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「肥満」は非難で「痩せ」は放っておいて良いの?
20年以上前だったでしょうか
米国が発信元だと聞きましたが、
「肥満者はリーダーになれない」と言われていることにちょっとしたショックを受けました。
「肥満者は自分の身体も管理できず自己管理力に欠けていて、そんな自分も管理できない人間に、人や組織を管理できるわけがない」
という批判めいた説明に、
体型で人の能力が判断されるんだと、ちょっとセンセーショナルに思ったし、
肥満という体型が日本の肥満の比じゃないような米国なら、
そんなことも言われるようになるのも、分からないわけではないけれど、
これを聞いた当時の自分は、
痩せることに闘志を燃やしている摂食障害だったので、
「やっぱり太ってるってダメなんだ」
そう思いました。
現在も、生活習慣病の増加、健康ブーム、ヘルシー志向の煽りもあると思いますが、
肥満の人や太っている人にだけ体型批判めいた自己管理力を求めてくるような傾向は、未だにあると感じるし、少し偏りがあるなと思います。
標準値(BMI値18.5以上25未満)をはみ出した肥満が自己管理力を求められるのなら、
基準値をはみ出した痩せている人もまた、
自己管理力を求められるんじゃないかと、シンプルに思いませんか?
痩せている若い女性が増加していることは、
低体重児の出産や、生理不順による不妊症から少子化へとつながる社会的な問題です。
また、
ダイエットによる骨密度の低下は骨粗鬆症を引き起こし、高齢になって転倒骨折でもすれば、
要介護、寝たきり状態になることは超高齢社会の日本において避けたい事態です。
「肥満」が引き起こす生活習慣病の指導とともに、
「痩せ」が引き起こす健康被害の啓蒙も大々的にされてもいいじゃないかと思えます。
実際、
痩せが引き起こす健康被害をなくそうと、活動している法人や企業はあるようですが、
多くの人が痩せることが絶対という「痩せ信仰」に心酔しているので、
痩せていることの健康被害なんて興味も関心もなくて、
とりあえず見向きはされるかもしれないけど、立ち止まってなんかくれないことが多い。
「痩せへの信仰」の根は深いんです。
生活習慣病が増加しているのは確かに問題ですが、
痩せろ痩せろと痩せていることが良いことだ健康だという世間の空気感が強く、
痩せる必要のない人にまで、
痩せることは良いことだ健康だと、洗脳されているかのように感じます。
私は特別養護老人ホームで管理栄養士をしていますが、
80代後半の女性のご入居者様に「あなたはスリムで羨ましいわね。」と言われます。
その方はBMI値痩せの域(BMI値18.5未満)です。
前の施設でも、その前の施設でも、認知症が軽度で比較的クリアな方にも、同じように言われました。
70代・80代といえば、
体力低下や筋力低下、認知機能低下を防ぐために、痩せてはいけないステージにあるのに、
そんな年齢になっても、
女性は「痩せていることが良し」と感じているのです。
これからは死のうにもなかなか死ねない時代です。病気をしても医療や薬剤の発展で「生かされてしまう時代」です。
生活習慣病などの慢性疾患を始め、突然倒れようが、癌になろうが、
骨粗鬆症といった摂食障害の後遺症が降りかかってこようが、
最悪の状況でも命は助けられ、健康寿命ではなく「平均寿命だけ伸ばされるような生き方」を受け入れざるを得なくなるかもしれないのです。
一般的に言われることやマスメディアが発信することが正しいことだとは限らないと、私たちは知ってきました。
アンテナ張って自分を守っていかないといけない、危険な時代だと感じています。