【読書】『最後にあなたを救う禅語』大愚元勝
今日ご紹介するのは、大愚元勝氏の『最後にあなたを救う禅語』(2020年、扶桑社)。
著者の大愚元勝氏は、佛心宗大叢山福厳寺のご住職。しかし、ただの僧侶ではない。著者紹介文によると「僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、『僧にあらず俗にあらず』を体現する異色の僧侶。」だそうである。
そして何より、YouTubeで大人気のお悩み相談番組『大愚和尚の一問一答』が有名だ。本記事執筆時(2021年12月14日)現在、チャンネル登録者数 はなんど、42万人にものぼる。
Web記事も多数執筆していらっしゃり、音声プラットフォーム"Voicy"のパーソナリティであり、「仏教に学ぶ『生き方働き方』」という音声番組を発信していらっしゃる。
こういった各種メディアを通じて、悩めるみなさんに対して、数々の、救いの言葉や生きるヒントになる言葉をかけてくださる。
私が大愚元勝氏を知り、この本を手にするきっかけになったのも、Voicyで、大愚和尚の優しい声と、温かく愛にあふれる語り口に惹かれたからだった。
この本では、50の禅語を紹介し、禅語の由来や、それにまつわるいろいろな話を紹介している。そしてそれらを、私たちの日常生活に引き寄せて、こうしてみるとよい、というところまで、易しく解きほぐしてくれる。禅語、というと、ちょっと難しそうだが、誰にでも読める、読者に優しい本である。
以下、50の禅語のうち、私が特に覚えておきたいものについて書き留めておく。セレクトした10の禅語とその読み方、掲載ページ、各禅語についての本書での説明とキャッチコピーをどうぞ。
【艱難汝を玉にす】(かんなんなんじをたまにす)p24-
困難を受け止めた経験があなたを玉=宝石のように美しく輝かせる。
→「困難や苦しみをチャレンジに変えてみる」
【現成公案】(げんじょうこうあん)p66-
自然界にあるものすべてをありのままに受け入れること、そのことが悟りにつながるという意味の、禅の根幹を表す言葉。
→「今ある苦しみを拒まず、ありのままに受け入れることで、人生は再び輝きだす」
【喫茶去】(きっさこ)p90-
中国唐代の名僧・趙州禅師は、どんな人にもさらりとお茶を勧めていた。
→「どんな人とも分け隔てなく向き合う心が、相手の内面を見抜くスキルにつながる」
【観自在】(かんじざい)p162-
33の姿に変化して人々を苦しみから救うといわれる観音様の柔軟で自在な姿勢。
→「成功へ向けて、独創的な戦略を生み出すヒント」
【菩薩行】(ぼさつぎょう)p196-
観音菩薩は、決してひとりだけ幸せになろうとはせず、すべての人々が苦しみを離れて幸せを得るまでは、高みには行かない、すべての人々を救いあげると誓っている。
→「湧き出てくる思いやりをあなたなりの方法で届けよう」
【威儀即仏法】(いぎそくぶっぽう)p200-
「威儀」=日々の暮らしの中の作法にかなった行い。日々の細かな行いこそが、仏の教えそのものであるという曹洞宗開祖の道元禅師の教え。
→「洗練されたぶれない日常を重ねれば創造的で実りある人生にシフトできる」
【我逢人】(がほうじん)p248-
人と出会うことがすべての始まりであるという禅語。
→「会うべくして出会った人となら、不可能を可能に変えることができる」
【放下著】(ほうげじゃく)p256-
修行僧・厳陽が「私は何も持っていませんが、どうしたらいいですか?」と問うと、趙州禅師は「捨て去ってしまえ」と言った。
→「幸せになりたいのなら、得てきたものをまず捨てよ」
【善因善果 悪因悪果】(ぜんいんぜんか あくいんあっか)p268-
良い行いは良い結果を生み、悪い行いは悪い結果を生む。
→「自然に良い行いをすることでそこに温かな光が差す」
【六根清浄】(ろっこんしょうじょう)p284-
「六根」=6つの感覚(目、耳、鼻、舌、身、意(=意識))は、人間の欲の源。この人間の根源的ともいえる欲を断ち切り、外へ向けて、誰かに対して功徳を施していくことで六根が浄化され、正しい仏の道を進むことができる。
→「何もない『無』の状態でも、幸せはいくらでも生み出せる」
ここに書き留めたのは、ほんの一部。これらを含む50の禅語は、心が疲れたときなどに読むと、救いの言葉となると思う。
ご参考になれば幸いです!
※私の過去の読書録記事へは、こちらのリンク集からどうぞ!
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