MBAは必要か

1990年代にMBA、いわゆる経営学修士を取得することがアメリカでブームになりました。当時は大企業で出世するためのパスポートのように、語られたこともあります。日本からも多くの若者が数年の実務経験を経たのち、企業から派遣されたり、会社を辞めて私費で留学しました。

あれから30年、今では国内大学でもMBAを取得することができるようになりました。もちろん、今でもアメリカの有名大学のMBAを目指す若者もいます。ただ、昔のようにMBA一辺倒ではなく、法律、アート、国際政治など、他の修士も検討の対象になっているようです。

今日は私が20年前にMBA留学した時の経験をもとに、メリット、デメリット、今なら自分はどうするかをお話ししたいと思います。

目次
1.当時のMBA留学のメリット
2.デメリット
3.今自分が20代後半だったら。。。

1.当時のMBA留学のメリット

私は日本企業で数年の実務経験を経て、30歳の時に私費でアメリカの大学にMBA留学をしました。20代は日本企業の経営企画部で財務や海外事業計画立案に従事していましたが、できればよりグローバルな環境で、多様な人材と切磋琢磨しながら、自身のビジネススキル、特に財務と経営のスキルを伸ばしていきたいと考えました。当時は今のような国内大学の夜学MBAや、オンラインMBAという選択肢はありませんでした。

そのような背景から、MBA留学は自身にとっては、日系企業から外資系企業へ良い条件で転職するための最も有効なパスポートでした。

実際留学してみて感じたメリットは以下のとおりです。

-当初期待していた通り、MBA学生になったことにより、在学中から、複数の外資系企業が卒業後の転職を視野に自分にコンタクトしてくれるようになった。また、最終的に希望する外資系企業に転職出来、社内でキャリアアップし、20年以上勤めた。

-同じようにキャリアアップを目指す多様な人種の友人ができた。また、日本人の同級生とは、お互い日本で別々の外資系企業に転職後、コンサルと事業会社の財務担当者として再会し、協業する機会があった。

-当時はまだロジカルシンキングが今ほど浸透していなかったが、MBAの2年間で財務、マーケティング、サプライチェーンなどの習得を通じて、論理的に考える習慣がついた。

以上が当時私が感じたMBA留学のメリットでした。

2.デメリット

前述のように多くのメリットがありましたが、デメリットもいくつかありました。

-高い授業料と生活費です。当時で1,000万円弱を投下しました。が、キャリアチェンジとキャリアアップというリターンを得るための投資と割り切って考えました。

-2年間の機会損失です。これも留学前からわかっていたことですが、留学期間中は夏休みのサマーインターン時期以外は働けないので、2年間は収入を得る機会、また実務を通じて成長する機会を失うことになります。

以上、主に２つのデメリットを感じました。ただ、想定の範囲内ではあったので良しとしてます。

3.今自分が20代後半だったら。。。

今自分が20代後半だったら、MBA留学するかどうかは置かれた状況によります。私がMBA後に転職した外資系企業では、毎日のようになんらかのチャレンジングな課題に直面し、ロジカルに状況を分析し、解決策を経営陣に提案し、それを実行する日々を送っていました。

ある意味、毎日が、MBAのケーススタディを実社会で行っているようなものです。よって、20代の頃からこのような環境で働いていたら、MBA留学はしないでしょう。現に、新卒でこの会社に入社した者で、生き残っている社員は実務で鍛えられていたため、MBAをやる必要はなく、問題なくキャリアアップしていました。

もしも自分が上のようなチャレンジングな鍛えられる環境にいなかったとしたら、留学ではなく、仕事は続けながら国内の夜間MBAに通う可能性はあります。理由は２つです。１つは「成長と収入」の機会損失を最小化するためです。もう一つの理由は、リスクのある投資を避けるためです。今の円安とアメリカの物価高を考慮すると、2年間のMBA留学には2,000万円の授業料と生活費の投資が必要と思います。躊躇する金額と言わざるを得ません。

それ以外にも、今の時代であれば、他の選択肢もあるかなと思います。副業してみるのも良いし、ロジカルシンキングが身についているのであれば、MfA（Master of fine Art) のようなクリエイティブシンキングを鍛えるようなオンライン学習もありかなと思います。

いずれにせよ、私が留学した２０数年前よりも今の時代の方がより多くの選択肢があると思います。

ぜひ、ご自身の状況とキャリア目標に合わせて、最高の意思決定をしてください。

少しでも私の過去の経験が参考になれば、幸いです。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。