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【本を読んで思ったこと/感じたこと/考えたこと vol.6/前編】

▼こころを整えるしあわせレシピ/渡邊義・奈都子

この本を持って外出した日は、緊張と少しの期待と共に人に会い、落胆を持ち帰る日となった。会っている時の大半は楽しく過ごしていたのだが、終わりの方で、どうやら的外れの期待をしていたのだ、と分かる出来事があり、情けない様な、空回って恥ずかしい様な、敗北感と落胆の中で帰った。

帰り道、駅まで悶々としながら歩き、気分転換に、駅ビルの中の本屋さんに立ち寄った。本屋さんは、見つけるだけで嬉しくなり、時間があればフラフラと吸い寄せられる。外出の楽しみの一つだ。この時新刊コーナーでたまたま目に入ったのは、「ウチら棺桶まで永遠のランウェイ/kemio)」という本だった。

著者については全く知らなかったが、気風が良く"我が道を行く"感じが良い。落ち込んでいた気持ちが浮上し、本屋さんを出た時には、「今日の残りは、持ってきた本を思いきり読むぞ」という気持ちになっていた。

本を読む時は、静か過ぎても、うるさ過ぎても捗らない。適度に人がいて、程好く静かな環境を…と求めて行き着いたのは、新国立劇場に併設された、東京オペラシティ(美術館やレストラン等が入った複合施設)の円形の吹き抜けの回廊の1階に設置されたベンチだった。ベンチは4人掛け位で、回廊に沿って緩やかにカーブを描き、荷物を置けるスペースを挟んで、4人掛け×3といった具合に連なっている。ベンチからは、地下の階を見下ろす事も、空を見上げる事もできる。1階と地下の階は、すり鉢型の階段で繋がれており、私が辿り着いた時には、地下の広場でストリートミュージシャンがサックスを吹く音が、空まで響いていた。

良い場所を見つけた。だからだろうか。いつもより言葉がスルスルと浸透し、グサグサと刺さって、何度も泣きそうになり、休憩を挟みながら読み進めた。「ここで泣いていたら、情緒不安定な怪しい人過ぎる...」と、自分で自分に引きながら。

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