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おフランスでは負けてからが勝負ざんす 4 『裂けた旅券』#青ブラ文学部
ははあ、百舌さんはフランスがお嫌いで。
この数日の投稿を読まれた方はそう誤解してしまうでしょうが。
実はフランスには並々ならぬ興味があります。
高校生時分でしょうか。
その雛形というのが御厨さと美先生の「裂けた旅券」という作品。ビッグコミックで連載されていましたね。
これもう御厨さと美先生の名作です。
未読の方はぜひご一読を。
物語の舞台はフランスを中心にして欧州各国。
まだ国境の壁は厚く、米ソは冷戦で対立していた頃。
風来坊に等しい、羅生豪介という中年の日本人男性。
これ不法滞在者のような彼が、赤い旅券の万能振りを発揮して、便利屋稼業を営んでいるお話。
これに毛色が変わってくるのが2巻からのマレッタという少女。
14歳ながら街娼をしていて、それが羅毛と愛のない時期に肉体を交わしてから。そこからが素晴らしい距離感での、ふたりの生活が始まってきて。
もう、ああこれがおれの理想だと。
大体が風来坊を理想とするなんて。
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この精緻な筆致で描かれるフランスの独善性、エスプリ、それを今は全て失っている。そのことに腹立たしく思っているのです。
やっぱね。
あちらの勢力に負けてしまい、粋なパリっ子をここまで貶めたかと。
日本にもそれが浸透しつつある。
ここで踏みとどまらないと!