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身体表現からつながる『soil』の陶芸作品【FREEPARK】

陶器のお花と葉っぱ、
釉薬の流れが可愛い花器など
つい手に取りたくなる『soil』の作品が
たくさん届きました。

『soil : 【土】』は
まだ誕生したばかりの
新しい陶芸ブランドです。

作家は島谷達廣さん。
なんと武蔵野美術大学の
空間演出デザイン学科を卒業し、
助手の仕事を2年間されておりました。

同じ大学のしかも同じ学科の後輩が
こんなにも立派に独立されており、
勝手に誇らしい気持ちになってしまいました。

今は陶芸をされておりますが、
島谷さんの専攻は私とは違い、
ファッションデザインでした。

なぜファッションから陶芸へ?!
そんな疑問から、
お話を伺わせて頂きました。

すると、
25歳という若さには思えないほどの
いろいろな経験をされていたのです!

作家、島谷達廣氏について
ごゆっくりとお読みくださいませ。

島谷さんは子供の頃から
ひとり遊びが好きで
小さな発見や造作を楽しんでいました。

過度な言い方ですが、
モノづくりのスタートが
幼少期だとすると、
かれこれ20年くらいの作家活動と
言えるのかもしれません。

そして、
高校生の頃に気づきがありました。

イッセイミヤケのファッションが
プロダクトや建築的な
アプローチであることに感銘し、
『身体表現としてのファッションが好き』
ということに気づいたのでした。

そのことによって
進路も服飾専門の学校よりも
美術大学でファッションを
学んだ方がいいと考えるようになりました。

しかし、ここで驚いたのが
「将来的にファッションの業界に
 いくつもりはなかったんです」
と、島谷さんが言ったからです。

実際に学生時代に取り組んだことは
シャツやデニムなどの既製品になりうる
服作りではなく、
ドレスや造形作品として
『身にまとうモノ』を作っていました。

大学3年生のときには
『MAU COLLECTION(通称マウコレ)』
という大学内のファッションショーに
参加しました。

そのときの作品は
『AKIRA』と現代社会の重なりをテーマに
崩壊と構築を表現したものでした。

その後、
イギリスの大英博物館の「グレイトコート」で
開催されたファッションショーに
誘われたのでした。

世界的に有名なファッションデザイナーの
山本寛斎さんが企画したこのショーには
日本とイギリスの学生たちの作品が
集まったそうです。

しかし、
短納期での参加だったため、
島谷さんはマウコレの作品で
参加することにしました。

山本寛斎氏からは
厳しいご指導をいただいたそうで、
現役の大学生にとっては
苦い思い出にもなっているかもしれません。

残念ながら旅費の負担が難しかったため
現地での参加はかないませんでしたが、
簡単には得られないチャンスではあったので
きっといい経験になったと思います。


学生時代に島谷さんは
今の作家活動につながる
大切なことを学びました。

『ファッション=服』
だと思っていた概念が覆されたのです。

『ファッションとは
 インテリアであり、
 食事であり、
 生活そのものである』と。

生活や食事がファッションであるならば、
陶芸もファッションであると
彼の制作意識が変化していきました。


大学を卒業し、
助手の仕事をしている間に
またも大きな作品を発表しています。

ファッションが好きな人や
服飾業界にいたら誰もが知っている
文化出版局刊行の雑誌『装苑』の
ファッションコンテスト『第95回装苑賞』にて
装苑賞佳作2位を受賞されました。

テーマ:「SEX感の拡張」
コンセプト:
人体が衣服を身にまとう以上、胸の凹凸、
筋肉の関係性など、人が持つ曲線的な美しさが
必要だと考えます。
その要素がなくなると、衣服はひとりでに
歩いて行ってしまうのでないかと考え、
肩、腰、胸のラインの延長を試みました。
全身を覆ったシルクは、
角真綿を手で伸ばすことによって、
繊細な皮膚感を表現しました。

素晴らしいことなのですが、
実際は問題も多くあったようです。

567の影響により、
発表時のセッティングに立ち会えず
表面の繊細さを表現できなかったそうです。

100%の全力で挑んだコンテストだったため、
やはり1位である装苑賞を取れなかったことは
相当悔しかったそうです。

現実的な面でも
制作費が持ち出しのため
装苑賞の賞金は惜しかったと思います。

学生時代に金銭面で苦労したのは
身をもって知っていることなので、
制作費のためにバイトをしていたのが
思い出されました。


しかし、
落ち込むことはありませんでした。

なんと、授賞式の6日後に
『soill』のインスタを立ち上げたのです。
待ちに待った陶芸作家のスタートです。

振り返ること1年前。
2020年に島谷さんは友人とともに
アトリエを借りていました。

相方さんが陶芸をやっており、
土を触るきっかけが生まれました。

また遡ること、
19歳でインドへ行ったときの
体験が重なってきます。

インドでは原始的な
綿を紡ぎ、糸を作り、布を織る、
さらに染織をするという
ゼロから作るという体験をしました。

そのときの
プリミティブな素材との向き合い方は
作家としての島谷さんに影響を
与えたようでした。

↓↓↓
土の状態では上記の写真なのに、
削ったり手を入れたのち、
焼き上げるとこんなに素敵なマグカップになります。
↓↓↓

作家活動として
陶芸を選んだのには
・『土』が好きであるということ
・原始的で昔からの技法があること
・藍染のような素材との関わりがあること
・手でちゃんと作れること
そんな思いがありました。

モノづくりとしては
当たり前なことかもしれませんが、
島谷さんの純粋な創作意欲の原点を
感じることができます。

『soil』には
大きく分けて2つのラインがあります。

ひとつは『プレゼントのため』
もうひとつは『生活のため』

例えば、陶器のお花や葉っぱ。
贈り物をすることが好きだったり、
大切な人にプレゼントをする大切さを
大事にしているのが伝わってきます。

編みこんで作られたバスケットは
フルーツを入れてダイニングテーブルに
飾るように置いておくことができます。

可愛い花器に
好きなお花を入れて
大切な人の生活を彩ってくれる

そんな作品を『soil』は届けてくれます。

島谷さんが
「今が一番楽しんで作っています
 こんなに楽しいのは初めてかもしれません」
そう話してくれたときの表情は
笑顔が素敵で忘れることができません。

↓↓↓
練り込みで成形したのち、
焼き上がると素敵な花器とコップが
出来上がります
↓↓↓


今後の表現活動に伺うと
さらに深い話を聞かせてくださりました。

陶芸を作品として見る一方で
焼いてしまった土が自然界には
戻らないことをご存知でしょうか。

意外と知られていないことかも
しれないのですが、島谷さんは
環境のために作家としてできることを
小さいことから始めていました。

陶芸をするためには
『高温で焼く』という工程があります。

その際の『木材』を
木彫りで椅子を作ったときに出た
『木くず』を使用しています。

さらに燃やした後に残る『灰』は
藍染をするときに使用し、
作家ならではの小さな再利用ループを
作って活動されています。

表現活動としては
彫刻にも興味があるため、
100年経っても残る素材で大きな作品を
作りたいというビジョンもあります。

『soil』のような買える陶芸作品とは別に
身体表現として人や生き物を制作したり、
背の低いテーブルやイスなど
誰も作ったことのない作品への挑戦も
考えられています。

そして、
何十年も先に見ているのは
『家族や恋人や友達の豊かな暮らし』
だと話してくれました。

「誰もが一度は心配になるような
 『親の老後』『生活の安定性』
 『家族を養うこと』『子育て』など
 そういった心配事がなくなり、
 湖の近くで自分の周りにいる人が
 豊かに生活できるのが夢です」

そう話してくれ、
島谷さんの優しさが
未来を照らしているように思いました。

「僕が生み出したモノが
 別の人のモノになる
 それが本当に有難いです
 みんなに助けられて
 やっているだけなので
 僕はまだまだなんです」

そう最後におしゃってくれました。

『soil』の島谷達廣さんは
モノづくりの島谷達廣さんであり、
アーティストの島谷達廣さんであります。

これからもずっと表現活動を
し続けていく人なんだろうなぁと
ほんわかした気分で思います。

本人はすごい人ではないと言いますが、
周りが手を差し出したくなるような
人柄と作り出すモノの魅力があるのだと思います。


『soil』の作品の持つ愛らしさを
ぜひご覧下さいませ。





いつも最後までお読みいただき、
本当にありがとうございます。

もしよかったら、
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いただけると光栄でございます。

いつまでも幸せな日が続きますように。



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