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【本について】
タイトル:愛するということ

著者:エーリッヒ・フロム 出版社:紀伊国屋書店

Q 「愛するということ」とは

A 「愛する」ことは技術である。

「受動的」ではなく「能動的」である。理論学習と習練が必要である。愛は落ちるものではなく、自ら踏み込むもの、愛は何よりも与えるものであり、もらうことではない。愛とは愛を生む力、愛とは、能動的に相手の中へ入っていくことである。愛するということは、決意であり、決断であり、約束である。

【著者のメッセージ】(願い)

愛を個人的な現象から社会的な現象へ

【WHY】(問題)

■誰もが愛に飢えているのに、愛について学ばなければいけないことがあると考えている人は少ない。

また、愛よりも重要なことは他にたくさんあると考えている(成功、名誉、富、権力に執着し、愛の技術を学ぶエネルギーなど残っていない。金や名誉を得る方法だけが習得に値すると思っている。)

■現代社会の仕組みは人間の標準化を必要としている=「平等」

■他人を愛するのは美徳だが、自分を愛するのは罪という考え方が浸透してしまっている。

■愛に対する勘違い

・・愛は快感の一種だと思っている

・・愛は対象の問題であり、能力の問題ではないと思っている

・・愛について学ぶものはないと思っている(恋に「落ちる」という最初の体験と、愛している、愛する人とともに生きるという持続的な状態を混同している)

■たいていの人は愛の問題を、愛するという問題、つまり愛する能力の問題としてではなく、愛されるという問題として捉えている

私たちの関心事は常に、

・・どうすれば愛されるか
・・どうすれば愛される人間になれるか

ということに向いている。

この結果、男性は、社会的に成功し、自分の地位で許される限りの富と権力を手中におさめようとする。女性は、外見を磨いて自分を魅力的にしようとする


【WHAT】愛の理論

■恋愛

・個人的な体験としての愛は、能力よりも対象を重要とする

・恋愛は排他的である

・・友愛や母性愛には見られない

・・利己主義が2倍になったものにすぎない

・・孤独を克服したと感じるが依然として孤立している

・・男にとっての魅力的な女性、女にとっての魅力的な男性は、自分にとっての「お目当ての商品」

・・自分と交換することが可能な範囲の「商品」に鍵られる
相手は、社会的価値という観点から見て魅力的でなければならない。自分の交換かちの上限を考慮した上で、市場で手に入る最良の商品を見つけたときに恋に落ちる。

■人間の強い欲求

・人間のもっとも強い欲求は、孤立を克服し、孤独の牢獄から抜け出したいという欲求

(孤立とは、恥と罪悪感を生む、孤立こそがあらゆる不安の源)


■人間が抱える問題

・・いかに孤立を克服するか
・・いかに合一を達成するか
・・いかに個人の生活を超越して他者と一体化するか

ー解決策ー

■祝祭的興奮状態による合一

セックス:結局は孤立感を深めることになる
麻薬
お酒

興奮による合一3つの共通項
①強烈
②精神と肉体の双方にわたり、人格全体に起きる
③長続きせず、断続的・周期的に起きる


■同調に基づいた合一(集団、慣習、しきたり、信仰)

・・独裁体制は、同調させるために威嚇と脅迫を行う

・興奮による合一とは正反対の特徴

・個人の自我はほとんど消え、集団の一員になり切ることができる

・集団に属すれば、私は救われる


■アダムとイヴの話

別々の性に属している異なった存在であることを知ったが、自分たちがともに孤立していることを認識しても、二人は他人のまま。愛し合うことを知らなかったから。(アダムはイブを責めることで自分を守ろうとした)
ここから恥、罪、不安が生まれた。


■平等について

・資本主義社会では平等は、文字通りの平等ではない
⇄一体ではなく同一

・・同じ仕事をし、同じ趣味をもち、同じ新聞を読み、同じ感情や同じ考えを持つ(違いを切り捨てた同一性)

・・性の二極性も消えつつある

・・全員が同じ命令にしたがっているにもかかわらず、誰もが、自分は自分の欲求にしたがっていると思い込んでいる

・・働き方も娯楽も型通り


■現代に必要なもの

・人間同士の一体化、他者との融合、つまり愛

・自分以外の人間を融合したいという欲望こそ、人間のもっとも強い願望

・共棲的結合(悪)
・・服従の関係
⇄成熟した愛は、自分の全体性と個性を保ったままでの結合

・・愛によって、人は孤独感・孤立感を克服するが、自分自身のままであり、自分の全体性を失わない。愛において、ふたりがひとりになり、二人であり続けるというパラドックスが起こる


■与えること

・自分のもてる力のもっとも高度な表現

・他人のために自分の生命を犠牲にするという意味ではなく、自分の中に息づいているものを与えるということー自分の喜び、興奮、理解、知識、ユーモア、悲しみ

・与えることで、他人の中に何かが生まれ、その生まれたものは自分に跳ね返ってくる

・人を愛せるかどうかは、その人の人格がどれくらい発達しているによる
・・達していないと、自分を与えるのが怖く、愛する勇気もない


■愛の能動的な性質(配慮、責任、尊重、知)

・・配慮:子供に対する母親の愛


■自己愛

・・他人に対する愛と自分への愛は両立しないという考えは間違っている

・・自分の個性を尊重し、自分を愛し、理解することは、他人を尊重し、愛し、理解することとは切り離せない

・・他人に対する態度と自分に対する態度は結びついている

・・自分を愛する態度は、自分を愛せる人全てに見られる

・・誰かを愛することは、愛する能力を集中し、実現すること

⇄利己主義(ナルシズム傾向が強い)
愛さなすぎる
空虚感、欲求不満
自分のことも他人のことも愛していない
愛を達成するためには、ナルシズムを克服しなければならない
人を愛するためには、謙虚さと客観性と理性を育てなければならない


【HOW】

■習練:愛には修練が必要

●規律 
気分が乗っている時だけでは意味がない

●集中
じっとしていられるか
くだらない話を避ける
悪い仲間を避ける

●忍耐

■技術の習得に最大限関心を持つこと
自分にとって重要でないものは、何を身につけようと思っても身につかない
■信じること

・自分自身の経験、自分の思考力、観察力、判断力

・自分を信じているものだけが、他人に対して誠実になれる

・他人を信じることは、他人の可能性を信じること

・こちらが愛せば、きっと相手の心にも愛が生まれるだろうという希望に全身を委ねる

・子育て:教育か洗脳か

・・教育とは、子供の可能性を実現していくことを助けること

・・信念がなければ、子供のことを心配しすぎる


【響いたメッセージ】

■人間を人間とみなし、世界に対する人間の関係を人間的な関係とみなせば、愛は愛としか、信頼は信頼としか交換できない。人々に影響を及ぼしたいと思うなら、実際に人々を本当に刺激し、影響を与えられるような人間でなければならないーマルクス

■自分自身に対する関心を超越して、相手の立場にたってその人を見ることができた時に初めて、その人を知ることができる
・・もっと深くその人を知れば、その人が不安にかられているとか、心配しているとか、孤独だとか、罪悪感に苛まれているということがわかる

■完全に知るための唯一の方法が「愛」である。私たちの知には、たまたまではなく、本質的に、限界がある

■二極性は、人間が人間を創造することの基礎

■子供が神経症になる原因の1つは、母親が、愛情はあるが、甘すぎたり、支配的だったりして、父親が弱く、子供に無関心なこと→大人になっても母親に依存したままで、無力感を持ち続け、いつまでも何かをもらいたい、保護されたい、世話してもらいたいという受動的な人間になる

■汝の如く、汝の隣人を愛せ

■自分の役立たない者を愛する時にこそ、愛は開花しはじめる

■蜜を与えられる母であるためには、「良い母」であるだけではだめで、幸福な人間でなければならない

■相手のイメージは、ナルシズムによってゆがめられている


【学び】

■私たちはいかに身勝手であるか

■私たちはいかに資本主義に呑み込まれているか

■愛を実践していくことが、生命活動の中でもっとも尊いこと

■私たちは、私たち(人間)のことをあまりにも理解していない

■私たちが男性であり、女性であること、母親であり、父親であることには大きな意味と役割がある

■愛を実践しなければ、私たちは「ロボット」

■私たちは、両親の愛の影響を大きく受けている。大人になってからの愛に影響を及ぼす

■私たちは、いかに目の前のことを歪めて見ているか

■無条件の愛が最強

■自分の成熟度で、他人に与えられる愛の大きさが決まる


【アクション】

毎日問う「愛せているか」と。


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