続 紺碧の回遊
私の住む小値賀島の正面に納島という小島があります。
所謂、2次離島になりまして。本島から見るとさらに過酷な生活条件です。過疎化も進み、ここは人口18人、平均年齢75歳という超高齢化の島です。
この離れ小島にこれまで一度も訪問してはいませんでした。
というのも。
本当に小振りのモーターボートで渡るのですが、ちょいと海が時化ると欠航してしまいます。なのでこれまで機会に恵まれませんでした。
納島には同じ地域おこし協力隊の隊員が2名います。
この島で古民家を自らの手で改装して、モダナイズ。さらに宿泊施設免許を取得して、古民家民泊施設を営んでいます。
それがどれほどの苦難であったかと、同じ隊員として尊敬しますね。
この日もボートから下船しているときに、お爺とお婆がプロパンボンベを船から下ろして、手押し車で押して坂を上るのをみて実感しました。
聞くとそれはこの島で日常風景だそうです。
なにしろ自販機すらない、そういう島です。
社会インフラがほとんどない。彼女らが開拓を始めて、インターネットが到来したくらいです。
ですので民泊では料理の提供はありません。食事を出すのも許認可が必要ですしね。
それで自宅から食材とメスティンを持ち込んで、キャンプ飯です。
本日は焼き鳥缶でアレンジした炊き込みご飯に、餃子と白菜のスープです。こうしたアウトドアご飯にも慣れてきました。
自転車ではものの半時間も掛からない島です。
この島の歴史を調べようとしたのですが、なんと文献が火災などで焼失しているので、詳細が伝わってないとのこと。
ぐるりと一周をしてみましたが、さらにのどかな時間が流れています。
ただ物寂しいと感じたのは、牛がいないということです。
小値賀島に帰島して放牧地に行きますと、仔牛たちがなんだなんだと集まってきます。どこかに連れて行ってくれと眼が語っています。
嫌そりゃ無理だよ、と答えます。
時折には放牧地から脱走する牛の群れもいますが。
暴れることなくじっと飼い主が来るのを待ってて。
そして飼い主の背を負うように並んで帰宅します。
牛と人とに種族を越えた信頼関係があるのですよ。