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全国自然博物館の旅【57】太地町立くじらの博物館

クジラを好きな海洋生物マニアの方はとても多く、老若男女問わず人気の海洋哺乳類となっています。感情豊かで知能が高く、ミステリアスなクジラに魅せられて、研究者になった方も大勢いらっしゃいます。
今なお捕鯨文化の残る和歌山県の太地町では、クジラの秘密を総括的に学べる博物館があります。クジラと関わり合って発展してきた太地町にて、最先端のクジラ研究を学習してみましょう。


クジラと共に生きる町・太地

太地町は紀南(紀伊半島の南部地域)に位置しているため、博物館や自然スポットへ行くには車がベストです。筆者はレンタカーを借りて、太地町内のクジラと関われる場所を巡ることにしました。潮風を感じながらのドライブ、とっても爽快でした。

和歌山県南部の太地町。クジラをはじめ、様々な海の幸が味わえる素敵な地です。
捕鯨で栄えた町ということで、至るところにクジラの造形物があります。大型モニュメントは、絶好の撮影スポットですね。
太地町では捕鯨のみならず、クジラの学術研究も盛んです。クジラを愛する方は、ぜひ本地域を訪れてください。

太地町は日本古来の捕鯨術発祥の地と言われ、現在でもクジラやイルカの漁が実施されています。太地のスーパーマーケットには新鮮なクジラの肉が販売されていて、クジラとの関わりを強く感じさせてくれます。
というわけで、太地町に来たらクジラを食べてみましょう。筆者は「道の駅たいじ」に足を運び、絶品のクジラ料理を味わいました。味も噛みごたえも最高で、

道の駅たいじ。クジラを食べられるレストランが入っていて、「食文化ミュージアム」に認定されたこともあります。
クジラ料理「鯨スタミナ丼」。ゴンドウ類(イルカとシャチの中間的サイズのハクジラ類)というクジラの肉が使われていて、噛みごたえ抜群で最高においしいです!
道の駅のポストも太地町らしいですね。言わずもがな、イルカもハクジラ類の仲間です。

さらに筆者は、クジラスポットをドライブして巡ります。町内の小高い丘の上には、研究機関「国際鯨類施設」が立っています。本施設には「日本鯨類研究所」の事務所も入っており、クジラ研究者の方々が勤務されています。
図書室やエントランスホールをはじめとする無料公開エリアがあり、クジラ研究の最前線に触れられます。海洋生物の壮大な生態研究、聞くだけでワクワクしますね!

日本鯨類研究所を擁する国際鯨類施設。クジラ研究の重要な基地であり、館内には無料公開エリアがあります。
クロミンククジラの頭部模型。ヒゲクジラ類の一種であり、小型海洋生物を濾過するためのヒゲが特徴です。
館内の資料にて、最先端のクジラ研究の成果を学ぶことができます。ドローンやデータロガーを駆使して、ハイテクな生態調査が展開されているのです。

太地町とクジラの深い関わりをとことん感じたら、いよいよ博物館へと突入します。太地町立くじらの博物館は海沿いに位置しているので、屋内展示のみならず、海岸地形を活かした屋外展示も魅力的です。時間の流れを忘れて、究極のクジラ学習に身も心も没頭したいと思います!

博物館の近くにも、クジラのモニュメントが設置されています。駐車場に車を停めたら、ぜひ付近を散歩してみましょう。
博物館に至る道には、クジラの紹介資料がたくさんあります。海沿いを散歩しながら、クジラ図鑑を見ている心地になれます。
太地町立くじらの博物館。クジラと出会い、クジラを学べる究極の博物館です。

巨鯨の世界を五感で学ぶ体験型博物館

総括的な学術展示でクジラの実像に迫る

最初に来館者を出迎えるのは、巨大なクジラたちの骨格標本。これから学ぶ対象のクジラ類がいかに雄大で、神秘的な存在であるのかを実感します。海洋生物として洗練されたクジラたちの骨を、あらゆる角度からくまなく観察してみましょう。

入館直後、頭上に巨大なクジラの骨格標本が出現。桁違いのスケールを改めて実感します。
シャチの全身骨格。海洋生態系の上位に君臨するハクジラ類であり、パワフルな骨格から彼らの強さがわかります。
ヒゲクジラ類のコククジラ。この個体はまだ子供ですが、それでも恐ろしいほど大きいですね。
捕鯨によって太地町の糧となったセミクジラの骨格。銛の命中箇所が明示されています。
ホールは吹き抜けとなっており、上階からでも骨格を観覧できます。ホッキョククジラはパワフルかつ可愛いですね。

全身骨格を見ていると、体の細部が気になるものです。1階でにはクジラの様々な部位が展示されており、それぞれの部位・器官に秘められた情報を学べます。全ての標本には生命活動の証が宿っており、詳細に研究することによって真理が見えてくるのです。解剖学的な見地から、クジラの世界へアプローチしてみましょう。

ヒゲクジラ類の「ヒゲ」。我々人間のヒゲとは異なり、水中の小型生物を濾過するための頑丈な板状の器官です。
スジイルカの肋骨。コブ状の部分は骨折が治った痕であり、彼らが懸命に自然界を生きた証でもあります。
ザトウクジラの胸ビレの骨。本種の胸ビレは約4 mにも及び、クジラ類の中ではトップクラスの長さとなります。
シャチの全身骨格。英名「キラーホエール」の名にふさわしく、怖さと美しさにあふれるボディをしています。

続いて階段を上って2階の展示へ。こちらはクジラの身体構造や生態、さらに進化について総合学習できるエリアとなっています。あらゆる角度からクジラの秘密に切り込んでいるので、彼らがどのような生き物なのかを深く理解できます。

2階の展示エリアに移動。クジラの解剖学的・生態学的な秘密を詳しく学べます。
コククジラの頭骨。頭だけでこれほど大きいとは、本当にとてつもないサイズですね。
マッコウクジラの下顎。他のハクジラ類と同様に、鋭い歯で他の海洋生物を捕食します。
シャチやマッコウクジラの骨に触れる体験展示。クジラ類の骨の感触や密度を、自分の手で学習するチャンスです。

骨だけでなく、クジラの内臓や筋肉などの組織も重要な学術資料です。1つ1つの部位を細かく分析することで、彼らの生理機能や生態行動がわかります。全ての標本を尊い語り手と理解して、科学の声に耳を傾けてみてください。

生後1週間ほどのハナゴンドウの液浸標本。標本にすることによって、個体は学術的に重要な資料となるのです。
様々なクジラの脳を液浸標本で展示。体の大きさに占める脳の比率が高く、なおかつ多数の知的行動も観察されていますので、クジラ類は極めて高い知能を有していると考えられています。
セミクジラの脾臓の横断面。生理機能や生態を知るためにも、内臓の研究は極めて重要と言えます。
セミクジラの心臓。とても大きく、クジラたちの生命活動に膨大なエネルギーが費やされていることを実感します。

小型の無脊椎動物にとって、巨大なクジラの体は格好の「家」となります。大型生物のボディそのものを生存戦略に活用する様からは、生命のしたたかさを強く感じます。どのような生き物たちがクジラと関わっているのか、本館の標本展示とキャプションで詳しく学べます。

ラッパフジツボの付いたイワシクジラの表皮。硬く丈夫なクジラのボディは、固着生物にとって絶好の足場となります。
マッコウクジラの歯や尾ビレにくっつくマッコウエボシ。エボシガイ類の一種であり、ときにはイルカの尾ビレに固着することもあります。
セミクジラの皮膚に寄生するクジラジラミ類のセミジラミ。人間にとりつくシラミとは違って、クジラジラミは甲殻類の仲間です。

続いては、クジラ類の進化についての学習です。初期のクジラは陸棲・半水棲の動物であり、長距離遊泳は決して得意ではありませんでした。彼らは永い時間をかけて進化し、自らの形質を水中生活に適応させていったのです。
ミステリアスなクジラたちの進化の歴史。標本・模型・キャプションを駆使した本館の展示によって、クジラの海への帰還が鮮明にイメージできます。

パキスタンで発見された初期のクジラ類パキケトゥスの全身骨格。大昔のクジラは陸を歩いていたのです
クジラ類の進化の解説キャプション。解剖学上の特徴を学びながら、クジラの定義を理解しましょう。
古代のクジラの進化を模型展示で解説。古生物ファンにとって、これはすごく嬉しいですね!
古代クジラのアンブロケトゥスの復元模型。現生の遊泳性のクジラとは異なり、ワニのような待ち伏せ型の水辺のハンターでした。
完全なる遊泳生活へ移行したドルドン。彼らに近い仲間から、現生クジラ類が進化していったと考えられます。

専門博物館ゆえに、本館では他の施設ではなかなかお目にかかれないダイナミックな標本やユニークな展示を味わえます。超濃密な学習のラッシュであり、クジラ研究の奥深さを改めて感じます。1つ1つの内容をじっくりと消化して、彼らの生態の実像を学んでいきましょう。

セミクジラの立派な「ヒゲ」。口の中の「口蓋稜」という部分が発達変化した器官であり、厳密にはヒゲではありません。
ナガスクジラとニタリクジラの耳骨の展示。クジラ類の耳骨は特徴的であり、その構造はグループの強い同定要素となります。
年齢査定のため、各成長段階のマッコウクジラの下顎歯を縦断。歯やヒゲには個体の成長の痕跡が見て取れますが、それだけで年齢を完璧に特定することは難しいと言えます。
オキゴンドウの胸ビレの骨格。外洋性のクジラほど相対的に胸ビレが小さく、沿岸に棲むクジラの胸ビレは大きくなります。
イルカとサメの皮膚の感触を比較する体験展示。本物の皮膚に触れてみることで、来館者は触覚で生物の身体的特徴を学ぶことができます。

本館に所蔵されているクジラの学術資料は非常に膨大なものであり、この記事だけでは到底紹介しきれません。現地に赴いて、クジラに関する様々な知識を身につければ、さらに関心が深まっていきます。そして、壮大な海洋生態系そのものに知的好奇心を抱くはずです。

太地は捕鯨の町。たくさんの資料やジオラマによって、クジラ漁の歴史を学ぶことができます。

紀州の海に舞う生命の水族展示

本施設の観覧ゾーンは本館博物館だけではなありません。なんと、湾の一角が巨大な学術公園施設となっており、クジラ類を飼育する自然プールや水族館もあります。つまり、海洋生物マニアにとっては超贅沢な学習の場なのです。
本館博物館を出た筆者は、湾内を歩きながら水族展示施設「太地マナリュウム」へと向かいました。和歌山南部の美しい海と清々しい潮風を感じながらの自然学習、本当に最高ですね!

ここは全て博物館の敷地です。湾の地形そのものが、クジラ類の飼育プールとなっています。
本館から3分ほど歩くと、水族展示施設「太地マリナリュウム」に着きます。太地の海の生命、そしてクジラたちの神秘を生体展示で学びましょう。
本施設で実施されているショーの写真。さらに観覧への期待が高まりますね。
マナリュウムには地元漁業のフォトギャラリーもあります。本館で飼育されている魚や甲殻類の多くは、太地町の定置網漁で捕獲された個体なのです

マナリュウムに入ると、施設1階から屋上まで続く大型水槽が現れます。ここで飼育されているのは、小型のハクジラ類(複数種のイルカとカズハゴンドウ)です。さらに、他の施設ではほとんど飼育例のないアルビノのバンドウイルカにも出会えます。
まさに海の天使たち。海洋生物学の神秘的な世界へ彼らが誘ってくれます。

建物の中心部に広がる大型水槽。優しい陽光の中を、小型のクジラ類が舞っています。
イルカなどのハクジラ類を間近で観察。流線型のボディの美しさに惚れ惚れします。
カズハゴンドウ。体型や頭部の形態がイルカたちとは異なっています。
白いバンドウイルカ。実は、アルビノの個体が飼育されている水族館は他にほとんどありません

マナリュウムでは、クジラ類のみならず数多くの海洋生物たちに出会えます。太地の海の生き物を総括的に学べるので、現地の生態系を深く理解できます。
まずは可愛くてかっこいい甲殻類たちを見ていきたいと思います。和歌山県南部の海域にはサンゴ礁が広がっており、エビやカニをはじめ多くの海洋生物にとって重要な棲家となっています。本州屈指の雄大なサンゴの海には、どのような甲殻類が生息しているのでしょうか。

クジラ類だけでなく、マナリュウムでは多くの海洋生物が飼育展示されています。全ての子に出会って、太地の海の生態系を理解しましょう。
扁平な体をしたゾウリエビ。浅い海の岩礁やサンゴ礁に生息しています。
アカモンガニ。見た目の通り、強力なパワーのハサミと硬いボディを誇ります。
正面を向いたスベスベマンジュウガニ。筋肉に猛毒を有しているので、見つけても絶対に食べてはいけません
カノコイセエビ。発音器官を有しており、陸に上げると「クク」というような音を出します。

和歌山県は魚類相も多種多様です。南方から流れている黒潮の恵みを受け、和歌山の海洋生物たちは豊かな暮らしを営んでいます。さらに、ときには黒潮に乗って熱帯域の魚たちがやってくることもあります。
複雑かつ神秘的な紀南の海の生態系。和歌山の宝どころか、地球の宝と呼ぶべきだと思います。

美しきハナミノカサゴ。毒の棘を装備しているので、海中で遭遇しても近づかないようにしてください。
同じ穴に入るアミメウツボとニセゴイシウツボ。平和的で可愛い光景です。
ムラサメモンガラ。縄張り意識が強く、テリトリーを守るためなら人間が相手でも攻撃してきます
立派なマダイ。おいしそうと思った人は筆者だけではないはず(笑)。
熱帯域出身のギンユゴイ。黒潮に乗って日本の沿岸にやってきます。

来館者を恍惚とさせるのが幻想的なクラゲたちの生体展示。魅力的に麗しく生体を見せてくれるうえに、クラゲの生態や飼育の解説も盛りだくさんです。クラゲという生物の特徴を知ることこで、もっともっと彼らへの愛情が深まります。

固着性のサカサクラゲ。光合成を行う褐虫藻が体内に共生しています。
活発に動くタコクラゲ。丸みを帯びたボディがとっても可愛いですね。
クラゲの特徴や生態についての解説資料。我々のよく知る刺胞動物門のクラゲと、毒を持たない有櫛動物門のクラゲがいます。
クラゲの生活史の解説。彼らは無性生殖と有性生殖のどちらも行うことができ、とても興味深い繁殖サイクルをしています。
ミズクラゲのエフィラ(赤ちゃん)の飼育容器。とっても小さいですが、もう毒の棘で獲物を捕えることができます。

どんどん観覧順路を進んでいくと、来館者は屋上へと出ます。ここでは大型水槽を上部から見られるので、イルカやゴンドウの行動を広い視野で観察できます。個性豊かな彼らの一挙手一投足を見ていると、動物観察の楽しさとおもしろさにのめり込んでいきます。

屋上に出ると、大型水槽のハクジラ類を上部から観察できます。広い視野で彼らの行動を見れる絶好のチャンスです。
イルカやゴンドウの動きをよく観察してみましょう。おとなしい子やよく泳ぎ回る子など、個体ごとの性格の違いが見れて興味深いです。
ゴンドウ類とイルカ類はフォルムを見れば容易に識別可能です。筆者的には、ゴンドウの優しそうな顔の形が大好きです。
アルビノのバンドウイルカ。屋外で見ると、ボディの白さが一段とよくわかります。

太地マナリュウムでの海洋生物学習は、とっても濃密な学びとなりました。最高潮の気分のまま、次なる学習エリアへと移動しましょう。クジラたちとの素敵な時間は、まだまだ続いていきます。

次の学習の場へ移動しつつ、屋外展示をくまなく観覧しましょう。シロナガスクジラの実物大骨格レプリカは、本当にすさまじい大スケールで度肝を抜かれます。

クジラと触れ合い、クジラを知る!

あまり一般には知られていませんが、クジラは鯨偶蹄類というウシやカバと同じグループに属しており、彼らの祖先は陸を歩いていました。後足の痕跡を示すかのように、クジラ類の中にはごく稀に「腹ビレのある個体」が生まれてきます。
実は、かつて本施設では「腹ビレのあるイルカ」が飼育されていて、学術的に極めて貴重な個体ということで大きな注目を集めました。本個体の素晴らしい飼育と研究の記録を、特別な展示館で見ることができます。

腹ビレのあるバンドウイルカ「はるか」の学術展示。本個体の発見からどのような研究が展開されたのか、詳しく学んでいきましょう。

腹ビレのあるバンドウイルカ、彼女の名は「はるか」。2006年に太地町の沖合13 kmにて発見されたメスの個体であり、腹ビレを備えるイルカとして、国内外の研究者から大きな反響を呼びました。
はるかは本館にて飼育研究され、クジラ類の進化の過程を解明する鍵になると期待されました。残念ながらはるかは2013年に息を引き取りましたが、彼女の骨格や遺伝的特性を解明する新たな研究が動き出しました。

クジラ研究に大いなる飛躍をもたらした「はるか」。彼女の生きた証、彼女の体に秘められた神秘を本展示でくまなく見てください。

クジラ類の後足消失についての解説資料。初期の遊泳性クジラにも腹ビレがあったと考えられますが、退化消失の過程は謎だらけです。
はるかの実物大骨格模型。腹ビレにも骨があるとわかります。
復元されたはるかの腹ビレの骨。腹ビレのあるクジラ類の事例は他にも知られていますが、生きた状態で完全な腹ビレのある個体の確認は、はるかが史上初となります
はるかの行動観察研究。泳ぐスピードやジャンプの姿勢などの点で、はるかは他の多くのイルカと異なっていました。
はるかの飼育研究を時系列的に紹介。特殊な腹ビレの内部構造の研究は世界初となります。

前述の通り、本施設は湾の一部を自然プールとして利用しています。自然プールではクジラ類によるショーパフォーマンスが実施されていて、老若男女問わず大人気のプログラムとなっています。
舞い踊るのは3種類のゴンドウ(オキゴンドウ・コビレゴンドウ・ハナゴンドウ)。イルカよりも一回り大きな彼らの演技は、パワフルさと優美さにあふれています。かっこよくてたくましいゴンドウたちの魅力を堪能してください。

クジラショーに出演するゴンドウたち。近縁種ですが、体型や背ビレの形が異なっています。
パワフルに跳ぶゴンドウたち。イルカよりも大きいので、着水すると豪快な水飛沫が上がります。
観覧者に向かって手(胸ビレ)を振るゴンドウ。本施設の個体は、とっても賢くて可愛いですね。

続いて、向かい側のプールにてイルカショーを観覧いたしました。軽快でスピーディーなイルカたちのパフォーマンスは、パワフルなゴンドウたちと一風変わった雰囲気に満ちています。それぞれのクジラたちの身体的特徴や生態を感じられる演技が、本施設の素晴らしい魅力であると言えます。

立ち泳ぎで水面上を後ろ向きに走るカマイルカ。軽快さとスピードがイルカたちの大きな持ち味ですね。
イルカたちは、とっても器用。道具を使ったパフォーマンスも華麗にこなします。
プールサイドに上がるイルカたち。トレーナーさんがイルカの身体構造について説明してくれるので、楽しくクジラ学習ができます。

生体学習とショーパフォーマンスでクジラたちの魅力を学んだら、自然プールの桟橋を渡って彼らの側まで行ってみましょう。自然プール内では多くのイルカやゴンドウが飼育されていて、彼らと間近で対面することができます。至近距離で観察したり、餌やり体験に参加してみたりして、クジラたちへの愛をさらに深めてください。

浮桟橋を渡って、自然プールの中央部へ。ここでは、クジラ類を至近距離で観察できます。
イルカたちが人間の方に寄ってきてくれます。サービス精神旺盛で、最高に愛しいですね。
ゴンドウたちも人懐っこくて可愛いです。優しそうなハナゴンドウ、かっこいいオキゴンドウも大好きです。
クジラたちへの餌やり体験もできます。白いハナゴンドウは、太地町の沖合の海で発見された個体です。

クジラと共に生きる町の博物館、最高以上に最高すぎます。捕鯨で栄えた町だからこそ、クジラたちからの恵みを理解し、クジラを尊重する文化が根づいているのだと思います。その精神が受け継がれ、今では海洋生物学の一大基地として、クジラ研究の最前線を進んでいるのです。
クジラを愛する全ての人々に訪れていただきたい博物館。果てしない海洋生物学へのロマンを呼び覚ましてくれます。

太地町立くじらの博物館 総合レビュー

所在地:和歌山県東牟婁郡太地町太地2934-2

強み:生態・進化・解剖学的特徴など多岐にわたるクジラ研究を一挙に学べる怒涛の学術展示、クジラ類をはじめ太地町の幅広い海洋生物に出会える水族展示施設、クジラ類と間近で触れ合える体験イベントや迫力満点のショープログラム

アクセス面:紀伊半島南部に位置しているので、車での来館がオススメです。旅行者の方は高速道路で来ることになりますが、すさみ町インターからさらに車で約1時間かかるので、できることなら白浜あたりまで公共交通機関を利用し、現地にてレンタカーを借りるのがベストかもしれません。他の選択肢としましては、JR太地町駅まで電車で移動し、地域の路線バスを利用して向かう手段もあります。また、新大阪駅や名古屋駅からシャトルバスが出ており、アクセス手段は多いです。ただし、道の駅や周辺の水族館にハシゴするのであれば、レンタカーや自家用車の使用を推奨します

あらゆる要素で最高峰のクジラ学習ができる究極の専門博物館。膨大な数の学術標本と資料、マナリュウムでの海洋生物の生体展示、数々のショーパフォーマンスやクジラと触れ合える自然プールーー多面的にクジラの生態や進化を学べる超豪華な内容となっており、学術性とエンターテインメント性が高度に融合しています。さらに、腹ビレのあるバンドウイルカ「はるか」の研究記録資料が展示されていて、世界的に見ても超貴重な学術施設であると言えます。
全ての学びにおいて、発見と感動にあふれています。海洋生物研究の道を志す方はもちろん、海と生命を愛する全ての人々に強くオススメしたい究極の専門博物館です。
この最強の学術体験は、来訪してみなければわかりません。ぜひクジラと共に生きる町・太地を訪れ、クジラ学習の最前線を感じてください。

海を感じ、クジラを学び、クジラと触れ合える博物館。唯一無二の学習施設と言えます。

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