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note アクセシビリティ知見まとめ

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noteにある様々なアクセシビリティの知見をまとめていくマガジンです。その記事を見た人が、次のアクションに活かせると言う観点でピックアップしています。良い記事を選定してくれる運営…
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#人文書

田中みゆき×近藤銀河 『誰のためのアクセシビリティ?』刊行記念対談 (第3回)

■マイノリティの表象はどうすれば当たり前になるのか? 近藤 表象は、今後どうなっていくでしょう? ゲームや映画では、障害のある表象を見つけるのが本当に難しくて、登場していてもスーパーヒューマン的に描かれることが多い。義足だけど、すごい機能が付いているとか。かっこいいけど、障害がある日常にそれは全然ないから、どうなんだろう?とは思います。車いすユーザーはサブキャラにしかならないので、実際に車いすユーザーが主人公のゲームをやったら自分はどう思うんだろう?と。それが想像つくように

田中みゆき×近藤銀河 『誰のためのアクセシビリティ?』刊行記念対談 (第2回)

■クィアや障害のある人がゲームをプレイする、作る。そのためのアクセシビリティは? 田中 健常者の持っている規範の中に、能力主義がある。それってエンタメの世界でも無視できないし、実際にかなり刷り込まれていると思うんです。例えば、ゲームのアクセシビリティもどんどん発展していますが、結局アクセシビリティがついているゲームって、かなり能力主義的な……。 近藤 超大作ですよね。 田中 AAAと言われる大資本のアクションゲームだったり。私は『誰のためのアクセシビリティ?』では、エン

『誰のためのアクセシビリティ?』刊行記念対談 田中みゆき×近藤銀河(第1回)

田中 田中みゆきです。私は、キュレーター、プロデューサーという肩書きで活動しています。元々、美術館や科学館で展覧会をつくる仕事をしていたのですが、2014年頃から「障害は世界を捉え直す視点」をテーマに、様々な障害のある人と展覧会やパフォーマンス、ゲーム、映画などをつくっています。 近藤 近藤銀河と申します。もう15、6年、人生の半分以上を車いすで生きています。専門はセクシュアルマイノリティと美術ですが、同時にゲームについても研究や執筆をしていて、今年『フェミニスト、ゲームや

『誰のためのアクセシビリティ?』 目次

いよいよ発売!『誰のためのアクセシビリティ? 障害のある人の経験と文化から考える』(田中みゆき著)の目次を公開しています。各記事にご登場いただいた方々も併せてご紹介します。 目次 はじめに 1.アクセシビリティの謎  ・駅までの道 ・一本の脚と、バラバラに上げられた腕 ・アクセシビリティって何だろう ・障害のある人が主体となるアクセシビリティへ 2.音声描写との格闘の記録 ・つくることと見ることをつなぐ音声描写 ・『音で観るダンスのワークインプログレス』 ・音で観るダ

『誰のためのアクセシビリティ?』 はじめに/田中みゆき

『誰のためのアクセシビリティ?』 田中みゆき はじめに  アクセシビリティ(*1)を「アクセスできること」と考えると、多くの人は、それがどのような状態を指しているのか、実感が持てないかもしれない。なぜならその人たちにとって、この社会の多くのものは、自分たちの意志次第でアクセスできるようにつくられているからだ。開けられないドアはドアではないし、どこにもつながらない道はない。あったとしても、それらの欠陥は多くの人たちのニーズによって淘汰され、遅かれ早かれ修正される。一方、アク