長崎ランタンの夜
懐かしい、という印象の夢を見た。
男女混合で、長崎市を歩いていた。
古馴染みのメンバーと理解しているが、覚醒したら顔も名前も浮かばないのっぺらぼうの人影だった。
来月の長崎出張の日が、旧正月に重なっている。
ランタンフェスティバルというイベントが隆盛を極めている。
しかしながらコロナ禍の当初から、この催事には縁遠い。2020年には何の対策も為されず、中華街には異郷の人々で溢れていた。
今年は安心して歩けるかもしれない。
この時期の新地中華街は途方もない長蛇の列で、馴染みの店には通えない。もう4年もの間、お預けを食っている。
観光客の多い時期は町中華に通うことにしている。
むしろ地元民の舌を満足させるために、こちらの方が個性が強い。それを語り出すと長崎人には闘争が発生すると以前に書いた。
私はこの順天という町中華を懇意にしている。
その店構えから新規で入るには、勇気がいる。
魚介類のエキスが凝縮されたこのスープの仕込みに、どれほどの手間がかかっているのだろう。濃厚でありながら喉の通りがよく、最後の一滴まで飲み干さないではいられない。
新地中華街のほぼ半額なのに具材は豊富、そして野菜のシャキシャキ具合がいい。
この時期でも満席になることはまずないが、客は途切れることなく暖簾をくぐって行く。
ああこの機会に再会したい。
でないとこの一杯も、記憶の狭間でのっぺらぼうになりそうで。