satoshi Feic

プログラマ。 組込みシステム~エンタープライズ系システムまで多数経験。 【保有資格】 プロジェクトマネージャ テクニカルエンジニア(エンベデッド) などなど

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プログラマ。 組込みシステム~エンタープライズ系システムまで多数経験。 【保有資格】 プロジェクトマネージャ テクニカルエンジニア(エンベデッド) などなど

最近の記事

【仕事の記憶】(12)何もできない自分を知る

の続き。 転職先は、携帯電話を世に広めたパイオニア的な老舗企業。当時も世界で指折りの大メーカーである。 ただ、先進的な機能実装など他社に遅れを取るようになっていて、シェアを落とし始めていた。 通信事業者からの要求が厳しく、ガラパゴスと呼ばれるほど独自機能をもつ日本の携帯電話市場にも対応しきれず、新しい機種を出せず撤退気味となっている。 元からさほど重要な市場と考えていなかったのだろうが、どうやら日本は世界の先陣を切って第三世代規格に手を付けることになりそうだ。 次世代規格の

    • 【仕事の記憶】(11)難しい転職タイミング

      の続き。 業界ではメモリ実装効率の良い命令セット(thumbコード)を持ち、CPUコアIPによる統合チップ(SoC)化が容易なARM7TDMIが主流になりつつある。 自社でも既存機種向けのDSPを開発してもらっていた会社とCPUコアをARM7TDMIとした統合チップを共同開発していた。 このSoCは同業他社への転売が可能な契約で、自社からの開発費用持ち出しはほとんどない。 (後日談、このSoCを大量に購入し、シェアを大きく伸ばすのは別のメーカーである) 現行メインCPU側

      • 携帯電話開発ならではのフィールド試験

        自分は携帯電話のアプリケーションではなく、無線通信のプロトコルスタックの一部を担当していたので、試験といえば、基地局のテスターやシミュレータを使って行うのが当たり前。 しかし、あくまで開発・品質保証部門が勝手に想定した疑似環境に過ぎない。 ARIBに持ち込み、技術適合試験を通過させたのち、通信事業者の実際の基地局エリアで正しく通信ができるか、期待した性能はでているか確認しなければならない。 わが社では、この試験を「フィールド試験」と呼んでいた。 フィールド試験は、事業者側

        • 【仕事の記憶】(10)Nの衝撃

          の続き。 iモード端末が現れるそれまでもダイヤルアップ接続をエミュレーションしたデータ通信は可能だった。ただ、あくまで”ダイヤルアップ接続”である、接続にはATコマンドによる通話開始・データ通信手順が必要。 通信をしていなくても時間により課金される。通話料はそれなりに高いので、とても携帯電話でネット接続など考えられなかった。 ドコモが基礎研究・開発したのであろう。ARIB STD-27がデータ(パケット)通信を強化したものに改定され、規格に準拠したiモード端末が登場する。

          携帯電話開発の栄枯盛衰

          メーカーのエンジニアは、自分たちが開発している製品が好きだし、業界の評判をいつも気にしている。 他社から新製品がでればすぐに入手・調べて、自メーカー内部や事業者から見聞きするもの、業界誌・ネットなどからも積極的に情報を集める。 他メーカーの製品に比べ、どれぐらい優位なのか・劣っているのか どれぐらい売れているのか 事業者・店頭・顧客の評判は良いのか・悪いのか 将来的に、どんな規格や技術・機能に発展していくのか 自分も様々な情報に接してきたので、メーカー内部のエンジニ

          携帯電話開発の栄枯盛衰

          【仕事の記憶】(9)問題いろいろ

          の続き。 職業プログラマであれば、1プロジェクトで作成・改造・把握するコードは数千~1万行を超えることもある。 (プログラマの熟練度、言語やコードのスタイルにより行数はかなり変わる事実はいったん忘れることにする) これだけのサイズのコードを引き受けるプログラマが「全てが完璧である。不具合など存在しない」と断言することは多分不可能だろうと私は思う。 断言してしまうプログラマがいたらかなり驚くだろう。 準正常・異常な状況も当然想定し、できる限りの試験・評価を実施していても、所詮

          【仕事の記憶】(9)問題いろいろ

          【仕事の記憶】(8)アナログからデジタルへ

          の続き。 デジタル端末開発を引き継ぐ首都圏事業所の開発部門で新デジタル方式(CDMA)端末の開発を始めるため、現行デジタル方式端末の開発を自部門で引き継ぐことになった。 従い、アナログ方式端末の新機種開発は打ち止めとなるとのこと。 (結局、自分はアナログ端末のコードはほとんど弄らずじまい。) ベースとなるコードがあるとはいえ、いきなり「ハイ新機種開発よろしく」とはいかないので、首都圏事業所の開発部門に半年ほど長期出張して、修行・引き継ぎすることになる。 それ以前にも、ちょ

          【仕事の記憶】(8)アナログからデジタルへ

          【仕事の記憶】(7)4ビットCPUでよろしく

          の続き。 これを書くと自分が誰だか分かってしまうのだけれど、知っている人はごく少数だろうし、そもそも別に隠す必要もないし。 ということで、アナログ携帯開発時のエピソードを。 当時すでに振動で着信を伝える端末は存在していた。(たしか米国企業の特許だったような?)しかし、小さくなったとはいえ、まだ、いつもポケットに入れておけるサイズではない。 端末を鞄などに入れた状態で音を鳴らさずに着信を知りたいという要望もあるらしい。 着信があると光ったり・振動したりするアクセサリが売ら

          【仕事の記憶】(7)4ビットCPUでよろしく

          【仕事の記憶】(6)携帯電話開発ことはじめ

          の続き。 携帯電話の基礎知識田舎町のなんとなく古くさい工場の一角に携帯電話の開発部(設計部?だったかも)の居室がある。 出社すると、いきなり学生時代のあだ名で声をかけられる。なんと高校・大学(学科は違う)の同窓生ではないか。彼もソフトウェア設計チームに所属しているとのこと。なるほど… あの怪しい学歴・キャリアで書類審査が通ったのは彼の存在も一役買っていたようだ... 開発部には、高周波回路・論理回路・機構・ソフトウェアの4つの設計チームが同居し、各チームは3~6名程、総員

          【仕事の記憶】(6)携帯電話開発ことはじめ

          【仕事の記憶】(5)初めての転職

          の続き。 郷里の求人年末年始に帰省していた時、各戸に無料投函される地元情報誌の広告が目に留まる。 「この名刺にあなたの名前をいれませんか?」 なるほど、大都市圏で働く地元出身技術者のUターン転職を促しているらしい。 広告に大きく拡大された名刺の会社名は、郷里に唯一存在する東証一部上場企業の工場・事業所のものだった。 この企業の本業は電子部品だが、創業者が経営トップになっている通信事業者向けの携帯電話を納入していた。 全く知らなかったが、超がつくほどのこの田舎町で開発・

          【仕事の記憶】(5)初めての転職

          【仕事の記憶】(4)バブル崩壊でも仕事は楽し

          の続き。 バブルの崩壊直後時はパブル景気の崩壊直後で、自社にはプロジェクト参画できない経験の浅いエンジニアが溢れていた。何もすることがないので情報処理技術者試験の勉強をしたり、完了したプロジェクト成果物を見たり。 仕事でプレッシャーがあるのも辛いけれど、会社に出てきて仕事が無いのはもっと辛いものだと。と同期が嘆き苦しんでいる。 社員旅行も無くなり、ボーナスが通常の半分以下になる。残業時間を減らすため週2回フレックスのコア時間分しか業務が出来なかったり。 社長・専務、役員が

          【仕事の記憶】(4)バブル崩壊でも仕事は楽し

          一番欲しいもの

          (これは自分の考え方で極めて主観的なものです。 万が一心配される方がいたらごめんなさい。 今がしんどくてどうしようもなくて生きるのが辛いとか、そういうことではありませのでご安心ください。 また、違った生き方・考え方を否定するものでもありません。) 一番欲しいものは何だろう。自分は、 「飲めば、次の日、目を覚まさない薬」 が欲しい。 随分衰えてしまったが、まだ働ける。 新しいものを生み出すことは難しいけれど、積み上げてきたものを使って何とかなっている。 しかし、経験も

          一番欲しいもの

          【仕事の記憶】(3)組込みシステムエンジニアへ

          の続き。 初めての組込みシステム開発プロジェクトと無茶無謀な担当割り新しい課に異動後、新規プロジェクトの立ち上げメンバにクレジットされる。前回は途中参加だったので少し気持ちがいい。 ただし、UNIXワークステーションやPCで動作するアプリケーションではない、教育では習っていない用語「ファームウェア」の開発である。 「ファームウェア」は、(大抵は)半導体不揮発メモリ上に格納されるソフトウェアを示し、小規模な組込みシステムはこの形態で実装されるものも多い。 電子交換機システム

          【仕事の記憶】(3)組込みシステムエンジニアへ

          【仕事の記憶】(2)炎上プロジェクトと所属異動

          の続き。 かくしてプロジェクトは炎上した真夏の暑い日、夕刻~翌朝までテスト作業するため客先のマシン室に向かう。理由を説明するまでもなく新人は一人で作業することはできない。この日はプロジェクトリーダーと一緒に作業する予定だった。 作業の開始予定時間を過ぎてもプロジェクトリーダーが現れない。 時間を間違ったのかもしれない、自社に電話をかけてマシン時間を問い合わせると間違いないとのこと。 「Kさんが来ていないのですが。体調不良など連絡が入っていませんか?」と確認する。 そのよう

          【仕事の記憶】(2)炎上プロジェクトと所属異動

          【仕事の記憶】(1)業界に入ったばかりの頃

          業界に入るキッカケ自宅から徒歩圏、かつ、貧乏人でも大丈夫(授業料が年間たったの三十万円)という理由だけで選び・受験した大学・学部である。 何のために勉学するのか目的を持たない自分は、まったく学業に身が入らずアルバイトにのめりこんだ。 (化学系学科だったので長時間の実験とアルバイト時間の両立ができなくなった。という言い訳もしておきたい。) 3年目の後期、単位数が大幅ショートしている、留年確定である。 心を入れ替えて頑張って卒業しようという気持ちもなく、スパッと中退して就職しよ

          【仕事の記憶】(1)業界に入ったばかりの頃

          好きではないプログラミング言語の話

          OSやドライバ、組込み領域など、半世紀以上C言語に代わる高級言語が出てきていない。 近年Rustの話題が急増している。すでに一部置き換わっているものもあるらしい、Linuxも6.xからのRustへの対応をリーナスさんも言及していた。 近いうちに言語焼き直し需要は爆発するかもしれないかもと考えていたが、 まだ、カーネルや最下層のドライバたちを書き換えに至るほど熟成されていないようにも感じる。 オブジェクト思考云々が流行り始めたころにC言語のスーパーセットとして登場したC++

          好きではないプログラミング言語の話