【小説】西日の中でワルツを踊れ22 僕はずっと僕でいられるわけじゃないから。
前回
川田元幸くんの家のリフォームをしている間、彼と話をした覚えはなかった。
ただ、熱心に僕たちの仕事を見ていることには気が付いていた。その視線はちょっと他では感じないような必死さがあった。
どうして、彼はこれほどリフォーム作業を熱心に眺めているのだろう。
それが最初の疑問だった。
川田くんの家の仕事が終わって、一週間が経たない頃に彼は事務所に現れて「雇ってください」と言ってきた。
理由は変わりたい、変わる為のきっかけが欲しい、というものだった。
青くさくて