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故郷を走る 4 l 一陣の風のように

 佐世保米軍基地。
 そこは国内であって日本ではない場所にある。
 基地の存在は、佐世保の空気をバタくさいものにしている。
 毎年夏にアメリカンフェスがあって、ニミッツパークで米軍と市民が交流するイベントがあり、屋台でタコスやBBQを摘んだり、コンサートを聞いたり、花火を見上げることがあった。
 しかしながら日常にあって、このゲートは厳格に、異分子を跳ねつけている。
 基地内の職員に知己があって、その権限で監視を受ける範囲で、いわばこの中へ入国できる。

クリスマス時期にはフル回転するというオーブン

 基地内の設備に関して、全て撮影は禁止されている。
 まあこんなファストフードのグリルであれば何とかなるそうだ。
 アメリカンバーガー9.5$とcokeを頼んだ。がっしりと肉厚のパティは、炭火の香りがありジューシィ、噛み切るのに力が必要なほどだ。
 ああ、これはホームステイの時に、パパンが庭のBBQで焼いてくれたあのバーガー🍔の延長上にある。分厚いので、溢れてくる野菜を何とか挟みながら食べていく。
 傍にはマスタードとケチャップを置いて、時々は味変しながら頂く。大量のポテトも摘み摘み。

コレだけで夕食は🍙しか入らない
彼女はブリトーを頼んでお互いにシェアした

 テラスで頂きながら基地内のルールを聞く。
 遠目に旧海軍省の赤煉瓦倉庫が居並ぶが、そこは完全に撮影してはいけない。撮影すると機材の没収やデータの完全消去を求められる。でも中にあるのは雑貨店とかリサイクルショップらしい。
 それでも米語が飛び交う中で、異国感は際立っている。

 その雰囲気を醸し出しているのは、薄暗さ。
 照明がほとんどなく、外部光に頼っている。
 その中にこんなビリヤード台やスロットがあると、グリルキッチンなのに大人な空間を演出している。
 ランチタイムだけだったけど。
 異国に紛れ込むことが可能なゲートは、実在する。

旧佐世保海軍工廠 現SSK

 隣接している巨大ドックは、かつては海軍工廠であった。
 この第七船渠は戦艦クラスのメンテナンスを行なったという。
 栄枯盛衰、強者どもが夢のあと。
 

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