デザイナーひとりひとりの魅力を伝えるための刺し子デザイン UNIK3
Scandinavian Pattern Collectionの活動開始から三年目を迎えようとしていた2015年頃、私たちは大きな壁にぶつかりました。時間をかけて文化活動を企画していても、そこで伝えられるのは、北欧の文化全般のことであって、一人ひとりのデザイナーの魅力をきちんと伝えることができているのだろうか、というのが、私たちの悩みでした。30名を超える多才なデザイナーたちを丁寧に紹介しようとしていても、北欧デザイナー集団、というグループでとらえられてしまっているのです。
世の中では「北欧」という言葉が、ブランドのように人々に定着し、ビジネス的には大きなチャンスでしたが、「北欧」というブランドの中で個性が埋没していくことに、私たちは違和感を覚えました。
次回の文化イベントは、地域性が色濃く表現された「刺し子」が題材でした。私たちは、参加デザイナーたちに、自分の育った場所の自然や風景、影響を受けた経験、漠然とした心象風景など、自分の心の原点に立ち返ってもらい、そこから発想して「刺し子デザイン」を作ってもらうことにしました。展覧会のタイトルは「UNIK(ウニーク)」。英語のユニーク、つまり個性を表す言葉です。Scandinavian Pattern Collectionのデザイナー、ヨハンナ・エーンさんの提案でした。
私たちは「デザイナー一人ひとりの個性や気持ちをデザインのなかに表現する、そしてそれをわかりやすく伝える」ということを、活動全体のゴールにしようと強く決心しました。
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