マガジンのカバー画像

琵琶の物語

4
琵琶で演奏する曲について書いてみます。 伝統的なレパートリーも、新作も。
運営しているクリエイター

記事一覧

板額御前のこと

板額御前のこと

2024年新作琵琶曲「板額御前」についてお話しします。

板額御前(はんがくごぜん)は、鎌倉時代の越後国(現在の新潟県胎内市)に実在した女性武将です。

私が板額御前という名前を知ったのは、もう30年以上も前のことです。
琵琶の師匠、故五十嵐雅水先生と、板額御前の曲を作りたいという話をしました。
その頃,新しい琵琶の曲をどんどん作ってみなさい、と、師匠から言われていた私は、主に郷土の伝説や、歴史上

もっとみる
義仲忌、巴御前のこと

義仲忌、巴御前のこと

俳句の季寄せをめくっていたら、2月に義仲忌という言葉を見つけました。
木曽義仲の亡くなった日が季語になっているのです。

とあります。

1148年の旧暦の1月20日は新暦で表すと3月4日らしいので、これ2月の季語で良いのかな?という疑問もありますが、睦月だったので=冬の出来事というイメージなのかもしれません。
ちなみに、大津にある義仲寺で現在も行われている「義仲忌」は1月に開催されているそうです

もっとみる
屋島の誉 那須与一

屋島の誉 那須与一

筆無精しているうちに年を越してしまいました。
昨年の演奏会の演目について書きます。
昨年、2023年11月5日。新潟市芸能まつりの一環として開催された「琵琶楽演奏会」にて、「屋島の誉」を演奏しました。

屋島の誉は、平家物語の中のお話です。

屋島は、現在も香川県高松市の北東の海辺にある、平たい頂を持った特徴的な地形の島です。島といっても、今は周辺の埋め立てが進んで陸続きになっているので、海に張り

もっとみる
討ち入り 赤穂浪士の物語

討ち入り 赤穂浪士の物語

本日12月14日は、赤穂浪士の討ち入りの日とされている日です。

しかし、元禄15年12月14日というのは旧暦で、現在の新暦に変換すると
1702年1月30日なので、そう考えると1ヶ月ほどの季節感の違いがあります。
数日前から江戸の町に雪が降っていた、という伝承も、1月の末なら珍しいことではなさそうです。

最近ではあまり見かけなくなりましたが、昭和の時代くらいまでは「年末恒例」のものとして一般的

もっとみる