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『たとえ話』を使えば練習効果UP!でも、どうやればうまく作れるの?

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たとえ話を指導に取り入れたい方は、参考にしてみるといいかも。

1.「たとえ話」はたしかに練習効果を高める

技術指導をするときに「たとえ話は役立つ!」というのは、なんとなくイメージできるんじゃないかと思います。

実際に、たとえ話を使うことは練習にいいのかを調べた研究で、「卓球競技で打球フォームの指示を例え話(メタファー)を使って伝えると学習効率が良くなる」という報告も出ていました(*1)。 

何かを練習するときは、自分が行うことそのものに意識を向ける(インターナルフォーカス)よりも、じぶんが行うことで生まれる”結果”に意識をむける(エクスターナルフォーカス)の方がいいと言われていて、例え話はこのエクスタナーナルフォーカスを引き出すのに役立つんだそうな。

例え話って「細かいことを伝わらないけど、全体像をざっくりイメージさせるには効果的な伝え方」なので、それがいい感じに働いてくれるみたい。

2.「うまくはやく”たとえる”のがむずかしい」問題

ただ、”例えること”そのものが、ちとむずかしい技術だよなっていうのも正直なところです。

抽象的すぎると相手はイメージしにくいし、
具体的でも相手になじみのなかったら伝わらないし、
なじみがあるものでも例えたいものと関係なかったら意味がないし。

カンタンなようで案外使いこなせない。そんな技術ですよね。

僕も例外ではなく、
学生時代は、作文の授業で「たとえ話するところでつっかえて、そのまま授業が終わる」くらいに引き出しが少なくて困っていたくらいにはもともとニガテ。
日常的に文章を書いたり、人前で話すようになってからも、あまり適切なたとえが思い浮かばなかったり、浮かぶまで時間がかかったり、できても例え話の幅がせまかったり(伝わる相手が限られてしまう)ということが多々あって。

だからいまも、ふとしたときに勉強するように努めています。

3.たとえ話をラクにつくるためのレシピ

たとえ話(比喩、メタファー)をうまく作るコツを学ぶにあたって、

たとえる技術』という本は参考になりました。

この本は、タイトル通り”うまく例えるためのレシピ”が書かれてる本で、

・そもそも「例えられる物事ってどんなものがあるのか?」を把握できる
・例えたいものの「どこを例えればいいか?」を考えるための視点が持てる
・例えたいものを「何に例えればいいか? 」を考えるための視点が持てる

みたいな内容になっています。

この本によると、たとえられる物事は大きく3つ、
・モノ(人など生き物も含む)
・状態
・感情

で、

たとえるために持つべき視点は10個。
・視点を変える・・・例えたいモノから距離を取ったり、アングルを変えてみる
・似た形を探す
・・・文字通り、似たような形で相手が具体的にイメージしやすいモノと重ねてみる
・似た色を探す
・・・過去に目にした似た色を持つモノと重ねてみる(おもに色を例えるときに使う)
・似た動きから作る
・・・過去に目にした似た動きを持つモノと重ねてみる(おもに動きを例えるときに使う)
・よくある表現をアレンジする・
・・良く用いられる表現を自分の言葉でアレンジ(例)綿菓子のような雲→子どもの頃縁日でもらった綿菓子のような雲
・得意分野を利用
・・・伝える相手の詳しいこと得意なことに関係するモノと重ねてみる
・学校を使う
・・・学校にあるモノや人、行事、風習などと重ねてみる
・著名人を使う・・・有名な人の特徴やイメージと重ねてみる
・動物を使う
・・・動物の特徴やイメージと重ねてみる
・想像力を利用する・・・「なんでこの状態になったのか?」といった背景を想像して付け足してみる

といったことが書かれています。

これ、たとえる対象が名詞ではなくても使える視点が多いので、スポーツや音楽、専門技術の指導にも役立っています。

ためしに、
ジャンプ後の着地は、”脚の力を使って衝撃を吸収”して
という指示を、使えそうな方法で言い直してみるとこんな感じ。

・視点を変える・・・「”着地の音がしない”ように着地して」
・似た形を探す・・・「”下半身がでっかいバネになるようなイメージ”で着地して」
・似た動きから作る・・・「”飛び上がるときの逆再生”のつもりで着地して」
・得意分野を利用・・・クルマの運転が得意な人なら「”カラダにゆっくりブレーキがかかるように”着地して」
・動物を使う・・・「”猫が着地するときと同じように”着地して」
・想像力を利用する・・・「”ここが下の階に住人がいるおんぼろアパートの2階”のつもりで着地して」

現場でとっさにいうにはちょーっと大喜利っぽくなりすぎてる表現もありますが、
同じ動きを表現する伝え方を何パターンも持てる
というのは実感していただけましたでしょうか。

そのほか、たとえることで、
・会話が長くできる
・同じことを言っても相手の印象を変えられる
みたいなたとえ話が使える場面の例を取り上げてあったりして、かゆいところに手が届く内容になってました。

たとえる技術』を読んでからほんのすこしだけ、たとえを見つける労力が軽くなった気がします。

どのくらい楽になったかというと、

「夕飯のおかずを作るのに、いままで材料をイチからそろえて料理してたのが、”キャベツがあればすぐできる回鍋肉”みたいなのを使えるようになった」くらい

といったところでしょうか。

・・・なんだか「うまくねえよ」といわんばかりの顔をされたような気がしたですが、気のせいだったことにしましょう。

これからもたとえ話がうまくなるよう、精進いたします。

あとは、よしなに。

参考文献

*1) Masters, R.S.W.(2000). Theoretical aspects of implicit learning in sport. International journal of Sport Psychology, 31, 530-541

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