前澤 彩

この世にある、美しくて、姿として捉えきれない余韻のようなものについて。

前澤 彩

この世にある、美しくて、姿として捉えきれない余韻のようなものについて。

マガジン

  • 心の中のかけら

    世界のあいだで揺れうごく、自分の心を記したかけらたち。

  • 31日のかけら

    noteを習慣化するために日々綴った、ふとした瞬間のかけらたち。

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𝑃𝑟𝑜𝑓𝑖𝑙𝑒

はじめまして。 前澤 彩 ( まえさわ さや ) 1989年8月生まれ。 人生の格言は、“𝐿'𝑒𝑠𝑠𝑒𝑛𝑡𝑖𝑒𝑙 𝑒𝑠𝑡 𝑖𝑛𝑣𝑖𝑠𝑖𝑏𝑙𝑒 𝑝𝑜𝑢𝑟 𝑙𝑒𝑠 𝑦𝑒𝑢𝑥. (大切なことは目には見えない。)” / 『星の王子さま』より 𓇬 好き 美しいもの(ことば、時間、空間、薫り、音、建築物、曲線)、愛を感じるもの、唯一無二のもの、古いもの。 フランス(南仏)、教会、海、貝殻、月、夏の夜。 𓇬 特技 ・感情を追想すること ・人の話を聴くこと ・物事の構造を考えること

    • 人生を知ること

      わたしの中で“知る”という行為は、“恐れ”と向き合うための手段だ。 自分の中で納得ができないと行動力が格段に落ちる性格のわたしは、ことあるごとに調べる癖があるのだが、ある日ふと、なにがここまでわたしの探究心を駆り立てているのだろう、と考えたことがある。(ここでも調べ癖を発揮。)好奇心はもちろんのこと、それだけではないなにかが動機になっている気がしたのだ。 すると自分の中で、“恐れ”を消すために“知る”という手段をとっているのではないか?と気がついた。“恐れ”は実態が掴めて

      • 35歳の景色

        35歳の誕生日を迎えて1週間が経った。先日は台風で延期になった第二の故郷へ訪れ、日常とは距離を置き、自分自身と静かに向き合っていた。 去年ここに訪れたときとは、すべてが違っていた。わたしも、わたしの気持ちも、見える景色も。 なにも変わっていない、と落胆していた日々だったけれど、気づいていないだけで少しずつ前に進んでいたのかもしれない。ちゃんと変われていたのかもしれない。 でも、そう思えるのは、あのとき逃げずに現実と向き合う選択をしたからなのかもしれない。逃げようと思えば

        • 34歳最後の日に

          今日はわたしの34歳、最後の日。本来であれば今回も毎年この時期に訪れる街で過ごす予定だったが、二日前から台風の雲行きが怪しくなり断念…。 実際にはなんだかいいお天気が続いているので、“これなら行けたな…?”と思いつつ、すてきな方との出会いもあったし、ここ最近ばたばたとしていたから、こうしてゆっくり文を綴りながら過ごすことも悪くない。 せっかくだから、34歳の学びをここに残しておこう。 34歳を一言で表すと、“自分を建て直す一年”だった。 わたしは、小さいころからしたい

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        𝑃𝑟𝑜𝑓𝑖𝑙𝑒

        マガジン

        • 心の中のかけら
          11本
        • 31日のかけら
          31本

        記事

          女性であること

          あなたが生きる上で大切にしたい価値観はありますか?その根源はどこからきていますか? わたしは恐らく、『女性で“ある”こと』が自分の中の根底にあると感じています。絶え間なく続く“美しさ”への関心も、そこからきているのかなぁと思ったり…。 昨今では“多様性”や“ジェンダーレス”など、様々な価値観に触れられるようになりました。そんな世界でわたしが感じる“女性であること”という意義は、“女らしさ”とか、“女だから”とは別のものをさします。 少しセンシティブなテーマかもしれません

          女性であること

          すべては授かりもの

          上皇后美智子様のおことばだそうです。 二文の中に、わたしが生きる上で大切にしたいことが詰まっていたので、自戒の念もこめ、このことばに出会えたタイミングで形として残しておきたいと思います。 ■個は対等であるということ わたしも気づけば後輩に囲まれるほどの年齢になり、それなりに山あり谷ありな経験もしてきました。そんな環境で忙しなく日々を過ごしていると、気づけば“上下”の関係性が強まっていると感じることがあります。 もちろん組織で働く中でほどよい関係性は必要ですが、それでもま

          すべては授かりもの

          感情という仮面

          わたしがここ数年トレーニングしていること、それは“感情と自分自身を混合しないこと”。感情に振り回されず、ニュートラルな自分でいられるように、日々心がけています。 そもそも“感情=自分自身ではない”、という概念を知ったときは目からウロコでした。30歳になる少し前、“自分の人生を生きる”と決めたわたしは、いわばまだ自分史5歳、まだまだ自分初心者。(今年で35歳になる平成元年生まれです。) まずはジャッジせず自分の声を聴くところから始めましたが、自分の声を聴くことと、自分の感情

          感情という仮面

          ことばのちから

          幾度となく誰かの“ことば”に救われている。これが、わたしが懲りずに文を綴る理由だ。 以前noteを開いてから、驚くことにもう10ヶ月も経っていた。そのときに綴った状態がずっと続いていて、ことばをうまく形にできなくなってしまっていた。 それでもまた、ここに戻ってきた理由。それは、他の人が残したことばに、またわたしが救われたからだった。 わたしは本当に、どうもまわりからはみ出てしまうタイプのようで、それが逆に今の、“大体のことはひとりでしてしまう自分”を作ってくれたとも思う

          ことばのちから

          もう一度

          あれから、どれくらいの時間が流れたのだろう。わたしはすっかりことばを放つことを辞めてしまった。辞めた、というよりも、ことばが見つからなかった、というほうが正しいかもしれない。 うつくしいことばを見つけること。心の中にあるものを形にして、誰かに伝えること。そのすべてができなくなった。ことばへの興味の薄れ、薄れることへの悲しみ、色々な理由があった。 なにより、わたしがわたしでいることがどうしても困難で、同時に怖くなった。そのわたしから出てくる言葉で、だれかを傷つけてしまうこと

          もう一度

          なにかを愛した証し

          光のない世界で、 音のないことばで、 一体なにを話そうか。 この真っ白なページを開けずに、気づけば半年もの月日が流れていた。半年前はというと、そのときわずかにこぼれたことばのかけらたちは、誰に触れられることもなく、その温度を絶やして儚く消えていった。 わたしは去年、ありとあらゆることばを綴る行為を辞めてしまった。いや、“辞めた"というよりも、“できなくなった”ということのほうが、近いのかもしれない。 自分のことを話すことが苦手なわたしができる、唯一の行為であった“こ

          なにかを愛した証し

          去年のいつ頃からだろうか。気がつけばわたしは、わたしの中のわたしを失いかけていたようで、ひとり逸れた断片的なモノクロの景色が、濁流に飲まれていくような音と感覚が、今、足元に散らばっている。 そのかけらをひとつひとつ拾い上げるたびに、ガラスで刺されるような胸の痛みを覚えるけれど、それでもひとつだけ、この痛みはあの頃のものと違うことだけは、はっきりとわかる。 あの頃のような、上も下も、右も左も、音も温度も、空気すらない、無機質な鳥かごのようなものではなかった。深い深い闇夜のよ

          10.【心の中のかけら】 輪郭のある夢

          新しい年が始まり、もうすぐで2週間が過ぎようとしている。時の流れの早さにはほとほと驚かされるが、不思議なことに、南フランスに訪れた時から3年が経つと考えると、時の流れに対してあまり“早い”とは感じていない。(わたしにとって南フランスに訪れたことは、物事を考える起点になりつつある。) この差は一体何なのだろう。1年をひとつのまとまりとしてみると“早い”。しかし、それが3つ集まると、“早い”という感覚はどうも見当たらないのだ。もしかすると、物質量が増えると“軽い”が次第に“重い

          10.【心の中のかけら】 輪郭のある夢

          9.【心の中のかけら】 今日という日に願うこと

          色々な感情を経験した数ヶ月だった。たくさん苦しみ、涙を流した。その中でもわたしは“ひとりではない強さ”を初めて知った気がする。 ひとりではないから、今わたしはここにいる。そしてそこから、たくさんの感覚が湧き出ていることを感じている。 以前にも触れた話にはなるが、人生には幾度も同じ扉が現れると感じる。その扉を開けられるようになるまで、何度も何度も。 彼女との別れは、2年前の夏と重なった。彼女の言葉と歌声が好きだった。気軽に触れるとぱりんと割れてしまいそうな、でも手を伸ばし

          9.【心の中のかけら】 今日という日に願うこと

          8.【心の中のかけら】 生活を祈りにする

          今日は久しぶりに雨が地面を濡らしている。悪天候から来る低気圧なのか、どこか重たい感覚を感じながら、何度か時計と話し合ってようやく身体を起こす。予定していた起床時刻は、すでに大幅に過ぎていた。 急いで用意をすれば間に合う気もするが、この重たい感覚も手伝ってなかなかエンジンがかからない。そのときわたしは、自分がしぶしぶ身支度をしていることに気がついた。昨日までは休みを楽しくすごすために早起きをし、出かけるつもりであったはずだ。 このように、わたしは無意識のうちに、つい自分のこ

          8.【心の中のかけら】 生活を祈りにする

          7.【心の中のかけら】 夜について

          とある夜、美しい満月を眺めながら夜を過ごした。 きっとこうして何百年も前から、人々は月を眺めていたのだろう。その年月に思いを馳せるだけで、わたしはいつも涙がこみ上げそうになる。 全てが変わりゆく中で、この月はずっとここにあり、地球の夜を澄んだ光で照らし続けているのだ。その気が遠くなるような美しさに憧れて、わたしは夜に恋し続けているのかもしれない。 わたしが夜に恋をしていると気づいたのは、幼稚園のころ。夏の夜が特に大好きだったわたしは、飽きもせず、ずっと夜空を眺めていた。

          7.【心の中のかけら】 夜について

          わたしが見たかった世界

          わたしは、この残された限りある時間の中で、暖かく優しい光が灯す方へと歩んでゆく旅をするのだろう。 そうして旅路を辿りながら、この世にある、美しくて、でも姿として捉えきれない余韻のようなものを、そっと手のひらで掬ってあなたに差し出せれば、と願う。 たとえそこにあるものが、冷たく暗い悲しみだったとしても、きっと自分の中にある鮮やかな彩りを教えてくれるはずだから。 これまで幾度もの悲しみに出会い、深く闇に落ちていった記憶は、誰よりもわたし自身がその中にある輝きを知るためのもの

          わたしが見たかった世界