マガジンのカバー画像

ところで、愛ってなんですか?

10
デビュー歌集『夜にあやまってくれ』から現在にいたるまで一貫して「愛」を詠みつづけてきた歌人・鈴木晴香さんが、愛の悩みに対してさまざまな短歌を紹介します。月一回更新予定です。
運営しているクリエイター

#左右社

ところで、愛ってなんですか? [第9回]

私はこの街に生まれたのではない。 この街の海をまだ見たことがないし(あの少年との約束をま…

左右社
1か月前
30

ところで、愛ってなんですか? [第8回]

起きている時も、夢を見ているのかもしれない。ドラッグストアの光や交差点のクラクションにか…

左右社
2か月前
18

ところで、愛ってなんですか? [第7回]

この店をオープンした日を思い出していた。 たいていの場合、店を始める前には計画を立てるの…

左右社
3か月前
22

ところで、愛ってなんですか? [第5回]

風が強い。季節が変わるのだろうか。 それとも、何も変わらないのだろうか。 〈BAR 愛について…

左右社
5か月前
25

ところで、愛ってなんですか? [第4回]

日曜日は、空が明るくなり始めたらBARを開けることにしている。朝はいい。姿の見えない鳥が鳴…

左右社
6か月前
28

ところで、愛ってなんですか? [第3回]

暗闇に包まれていると、自分の躰がどこまであるのか、その輪郭がわからなくなる。どうしてもそ…

左右社
7か月前
30

ところで、愛ってなんですか? [第2回]

BARの開店よりずっと前から、あたりは暗い。冬だ。 夏と冬どっちが好き、という質問に、生きている間にときどき巡り合う。その問いが投げかけられるのは、当然かもしれないけれど決まって夏か冬だ。そんなとき、夏には冬と、冬には夏と答える。だって、いま目の前にないものを愛したくなるものでしょう? ここは愛の相談所〈BAR愛について〉。店を開けてしばらく本棚の埃を拭いていると、埃がライトに当たりながらきらきらと落ちてきれい。ひかりにあたるとき、埃はひかりのぶん重くなったりするんだろうか