左右社

2005年設立の、人文書・文芸書を中心に刊行する出版社です。左右社という社名は書家の石川九楊先生に付けていただきました。亀のかめ吉を飼っています。

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マガジン

  • 浅生鴨の短編Z

    月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばない) 過去のマガジン『短編三〇〇』をまとめた 第一集『すべては一度きり』 https://amzn.to/3MSgEOq 第二集『たった二分の楽園』 https://amzn.to/3P7uTRi 第三集『三万年後に朝食を』 https://amzn.to/4e0cf9X 発売中。 第四集も準備中!!

  • 池上晴之 『ザ・バンド 来たるべきロック』

    2024年11月6日より、元編集者で批評家の池上晴之さん初の書籍『ザ・バンド 来たるべきロック』を発売いたします。本書の刊行を記念し、試し読み、書評を無料公開いたします。

  • ところで、愛ってなんですか?

    デビュー歌集『夜にあやまってくれ』から現在にいたるまで一貫して「愛」を詠みつづけてきた歌人・鈴木晴香さんが、愛の悩みに対してさまざまな短歌を紹介します。月一回更新予定です。

  • 男の愛/町田康

    「海道一の親分」として明治初期に名をはせた侠客、清水次郎長。その養子であった禅僧・天田愚庵による名作『東海遊侠伝』が、町田版痛快コメディ(ときどきBL)として、現代に蘇る!! 月一回更新。 ★既刊『男の愛 たびだちの詩』(第1話〜24話収録)、大好評発売中★

  • 『#サーチして短歌ツイートすぐできる枡野浩一全短歌集』

    • 495本

    このマガジンの記事は『#サーチして短歌ツイートすぐできる枡野浩一全短歌集』一本のみです。あとの記事はおまけで、増えたり減ったりします。

最近の記事

【書評】池上晴之『ザ・バンド 来たるべきロック』は音楽評論なのか?/池上晴之(いけがみ・はるゆき)

2024年11月6日発売の『ザ・バンド 来たるべきロック』の著者、池上晴之さんが、自著について書評します。 作者が自分が書いた本の書評をすることは可能なのだろうか。 『ザ・バンド 来たるべきロック』(池上晴之/著)は「私」が書いた本である。しかし、書かれた本である以上、たとえそれが「自分」が書いたものだとしても、批評することは可能なように思われる。  私が読者として改めて「いつの日か、ロックはザ・バンドのものとなるだろう」という本書の第一部を読んでまず感じたのは、作者は「

    • ところで、愛ってなんですか? [第10回]

      美術館には、ひとりで行くのもふたりで行くのもいい。ひとりなら、好きな絵をいつまで見ていても構わない。ふたりなら、見落としていた絵の美しさを教えあえる。花と夕日で違う赤。煙突の奇妙な長さ。 どうして人は絵を見るのだろう。絵は、距離を隔てて見ることしかできないし、その日の心身のありようや選んだ眼鏡で、見え方は変わってしまう。それでも私たちは絵を見に行く。確かにこの絵に立ち会った、という事実に、立ち会いたいのだ。描かれたとき、この絵の前に画家は確かに存在した。時間を超えて画家と肉体

      • 捕吏に囲まれて逃亡、未来へ向けて/町田康

         不遜で強欲な宮番は谷底の激流に呑み込まれ見えなくなった。誰にも見られていないことを確認したうえで、次郞長は静かにその場を離れて麓に降りていった。その次郞長に、 「あ、親分。おかえんなさい。うまくいきやしたかい」  と声を掛けたのは茶店で待たしてあった半五郎である。どうやら次郞長を待ってる間に食らい酔ったようで、いい具合にできあがっている。  酒を飲まない次郞長、酔った半五郎を一瞥すると、腰掛けもしないで立ったまま、一言、 「さ、行こう」  と言った。なのに半五郎は腰を上げな

        • 水野しず『抜け出しても抜け出しても変なパーティー』サイン本取扱店

          【サイン本お取り扱い書店様】【北海道】 MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店 【東北】 ●岩手県 MORIOKA TSUTAYA 【関東】 ●東京都 旭屋書店 池袋店 ヴィレッジヴァンガード 下北沢店 紀伊國屋書店 新宿本店 今野書店 ジュンク堂書店 池袋本店 STORY STORY UENO 誠品生活 日本橋 大盛堂書店 蔦屋書店 下北沢店 ブックスルーエ 芳林堂 高田馬場店 本屋B&B 八重洲ブックセンター 阿佐ヶ谷店 ●神奈川県 丸善 日吉東急アベニュー

        • 【書評】池上晴之『ザ・バンド 来たるべきロック』は音楽評論なのか?/池上晴之(いけがみ・はるゆき)

        • ところで、愛ってなんですか? [第10回]

        • 捕吏に囲まれて逃亡、未来へ向けて/町田康

        • 水野しず『抜け出しても抜け出しても変なパーティー』サイン本取扱店

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          初月無料 ¥640 / 月
        • 池上晴之 『ザ・バンド 来たるべきロック』
          3本
        • ところで、愛ってなんですか?
          10本
        • 男の愛/町田康
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        • 『#サーチして短歌ツイートすぐできる枡野浩一全短歌集』
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          5本

        記事

          ところで、愛ってなんですか? [第9回]

          私はこの街に生まれたのではない。 この街の海をまだ見たことがないし(あの少年との約束をまだ果たしていなかった。私はいつもそうだ)、通りの名前も、駅の名前も、自分が使うところだけをようやく、といった感じで覚えているだけだ。だからたまに違う道を選ぶと驚いてしまう。この道とこの道はこんなところで交わっていたのか、と。 生まれた街ではそうではなかった。地名は景色と結びつき、駅と街は頭の中で重層的に繋がっていた。地図は外側にあるのではない、私の内側にあったのだ。 親のことを思い出すとき

          ところで、愛ってなんですか? [第9回]

          人は鏡。自分が態度を改めれば相手もきっとわかってくれる/町田康

           安政三年三月三日、寺領百石、多くの参詣人を集め、おもしろいことが行われる桃尾山龍福寺に博奕場を開く許しを得ようと、次郞長は一人でお山の坂道を登って行った。  然うしたところ、既に彼方此方に「お賽銭勘定所」という札が立っていて、多くの人がこれに出入りしていた。このお賽銭勘定所というのを字義通りに解釈すれば善男善女が奉ったお賽銭を数えるところということになるが、果たしてその実体は博奕場であった。  と云うのは何度も言うように博奕は天下の御法度であった。それ故、実体通りに、「お博

          ¥200

          人は鏡。自分が態度を改めれば相手もきっとわかってくれる/町田康

          ¥200

          【試し読み】済東鉄腸『クソッタレな俺をマシにするための生活革命』より、「俺が脱引きこもりへと歩み出したというこの異常事態をお伝えするための長い長い前置き」

          #千葉ルーでおなじみになった、エッセイスト済東鉄腸さんの第二作目『クソッタレな俺をマシにするための生活革命』(本体価格1,800円+税)を、24年11月29日より全国書店およびネット書店にて発売いたします。 「男らしさ」考を扱う新機軸の本でありながら、引きこもり、語学オタクといった、鉄腸さんのアイデンティティが詰まった内容です。 刊行を記念して、「はじめに」を無料公開します! はじめに「俺が脱引きこもりへと歩み出したというこの異常事態をお伝えするための長い長い前置き」

          【試し読み】済東鉄腸『クソッタレな俺をマシにするための生活革命』より、「俺が脱引きこもりへと歩み出したというこの異常事態をお伝えするための長い長い前置き」

          【ゲラ読み書店員さん募集!】10月末刊行ソ・イジェ『0%に向かって』 *韓国文学短編集

          ★書誌情報ジャンル:韓国文学/短編集 著:ソ・イジェ 訳:原田いず 取次搬入予定:10月30日 定価:2,400円+税 仕様:四六判変形 並製 384ページ ISBN:978-4-86528-439-3 装幀:森敬太(合同会社飛ぶ教室) 装画:ぱいせん ★内容紹介独立映画、モータウン・サウンド、HIPHOP…… メインストリームから外れたソウルの「B面」 市場における観客占有率が「0%に向かって」減少の一途をたどっている独立映画をテーマとした表題作ほか、映画のシーンナン

          【ゲラ読み書店員さん募集!】10月末刊行ソ・イジェ『0%に向かって』 *韓国文学短編集

          【試し読み】ソ・イジェ『0%に向かって』でたどる〈音楽〉と〈独立映画〉

          ソ・イジェ……1991年、韓国・清州(チョンジュ)生まれ。ソウル芸術大学映画学科卒。在学中に小説を書きはじめ、2018年に中編「セルロイドフィルムのための禅」が『文学と社会』新人文学賞を受賞し、デビュー。2021年に「0%に向かって」で若い作家賞、本書で今日の作家賞を受賞。続く2022年には「頭蓋骨の内と外」で2年連続となる若い作家賞、「壁と線を越えるフロウ」で李箱文学賞優秀賞、『0%に向かって』でキム・マンジュン文学賞新人賞を受賞と、デビュー数年にして数々の名だたる文学賞を

          【試し読み】ソ・イジェ『0%に向かって』でたどる〈音楽〉と〈独立映画〉

          【追悼】福田和也さんを悼む 

          池上晴之(いけがみ・はるゆき) 2024年11月6日発売の『ザ・バンド 来たるべきロック』の著者、池上晴之さんが、去る9月20日に急逝された文芸評論家の福田和也さんを悼み、福田和也さんとの想い出を語ります。 ─────────────────────────────────  福田和也さんが昨夜亡くなったという報せが届いた。  ぼくが最初に福田さんに会ったのは大学三年の時だった。その時すでに福田さんは伝説的な人だった。噂ではジャケットにネクタイを締めて、銀座の資生堂パーラ

          【追悼】福田和也さんを悼む 

          雪舟えま『地球の恋人たちの朝食』特典&サイン本取扱店

          【購入者限定特典つき書店様】ジュンク堂書店池袋本店(東京都) ★ジュンク堂書店池袋本店限定「まみからの手紙」ペーパー 著者の雪舟えまさんが「現在のまみ」から「あの頃のまみ」へのお手紙を書き下ろしてくださいました! ★装画ポストカード ★サイン本取扱あり ★刊行記念フェア開催中 紀伊國屋書店新宿本店(東京都) ★紀伊國屋書店新宿本店限定書き下ろし短歌ペーパー 著者の雪舟えまさんが、『地球の恋人たちの朝食』のキャラクターに寄せた短歌10首を書き下ろしてくださいました! ★装

          雪舟えま『地球の恋人たちの朝食』特典&サイン本取扱店

          【試し読み】池上晴之『ザ・バンド 来たるべきロック』 「第一章 どうしてぼくは「ザ・バンド」を聴いているのか」

          2024年11月6日より、元編集者で批評家の池上晴之さん初の書籍『ザ・バンド 来たるべきロック』を発売いたします。 刊行を記念して、本書の「Ⅰ いつの日か、ロックはザ・バンドのものとなるだろう 第一章 どうしてぼくは「ザ・バンド」を聴いているのか」を無料公開いたします。 【書籍概要】 ルーツ・ロックやボブ・ディランのバックバンドというイメージを覆す、日本初の本格的ザ・バンド論。 【書籍概要】ルーツ・ロックやボブ・ディランのバックバンドというイメージを覆す、日本初の本格的ザ

          【試し読み】池上晴之『ザ・バンド 来たるべきロック』 「第一章 どうしてぼくは「ザ・バンド」を聴いているのか」

          擬タイ日記 第2回

          mixiからメールが来た。 若いひとは知らない可能性もある、あのSNSのmixiだ。 連載タイトルにも入っているけれど、昔から割と「日記」をつけている。とはいっても「割と」くらいなので、継続的に毎日つけているなんてことはまったくない。衝動性の塊で、あらゆるタイプの「継続」が苦手な人間である。 日記を書くなんて行為はどだい向いていない。でも書かないといろんなことを忘れていくし、たんに自分の経験とか感情を書きとめておきたいという欲望もある。 結果、数ページとか何十ページとかだ

          擬タイ日記 第2回

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「夕顔」帖2

          2024年9月、NHK「100分de名著」にウェイリー版源氏物語が取り上げられました! 放送を記念して、毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」第1巻より、「夕顔」帖から一部をご紹介します。 門から敷地内に乗り入れ、玄関前の欄干に横付けすると、馬車に乗ったまま部屋の準備ができるのを待ちます。ウコンは終始素知らぬふりをしていましたが、内心で、マダムのかつての逃避行と思い比べていました。先刻から、この新しい恋人に管理人が最敬礼しています。この方が誰なのか、ウコンに

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「夕顔」帖2

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「夕顔」帖1

          2024年9月、NHK「100分de名著」にウェイリー版源氏物語が取り上げられました! 放送を記念して、毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」第1巻より、「夕顔」帖から一部を紹介します。 ゲンジが、秘かに六区(ロクジヨウ)の女性[註1]のもとへ通っていたころのことでございます。 パレスからの帰り道のある日、昔の乳母(めのと)を見舞おうと思いつきました。この乳母はいまでは尼僧となり、もう長いこと重い病気に伏せっていたのです。住まいのある五区を尋ね回り、ようやく

          【試し読み】毬矢まりえ・森山恵姉妹訳「源氏物語 A・ウェイリー版」より「夕顔」帖1

          ところで、愛ってなんですか? [第8回]

          起きている時も、夢を見ているのかもしれない。ドラッグストアの光や交差点のクラクションにかき消されているだけで。 いつもは見えなくなっている昼間の夢。それが、あるきっかけで現実よりもはっきりと浮かび上がることがある。鍵を鍵穴に差しながら、郵便物をより分けながら、目の前のできごとが遠のいてゆき、別の世界が映し出される。 好きな人、ただその人のことを思ってしまうのだ。 思ってしまうんだから仕方がない。暑ければ汗をかくとか、走れば心臓が速く拍動するとか、そういうのと同じ。自分では止め

          ところで、愛ってなんですか? [第8回]