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『愛なき世界』を読んで
三浦しをんさんの小説で、植物を研究する女性と料理人の恋愛?交流を描いています。
読みやすく、隙間時間の3日で上下巻とも読み終えました。
「植物」を研究する内容まで詳細に書かれていて、なぜ、この木はこのような葉っぱの形になったのかを心底知りたいという女性の心の機微が描かれています。
好きなことに打ち込みつつ、恋愛も出来る人を「健全」と言っている、思っている彼女に人間味も感じるし、私自身が学者に憧れを持つ理由が浮かび上がった気がします。
私は自分が「健全」(私の言葉だと「普通」「なんの変哲もない」)な人間であるから、所謂恋愛や結婚、友達付き合い、ファッション、流行のものなど全てを押しのけて何かを研究して、世界に発信してる人を心から尊敬するし、カッコいいと思います。
でも、そんな羨ましいと感じる人も悩みはあるよなと再確認させられました。
※成田ユウスケさんが好きな理由は、研究もして、オシャレで、一般的な感覚も持ってて、私が普段考えてることを高次元で言語化してくれるところがたまらないんだと再認識
上巻を読んだ時点では、結末がなくてもいい話だと思いました。
下巻からは怒涛の研究と松田先生の過去とセミナーの準備が始まります。とりとめのない話のようでいて、それがいろんな人の思いにつながるのがとても面白いです。
人間同士の愛と、知りたいと思う強い気持ちは一緒なのかもという主人公の思いに共感しました。(一見すると)愛なき世界が正しいタイトルのような気がします。
これが知りたいと思う強い気持ちを持つ人々(=学者)に憧れを持ちつつも同じように悩んだり、嫉妬したりするんだと、ほっとする話でした。
私は一生をかけて調べたいほどの強い疑問はありませんが、強いて言うのであれば、笑いの多い楽しい家庭を自分の手で作ってみたいという欲望はあります。
失敗したり、衝突しながらも理想に近づけるよう努めていきたいと思います。
*読書の秋と言いますが、猛暑の夏は家に籠ることが多いので、読書の夏といってもいいかもしれません。