは「ミス」なのだ、と気を取り直すことが大切だと書いています。
頭では分かっていても、やはり上手くいかないと落ち込むものです。
しかし心の持ちようを変えてしまえば、こっちのもの。
落ち込んでいるとついつい忘れがちになってしまいますが、心に留めておきたいです。
「あー、ちょっとミスったわ」くらいで受け止められたらOK。
これはまだ自分にない要素なので、練習が必要です。
今は大人も勉強する時代
「リカレント教育」や「学び直し」――。
最近よくこの言葉を聞くようになりました。
それだけ大人になってから「もう一度勉強したい」と思う人が増えているということ。
私も例外ではありません。
ライターになりたいと思い、編集・ライター養成講座を半年間受講しました。
通訳案内士の方は資格を取りたいと思い、勉強中です。
言語はもちろん、地理や歴史、一般教養や実務についてなど、なかなかボリューミーな内容。
範囲が膨大すぎて「どこから手をつければ……」という状態でしたが、自分のスタート地点を認識し、ゴールを設定しようと思います。
すごい、これだけで「自己分析」「計画性」を身に付けられますね。
そんなことを考えながら本を読み終わり、今はポジティブなオーラがフワフワ自分の周りを漂っているような感覚です。
「勉強が面白くなる瞬間」を自分で体験したくて、ワクワクしています。
これからする勉強は、はかどりそうです。
本の中には、他にも勉強に没頭できるコツがたくさん散りばめられています。
心を熱くしてくれる格言もたくさん登場しているので、お見逃しなく。
勉強を始めたい大人に、かなりおすすめの一冊です。