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無意識の思い込みが悪影響を引き起こす!?『アンコンシャスバイアス』
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無意識のうちにしてしまう先入観や思い込みである『アンコンシャスバイアス』。このバイアスによって生じる代表的な「偏り」、発生することによる弊害、発生メカニズムや対処法について解説しています。
■『アンコンシャスバイアス』とは?
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あなたは「何かを見たり」「何かを聞いたり」した時に「(無意識に)こうだ」と思い込むことがないでしょうか?
人間は「過去の経験」や「経験に基づいて蓄積された知識」や「構築された価値観」、「見聞きしたこと」から影響を受けることで、無意識のうちに「こうだろう」と思い込んだり、偏ったモノの見方をすることが多くあります。
こういった心理的傾向のことを『アンコンシャスバイアス』と呼ばれています。
「自覚しない、無意識の」を意味する「unconscious」と、「先入観、偏見」を意味する「bias」を組み合わせた言葉となっており、日本語で「無意識の思い込み・偏見」と訳されます。
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このバイアスの対象は「相手」だけでなく「自分自身」「モノ」など幅広く、日常や職場といったビジネスシーンなど場所を問わず、また誰にでも起こり得る心理的傾向です。
一見すると、この『アンコンシャスバイアス』は悪い心理的傾向、と思われがちですが、「バイアス」という先入観や偏見は自然に生じるもので、それ自体が悪いのではなく、無意識に・気づかないうちに「決めつける」「押しつける」ことが問題なのです。
◆なぜ注目を浴びるようになったのか?
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『アンコンシャスバイアス』が注目されるようになったのは、2013年からGoogle社が実施を開始した教育活動からと言われています。
1998年の創業以来、Googleの検索エンジンに使用している、日ごとにデザインを変えたロゴ=「グーグル・ドゥードゥル」。
その「グーグル・ドゥードゥル」では、運用開始から7年間は女性が一人も登場しませんでした。
さらに2010年~2013年に登場した人物の多くは白人男性で、白人以外の男性や、女性・白人以外の女性の登場機会が少ないことを民間の研究所から指摘を受けました。
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そういった従業員の「人種」や「性別」に対する偏りについての指摘を契機に、Google社は「多様性」を認めた企業文化へと変えるために、世界各地の2万人以上を対象に「アンコンシャス・バイアストレーニング」を開始しました。
こういったGoogle社の取り組みを皮切りに、Meta(旧フェイスブック)やマイクロソフトをはじめ、多くの大手外資企業でもトレーニングの導入が進んでいます。
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日本においても、「在宅勤務」や「時短勤務」、「女性管理職の登用(ジェンダー平等の実現)」や「高齢者の再雇用」など、働き方に関する「多様化」が進んでいます。
こういった流れを受け、日本企業においても『アンコンシャスバイアス』と向き合う取り組みが広まっています。
■『アンコンシャスバイアス』の代表的な「偏り」
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この『アンコンシャスバイアス』は、以下のさまざまな「バイアス」という形で生じています。
◆確証バイアス
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自身の信念や価値観、経験則などの正しさを証明するために、都合の良い情報ばかりを集める心理的傾向である『確証バイアス』。
『確証バイアス』が生じると、私感を正当化するために反証する情報や意見を無視する・集めようとしなくなるため、客観的・科学的な根拠の乏しく誤った意思決定をする原因となってしまいます。
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「女性は仕事よりも育児や介護など家庭を優先する」と思い込む。
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現在では、血液型で性格が決まるという科学的根拠はないとされていますが、「多くの人が当てはまっているのだから正しい」と自身に都合よく解釈してしまう傾向が日本は特に顕著と言えます。
「A型は真面目、几帳面」
「B型は個性的でマイペース」
「O型はおおらか」
「AB型は天才肌で二面性あり」
◆正常性バイアス
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予期せぬ事態が起こった時や危機的状況に陥った際に「大したことではない」と誤認し、事態を過小評価して平静を保とうとする『正常性バイアス』。
「過剰に反応し疲弊しない」という心的ストレスを軽減するポジティブな効果もありますが、その一方で、「異常事態を正常の範囲内」と錯誤してしまい、リスクヘッジの遅れや損失といった悪影響を及ぼす可能性があるので、注意が必要なバイアスです。
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避難すべき非常事態であるにもかかわらず、『正常性バイアス』が働くことで、危機的状況を過小評価してしまい、避難行動が遅れてしまう。
「自分に危険が及ぶような災害ではなく、大したことはないだろう」
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すぐに対処すべきトラブルが発生しているにもかかわらず、トラブルの範疇ではないと高をくくって、静観してしまう。
「対処するほどのことではないだろう、大丈夫」
◆現状維持バイアス
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何かを変化させれば現状より良くなる可能性があるとしても、損失の可能性を考慮して現状を保持しようとする『現状維持バイアス』。
仮に変化・変更させることが有益であったとしても、特に知らないことや経験したことがないことは「安定した状態がなくなってしまう」とマイナス思考になり、受け入れたくない・失敗を恐れて現状に留まりたいと考える心理傾向とも言えます。
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企業組織において、新しいシステムやツール、制度の方が優れているにも関わらず、旧来のものに固執して切り替えない・取り入れないという現象も、現状維持バイアスの一つの例です。
「変更する・新たに採用すると損失が生じる可能性があるので現状のままで良い」
◆同調バイアス
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多数派が少数派に価値観を暗黙的に強制する『同調バイアス』(集団同調性バイアス)。
このバイアスによって同調圧力が強まり、少数派は周囲の言動に合わせるようになります。
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ビジネスシーンにおいては、会議で他の参加者の意見が気になって自分の意見が言えない、周りの目もあって残業を断ることができないといったケースが例として挙げられます。
「周囲に合わせた言動をしなければ排除されてしまう」
◆権威バイアス
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権威がある地位や肩書きによって、その人物や言動に対する評価が高く歪められてしまう『権威バイアス』。
「権威」を認識すると、その権威を持つ対象の言動から影響を受けやすくなる、という人間に備わった本能が起因したバイアスとなります。
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「(権威のある)あの人が言っているのだから間違いない」
◆インポスター症候群
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自身の能力や実績を過小評価し認めることができない『インポスター症候群』。
この『インポスター症候群』に関連する症状は、職場などだけに留まらず、日常生活での不安感やストレス、自尊心の低さ、時には、うつ病や適応障害などの精神疾患を引き起こす原因にもなりかねません。
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『インポスター症候群』に陥ると、他人からの否定的な意見を強く恐れるようになり、さまざまな場面で「失敗」や「間違い」を極端に回避しようとするため、新しいことにチャレンジすることを自ら制限するようになります。
「同僚や上司から評価され推薦されても、私にはできない・どうせ上手くいかない」
◆アインシュテルング効果
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自身の経験や思い込みを優先して思考、対応を固執してしまう『アインシュテルング効果』。
「自身の経験に固執する心理事象」であるため、より優れた提案や、新しい創造性・アイデアであったとしても、自身の意見と反するようであれば無視するようになってしまいます。
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ビジネスを進める中で売上が低迷する状況下に陥ってしまったとしても、それまで慣れ親しんだ戦略・戦術に固執し、それ以外のアイデアなどを無視してしまうようになります。
「売上が低迷しているが、これまで通りの施策を実行し続けよう」
◆コンコルド効果
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「損失が拡大するとわかっていながらもやめられない」心理現象である『コンコルド効果』(サンクコスト効果)。
特定の対象への金銭的・精神的・時間的投資の継続が、損失リスクの拡大につながるとわかっていても、それまでに費やした投資を惜しんで、客観的に正しい決断ができずに、損失が広がり続けてしまう心理作用のことです。
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不採算プロジェクトと化していても、それまでに投資したコストが頭をよぎり、撤退の決断に踏み切れず、結果的に経営に損害を与えてしまうというケースが例として挙げられます。
「わかっていても、いままで続けていた投資が無駄になってしまうから撤退できない」
◆ハロー効果
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ある特定の特徴に影響を受けてしまい対象全体の評価を歪めてしまう『ハロー効果』(後光効果)。
対象を評価する際に、その対象が有する1つの特徴に影響を受けてしまい、その対象の評価全体が歪められてしまう心理現象を指します。
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社員が持つ能力やスキル、所属企業や組織への貢献度をもとに判断する人事評価制度は本来、定められた期間内のパフォーマンスをもとに評価するものですが、期間外の業務成果に影響を受けて、評価を高くしてしまうケースが例として挙げられます。
「(前期の功績が影響し)今期も大きな功績を残した(という印象を抱いてしまう)」
◆慈悲的差別
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自分よりも弱い立場だと認識する他者に対して、勝手な思い込みから不要な配慮や気遣いをしてしまう『慈悲的差別』。
結果、対象となる他者のさまざまな機会を無自覚に奪ったり、傷つけるリスクのある心理作用です。
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当人の体力面・体調面にまったく問題がなかったとしても、子どもがいる女性だからといって負荷のかかる業務を任せない、というケースが例として挙げられます。
「あの女性社員は子どもがいるから、この業務を任せるのはやめておこう」
◆ステレオタイプバイアス
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性別や学歴、世代などの属性に対する先入観や固定観念といった「色メガネ」を介して、属性に該当する人たちには特定の特徴があると決めつけてしまう『ステレオタイプバイアス』。
『ステレオタイプバイアス』が作用することで、認識や判断を誤ってしまったり、社会的に不適切な言動をしてしまうリスクが生じてしまいます。
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特定の属性に対して無意識の偏見・思い込みによってレッテルを貼ろうとするケースが例として挙げられます。
「男性は●●であるべきだ」「女性は▲▲であるべきだ」
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この続きでは、ビジネスシーンにおける『アンコンシャスバイアス』によって生じる弊害や、発生メカニズムや対処法について解説しています。
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