囁き | 雨の七夕
「今日も雨だね」
「外に出れなくて、もう雨じゃなくても」
「ワンコの散歩には出ているの」
「今週は無理だったわ」
「ちゃんと眠れているの?」
「昨日は小一時間、眠れたかしら」
「離れているから、アプリ通話でしか励ませないけど」
「ううん、毎日ありがとう」
「これで元気になれるというからね。海の向こうにいるのがもどかしい。この時期だろ、彦星の気分になる」
「船でどのくらいだったっけ」
「フェリーで3時間くらいの天の川だよ」
「割と近くない?」
「きみが船に乗るまでが、遠いよ」
「そうそう昨日ね、兄がコンビニでおかずを買ってきてくれたの。それで夕食をすませようって。ちょっと気力がなかったので、助かったの」
「ああ、よかったね」
「何かしら小さな幸せを見つけていかないとね」
「私の幸せは、きみの隣にいることだけどね」