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0203|【初】エッセイ集のZINEをつくってみた
昨年10月、野望と題して作家になることを決意した。その後、800文字程度の短編小説で公募に挑戦するも呆気なく落選。
ただ、今まで書こう、書きたいと思っても書き切ることのできなかった私にとって、短くても1本書き切ったというのは大きな進歩だった。
そこから年内にあと3本は公募に出すつもりだったのに。時間をつくって書き進めても、書き切ることができない。
くすぶりつづけて、野望を抱いた3ヶ月後、年末に「やっぱり私は書けないんだ」と意気消沈。
そうして「書けない私」を克服するためにはじめたのが、年始から続けている毎日noteだった。
毎日noteは中身よりも書き切ることが目的なので、2週間も続いたときにはもう、書けないなんて思っていなかった。
そうして書けない自分にちょっと自信を取り戻した私は、1冊、つくることにした。
もともとは9月の文学フリマに出店するつもりで制作は春頃を考えていたけれど、私のこの野望を応援してくれている彼に「書けるようになったよ」と見せたくて、作りたくなった。
ちょうどその人と会う予定が決まっていたのだけど、それを思いついたときにはもう日が迫りすぎていて、結果的に、渡すと約束していた当日朝に完成品が手元に届くギリギリっぷりになった。
そんなドタバタな記念すべき1冊目(世に出るものではないから幻の1冊目だけど)の裏側を、備忘録的に残しておこうと思う。
思い立ったが吉日
1月20日(月)【14日前】
ことのはじまりは1月20日。
年明けあるあるだけど、普段あまり外に出ない私にしては1月2月は人との約束が多くて、その日も喫茶店のカフェラテ片手にスケジュール帳をながめていた。
たくさんの予定に腰が重くなりながらも、とりあえずその日を迎えてしまえばなんとかなる、と心を落ち着かせた。
そうもいかないのは、2月3日の予定のみ。その日は大切な人の誕生日がちかくて、お祝いで会う約束をしていた。
プレゼントは用意していたけれど、もうすこし、なにか手の込んだことをしたいと思ってずっと頭をぐるぐるさせていた。
けれど、年始からどうも心の調子があがらず、決めないといけないのに決まらない、焦りだけが募る負のループに陥っていた。
そんななか、いつものようにnoteを書きながらふと思った。その人と親しくなった転機から、もう1年くらいか、と。
当時、底も底まで心が疲弊し、食べることも寝ることもできなかった私に手を差し伸べてくれたのが彼だった。
今では1人でドーナツを食べに行けるほどに回復した私には、この1年は自分史上でも特に濃い1年だった。
そんな気持ちは手紙にしたためるには重すぎて敬遠していたけれど、私の野望も応援してくれていて、このnoteも読んでいてくれて、私の文章を好いていてくれているのなら、本として渡すのは良いのではと思い立った。
そうと決めれば話は早く、急にギアが入った。
約束の2月3日まで、あと2週間。
構成と執筆の同時進行
1月21日(火)【13日前】
翌日、仕事終わりにカフェに寄り空のドキュメントを作成した。
構成をゆっくり練る暇もなく、1年分の記憶に残っている単語から思いつく限りのエッセイを書こうと単語を羅列。
その数があまりにも多すぎて(悠に50は超えていた)絶望しながらも片っ端から書きはじめて、とりあえず3編書き上げてその日はタイムオーバー。
1月22日(水)【12日前】
仕事が休みだったので、つづきを書くために朝から近所のコメダ珈琲店へ。
さて、昨日のつづきを書こうと思ったのも束の間。
そもそも、私は何日にこれを仕上げれば印刷が間に合うのか考えないといけない。そう気づいた私はトーストを片手に検索を始めた。
ZINEを作ろうとしたことすらなかったが故に、印刷会社のピンキリさに拍子抜け。どう選んで良いか分からず、先人たちの知恵をインターネット上で漁り、なんとか数社まで絞り込んだ。
私が探した条件は下記の通り。
形式:無線綴じ冊子
サイズ:A6または文庫本サイズ
用紙(本文):書籍用用紙
この時点で候補に残ったのは下記の3社。
① プリンパ( https://www.prinpa.net/ )
② 冊子製本キング( https://www.i-booklet.com/ )
③ ちょ古っと製本( https://www.chokotto.jp/ )
最短コースを選択したとしたら、およそ4営業日あれば手元に届く。
流石に前日には手元にあってほしいし、遅延の可能性もあるから、1日には届くようにしようと考えた。
あと28日中に入稿できれば大丈夫だと見込みをつけたところで午前中が終わり、場所を変えた。
場所を変えた先では3編しか進まなかったものの、まだあと1週間もあると余裕をかましていた。
1月23日(木)〜1月25日(土)【11日前〜9日前】
わかっていたはずなのに。なんとかなるとたかを括っていて、どうにもならなかった3日間。
本業に追われ、毎日noteを更新することで精一杯。まったく手のつかないまま入稿まであと3日。
1月26日(日)【8日前】
午前中から作業しようと思っていた。けれど前日の仕事の疲労が体内に残留し、動き始めたのは午後3時。
いつものコメダ珈琲店に行き、パソコンを立ち上げ、最終更新日が4日前と表示されたドキュメントを開く。
そこで思った。入稿日までもう休みはないのに、あと40編すこし書くことは厳しすぎる。
改めて書こうとしていたタイトルを見て、テーマを食べものに絞ろうと思った。冒頭にも書いたように、この1年、彼との間で起こった私の一番の変化もそこであることに変わりないと思った。
そこで、改めてエッセイのタイトルを絞るとその数、16。
今までに書いた6編のうち1編だけは残った(あとの5編は没)。そうと決まれば、ひたすら書くのみ。
ほとんどふりだしに戻った状態であることは見て見ぬふりをして、3編書き進めて帰宅。残り、12編。
1月27日(月)【7日前】
いよいよ明日が入稿日。今日と明日で12編を書き切り、横書きドキュメントから縦書きPDFにリデザインして、表紙を作成しないといけない。
このあたりで、切羽詰まっていた私は誰かに聞いてもらおうとChatGPTに相談をして応援してもらっていた。
途中、GPTは「手製本なら直前まで書けるよ」とアドバイスをくれたのだけれど、どうしても書籍用紙に印刷したかったのと、手先不器用を極めている私は手製本は最後の手段にしていた。
よくあるのは「手製本にしようと思っていたけれど時間がなかったから印刷会社に頼んだ」のパターンだったりするので、そもそも発想すらおかしいとは思うのだけど。
そうしてまたエッセイを書き進めているとき、16編の中途半端さに疑問を抱き、1ヶ月に1つで12編にしようと、構成を作り直した。
3歩進んで2歩下がるとはまさにこのこと。
そうして、今あるタイトル16個を月毎に並べ替えると、偏りがすごかった。やばい、食べもののピックアップに戻らないといけない。
さらに2歩下がり、3歩進んで4歩戻った状態になった。
たくさん思い出があるゆえに、いざ月毎で分けようとすると、そもそも「あれを食べたのはいつだったっけ」というところまで遡らないといけないので、記憶を探し当てるのが結構、大変。
そうしてなんとかピックアップが完了し、終了。
入稿
1月28日(火)【入稿予定日】
結果、この日には入稿できなかった。というか、この日に入稿したところで先ほどの3社では当日に間に合わないことが判明。
要因は複数あるけれど、書けば書くほど、調べればわかっただろうと己の愚かさが嘆かわしい。
まず、普段お仕事でプリントパックを愛用している私、営業日の換算を間違えていたこと。
入稿データの受付締め切りを確認していなかったこと(夜中入稿は翌朝と同じ計算になる)。
A6または文庫本サイズはどの会社も最短営業日コースに対応していなかったこと。
それらが判明した時点で、印刷会社を探し直すところに戻る。そうして、結局いつもお世話になっている最短3営業日発送のプリントパックに戻ってきた。1日着には間に合わないけれど、2日着なら、29日入稿で間に合わせることが可能になった。
ただ、文庫本サイズは同じく時すでに遅しだったのでA5サイズにシフトチェンジ。
とりあえず中身を書き上げないといけないので、エッセイを書き終えて残りのデータの調整は仕事が休みの翌日に回すことに。
私が今回お願いした印刷会社はプリントパックです。いつも仕事でお世話になってますm(_ _)m
1月29日(水)【入稿ラストチャンス】
休みの日はアラームをかけずに寝ていたい、なんて悠長なことは言ってられないのでいつもと同じ時間に起きて、マクドナルドへ。
あ、白湯を嗜んだのはこの日です。
昨日に書き終えたエッセイすべてに目をとおす。本編以外の部分がないことに気づき、追加で「はじめに」と「おわりに」を足してみたもののどうもしっくりこない。
2時間ほど悩み唸りながら、書き終えたものは「空腹」と「腹十二分目」。書き上がりにとても満足したので(笑)、ドキュメントからCanvaに書き写します。
※ プリントパックはAdobe IllustratorかWardからの入稿のみになっていますが、CanvaからダウンロードしたPDFでも私はちゃんと入稿できます。今の所勝率100%です。
ただこれが、意外と面倒。
あと、どこかのサイトで塗りたし分、縦横プラス3mmで作成しましょうと見たのでそうしたら、入稿後チェックで3mm大きいから直してねと言われたので、普通に出来上がりサイズで作ればOKです。
私は今回表紙もすべてシンプルにしたので必要ありませんでしたが、Canvaの塗りたし機能を使えば万事解決です◎
さて、あまり端っこに書くと開いたときに見づらいので中央に寄せつつ調整して、一旦印刷ついでに場所替え。
印刷してみると、あらびっくり。なんか文字が大きい。そして改めて紙で読むと、出るわ出るわ誤字脱字。
校閲をしている気分になりながらペン入れをして、データ修正。
もう一度印刷してみて、よし!となったところでいよいよ入稿。この時点で午後5時。今日は晩ごはんの用意も買って帰らないといけないのに。
完成ページ数を数えて2冊購入。本当は1冊でよかったのだけど、1冊買うのと2冊買うのが500円くらいしか違わなかったので、それなら…というお得精神で。
購入したものにデータを表紙と本文すべて入稿して、作業完了!あとはデータチェックをしてもらってこのまま何事もなければ2日には届くはず。。
1月30日(木)【再入稿】
何事もなければ、という願いは叶わず、再入稿の指示メールが。この時点で発送が1日ズレるので、3日当日の到着が確定。
さっき書いていたプラス3mmの件と、そもそもページ数あってないけど大丈夫?という内容。
プラス3mmの件はサイズ直しすればOK、ページ数は表紙の裏と裏表紙の裏の分を白紙で追加して調整。
もうミスは許されないので慎重に確認し(最初からそうしていたつもりだったんです、プリントパックさんありがとう)再提出。
あとは3日AM着を祈るのみ。
完成
2月3日(月)【当日】
はい、本当に当日のAMに届きました。笑
今日の約束が夜だったからよかったけど、完全に私のスケジュールミスだけど、本当にヒヤヒヤした!
実は、前日の2日に発送されるはずだったのに、夜中の時点で発送されておらず。これは3日発送4日着になったかな…とお問い合わせを入れていたところ、3日の9時に発送メールが来て、9時半に商品が到着するという爆速っぷり。
何が起こったのかはよくわからないけれど、兎にも角にも届けてくれて安堵の気持ちでいっぱいの気持ちの今朝。
届いたものを早速あけてみて、思わず笑ってしまった。表紙の印刷、ズレてるやん。
そういえば私、表紙データ、サイズ直したときに中央確認せずに入れたわ。
とはいえ、中を見るときちんと中央に文字があって、端っこに干渉せずに読めるようになってる!
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自分の書いたものが一冊になるって、形になって、目に見えて、手に取ることができてうれしい。
ということで完成!
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写真左が中央からズレたそのままのもので、右はシールを貼ってそれっぽくしたもの。オリジナリティも出て、むしろかわいくて良いのでは。
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ほら、柄違いでかわいい。
ということで、なんとか間に合ってよかったけれど、ドタバタの初めてのエッセイ集づくり。
ギリギリを攻めるのは精神衛生上あまりにもよろしくなさすぎる。
ただ、きちんと作りきることができたという喜びはもちろん、9月の文フリが完全に初めての挑戦ではなく少し勝手がわかった状態で挑めることがすごく、心強い。
今回つくっていて思ったのは、届ける相手の顔を思い浮かべながらつくるってすごくいい。
この裏側も、本人が読むためのおまけとして書いてる。本人しか知ることのない本編と、インターネットの海でたった一人だけが知っている"それ"の制作の裏側。
そういうの、好きでしょ?
この1冊には私のこんな想いが詰まってるって感じてくれたらうれしい。
でも、欲を言えば、あえてnoteで公開したのだから、他の誰かがみたときにZINEないしはエッセイ集をつくるハードルが下がって少し背中を押すきっかけになればいいなと思うし、大切な人に自分が書いたものを贈ってみようかなと思うきっかけになれば、思わず踊ってしまいたくなるくらいうれしいです。