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世界史やってる人ってなんかみんな東ローマ帝国に冷たいね(※神野正史『世界史劇場イスラーム三国志』(ベレ出版)を読んで)

ヘッダー画像に引用した神野正史さんの『世界史劇場イスラーム三国志』でもそうだし、他のいろんな世界史解説書もそうなのですけど、なんでみんな東ローマ帝国をザコ扱いするのだろう?

ローマ帝国の後継国家のような顔をしていたが、実はコンスタンティノープルという一都市しか領土のない、風前の灯のような状態だった

というのが、よくある説明。

ビザンチンびいきな私として、こういう説明には、いくつか物申したい。

・「ローマ帝国の継承国家のような顔をしていた」といいますが、キリスト教正教をもっていった東ローマ帝国のほうが、ローマカソリック系よりも正当なローマ帝国の後継とも言える。

・「コンスタンティノープルという一つの街に閉じこもっていた」というが、ギリシャ人がマジョリティだった東ローマ帝国では、かつてのアテネやスパルタのように「都市国家」という形式で繁栄しようという発想はおかしくない。コンスタンティノープルにこもったのは「戦略的撤退」だったのかもしれない。

・「常に風前の灯だった」というが、世界史的にはめちゃくちゃ長寿な国家である。続々と領土を増やしつつも百年ほどで滅んだ文明はいくらでもあるが、強敵だらけのユーラシアで防御に徹して約千年も長生きした文明のほうが、ある意味、すごくなかろうか?

もっとも、そう言う私自身はたびたび自己開示している通りギリシャびいきなので、無意識に東ローマ帝国をヨイショしすぎているところはあるかもしれない。。。そこはご注意を。

さてさて、東ローマ帝国はカマセなのか、「生き残り戦略」に徹した偉大なサバイバーだったのか?!

歴史好きのお酒のサカナは尽きることがない。いずれにせよ、「トーナメント戦を勝ち残るように、最終的に西欧諸国が栄えていく物語」みたいなのが唯一の世界史解釈ではないのです!東ヨーロッパからみえている世界史のほうも何卒今後、お引き立てのほどを!



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