マネジメント リカレント教育:日本的経営が残した問題

最近、リカレント教育について質問を受けます。

岸田内閣が、次年度からリカレント教育を推進することを決定し、関係省庁もこれまでにない(とは言ってもかなり少ないと思おますが)予算を計上。大学と企業の連携のため、情報交換が進められているそうです。

しかしこれまでの人材育成政策と同様に、普及させるのは、なかなか難しいのではないでしょうか。

特に新型コロナウイルスの蔓延から、日本の企業経済の様々な問題が露呈する中で、人材育成についても、大きな問題となっています。

毎月の有志勉強会には、経営者の方も参加して頂いていて、人材育成は重要な課題の1つのようです。また、テレワークが進み、組織の形が変化したことで、個々の役割が分化し、連携がうまくいかないという話を聞きます。

そうしたことから、リカレント教育に対する期待がある一方で、実際には、絵空事に見えているように感じました、
そのため今回は、人材育成を基に、日本企業の問題点を考えます。

・日本のマネジメントの現在地
話を進める前に、すこし大きな視点から考えます。
これは僕がよく感じることですが、中小企業の場合、多くの経営者の方が、「仕事」のプロであっても「経営」のプロではないという点です。
日本の資本主義は戦後に発展しました。つまり日本の現代的な経営は戦後に発展したことになります。
もちろん皆さんご存知の通り、日本は世界でも類を見ないほど、歴史の古い企業が多く存在します。「名経営者」と言われる人もたくさんいます。しかしほとんどの企業は、戦後の復興から発展の中で、「仕事」の能力を高めてきましたが、「経営」の能力は重視されてきませんでした。
そのため、1980年代から海外から評価された日本の経営システムとは、主に「モノづくりのマネジメント」でした。そし特にてバブル経済崩壊以降は、日本の企業は「現場一流、経営三流」と言われています。しかし「先進国日本」という認識に囚われた人たちはこの事実を知らないようです。

・OJTの崩壊
近年、特にテレワークが進展してから、日本のOJT(On the Job Training:職務を通じた教育)が問題になっています。
OJTは、主に技能や熟練を習得する方法として活用されてきました。しかし現代の仕事は、‘判断’が多く求められます。適切な判断をするためには、適切な判断基準を持つ必要があります。OJTによる教育は、こうした内容にはあまり役に立ちません。しかし他の教育方法を知らない、日本の多くの企業ではOJT、つまり「俺を見て覚えろ」や「こうやってやってきたんだ」という概念の押し付けが横行しています。そのため特に最近では、OJTという名で、意味のない社内ルールや。時代の変化に合わない成功例の押し付けになってしまっています。
つまり日本の多くの企業は、人を教育する「仕組み」を持っていません。

・働く人の「学ぶ」責任
世界では、日本の労働者が「勉強しない」ということがよく知られており、しかも少し異様な目で見られています。
日本人は思いやる気持ちや察することなどで仕事をします。そのため基本的には高い能力を持っています。しかし日本人の国際機関などの職員は非常に少いです。
それではなぜ世界で活躍することが難しいのでしょうか。
その理由の1つが、日本人の「勉強」が圧倒的に足りていないことです。

戦後の日本は、目醒いい勢いで復興・発展を遂げました。日本の発展の理由として、よく「日本人は勤勉だから」とか「日本人は手先が器用だから」などと言われますが、、、

それがもし本当なら、とても真面目で腕の良い職人であった僕の父は、今頃大金持ちになっているはずです。しかし残念ながら、そうはなりませんでした。

それではなぜ日本は発展できたのか。それは様々な条件が重なったからですが、その1つは、経済の成長以上に人が増えた、つまり作っただけ売れたからてす。その証拠に、日本経済は外圧や極端な環境変化で、何度も大きな景気後退を経験しています。
こうした歴史の中で日本企業は、成長と拡大を正解としてきました。実際に多くの企業が成長し、中には適正な規模を超えて大きくなりました。
企業が成長(拡大)すれば、当然人が必要になります。また日本人の性質もあって、日本的経営の特徴、終身雇用や年功序列制度が出来上がりました。しかしこの仕組みは、端的に言えば
「勉強しなくても(個人の能力に関わらず)
昇給・昇進できる」仕組みになりました。

しかし現代の環境や仕事の内容で、そんなことが通用するわけがありません。

また日本の教育も、こうした背景の中で求められる人材の教育をしてきましたし、またこうした仕組みの中で昇進した人たちが作った仕組みでした。

そういう点から言うと、昭和の仕組みを引きずる人が、日本の教育について文句を言うのを聞くと、ちょっと腹が立ちます。
我々の世代は、彼らが作った社会の「立て直し」をしているのですから。

話を戻して。

実はこうした日本の特徴は、海外からは特異に見られています。
なぜなら欧米では、一定以上の、多くの給与を得ている人は、自己責任で学び、時代や環境の変化だけでなく、より大きな責任に耐えられる知識や能力を身に付けた人だけが昇進できます。
また会社が求める能力を身に付けた続けていない人、簡単に言えば「勉強」していない人は、解雇されます。

だからこそ、欧米ではリカレント教育が一般的なのですが、、、

さて、日本でリカレント教育は普及するのか。

そもそも、こうした背景が理解されたとき、今責任ある立場にある人がどれだけ生き残れるのか。

経営者や管理職の皆さんも、覚悟を問われることになるかと。

そう考えると、多くの、謙虚に努力を重ねている人に、チャンスが生まれると思いたいですね。

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