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9.【心の中のかけら】 今日という日に願うこと

色々な感情を経験した数ヶ月だった。たくさん苦しみ、涙を流した。その中でもわたしは“ひとりではない強さ”を初めて知った気がする。

ひとりではないから、今わたしはここにいる。そしてそこから、たくさんの感覚が湧き出ていることを感じている。

以前にも触れた話にはなるが、人生には幾度も同じ扉が現れると感じる。その扉を開けられるようになるまで、何度も何度も。

彼女との別れは、2年前の夏と重なった。彼女の言葉と歌声が好きだった。気軽に触れるとぱりんと割れてしまいそうな、でも手を伸ばしたくなるほどきらきらと輝く、ガラス細工のような言葉と歌声。透き通るような歌声と瞳の奥には、たくさんの努力が見えていた。


2年たった今でもわたしは、なんで、なんて言えない。

その代わりになんでもだよ、と答える。


ただ、なぜかわたしはあのとき、この人生に留まって、彼女は雪に溶けていった。

それは変えられない事実だから、わたしは、この世界が、今日という日が、昨日よりも少しでいいから、暖かく優しくなっていてほしいと祈る。そして、そのためにわたしがありたいと願う。

真っ暗で、冷たくて、苦しくて、息が留まりそうな苦しみは、もう誰も感じなくていい。あんな痛みは、わたしだけで十分だ。

きっと、わたしのすべての原動力はここにあると思う。辛いことが大半の人生だったから、あのころのわたしの代わりに、みんなには笑っていてほしい。わたしの願いはそこにあって、それが叶うことがわたしの幸せなんだと思う。

何度思いを巡らしてもたどり着く願いは、わたしは、この人生そのものを美しく輝く祈りにしたいということ。わたしのまわりを暖かく光の余韻に満ちた場所にしたい。

そのために、わたしはわたしの感覚と価値観を守り、自分自身を磨いていきたい。数よりも質を、まずわたしのまわり、今この場所から。

そのためにこの残りの命を使えれば、わたしはセナンクで安らかに眠れるような気がしている。

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