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ネオニコチノイド系農薬は発達障害の子どもの急増の原因か?ー世界から立ち後れる日本の安全規制ー

ネオニコチノイド系農薬(以下、ネオニコと略)90年代前半から使用されて、その頃から淡水湖や汽水湖のなうなぎやワカサギなどが激減、その理由は田んぼから流れ出したこの農薬にあると研究者がはっきり指摘しています。

農作物を食い荒らすいわゆる「害虫」や、魚類の餌のエビなどの甲殻類や水棲昆虫を微量な濃度でも殺せる恐ろしい「殺虫剤」です。

時を同じくして、ミツバチの大量失踪(ネオニコには神経毒性があって巣に戻れなくなった)がネオニコが原因で起きて養蜂家の多くが廃業に追い込まれました。
様々な野菜や木々の受粉を媒介するミツバチの激減は、ドミノ倒し的な農業や生態系へのダメージも危惧されています。

植物(農作物を含む)への残留性(効果の持続性)が大きいので、農薬散布回数や量を減らせるとことで使用されていて、ネオニコが人体や環境への負荷が小さくていいかのように言われてきましたが、とても危険な農薬であることがわかってきたのです。

それは人間の子どもたちが微量ずつでも長期摂取した場合、ネオニコ使用量の増加曲線と、子供の発達障害や自閉症の数の近年の急増傾向が、見事に相関して重なっている事実が示されています。

子どもたちに人体実験するわけにはいきませんから”因果関係”は実証されたわけではないものの、もはや残留ネオニコチノイドを食べ物を通じて子供が摂取していることが発達障害や自閉症などの原因の大きな一つだと疑わざるをえないのです。

2012年にはすでに米国小児科学会は“農薬曝露は子どもに発達障害,脳腫瘍などの健康被害を起こす”と公的に警告しています。

近年では、ラットを使った実験でもネオニコを摂取させたねずみの行動異常を証明した神戸大学農学研究科の星信彦教授による研究が、世界に衝撃を与えています。

ネオニコチノイドはオスの子マウスの動物実験で、脳内の神経伝達物質の受容体に構造が類似しており、ppbレベルの極めて低濃度微量(ppbは10億分率を表わす記号で,part per billionの略。)の超微量被曝でも、神経系の異常による行動異常が起こることが判明しています。

すでにネオニコの成分が、多数の小学生の尿から一度に数種類検出されたと、農薬問題に取り組むNGOデトックス・プロジェクト・ジャパン(DPJ)が報告している。
学校給食を含む子どもたちの普段の食事に、いかに多くの農薬が残留しているかを示すもので、専門家らは化学物質の影響を受けやすい子どもの健康を守るために総合的な対策の必要性を訴えている

残念ながら、こんな重大なリスクが国民には十分知らされていません。
このような経緯の結果として、世界的には予防原則に基づいた規制が進み、EUは5種のうち3種を原則禁止にしました。(フランスは5種類全て禁止)
ところが、日本はどうなっているのでしょうか?

農水省のネオニコ規制強化への動きは、EUに較べて、残念ながら著しく出遅れています。その実態を下記の図表は示しています。


しかも、驚くべきことに、政府はもともと、欧米の基準より極めて緩かったネオニコチノイド農薬残留基準をさらに大幅に緩和(小麦6倍、蕎麦150倍)するという世界の流れに逆行する措置をとりました。

国民・消費者がこの事実を知って、かけがえのない子どもたちを守るために、政府や農業関係者等に農薬の規制強化と無農薬有機農業への転換を働きかける必要があります

希望の光もあります。佐渡で国鳥の「トキ」の復活に成功したのは、トキの餌となる虫を殺してしまうネオニコ使用に関して、農家が理解し地域住民が協力してやめたからです。
絶滅危惧種のトキも大事ですが、人間、特に子どもたちの命も大事にしてほしいものです。

リスクが疑われる場合は、因果関係が完全に証明されなくても、安全サイドで判断して使用をやめるという「予防原則」にしたがった行動(政策)が重要なのです


⚫︎参考資料
ネオニコ系農薬 人への影響は【報道特集】

執筆者(文責) 能村 聡

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