「半沢直樹」にみる組織の「モノカルチャー(単一文化)」の根深さについて
7年ぶりに続編が放送されているドラマ「半沢直樹」が相変わらず面白いですね。
あと個人的に池井戸潤の作品の中で好きなのは映画になった「七つの会議」です。
両作品の内容は本編を見ていただくとして、私がこの作品が好きな理由は私自身の仕事の目的である「インクルーシブな社会の実現」と対極にある会社が描かれているからです(それもかなり極端にw)
企業のモノカルチャー体質
私は「半沢直樹」「七つの会議」に共通する本質的なテーマは「組織風土」だと思います。
私は以前「インクルーシブな社会」になることを阻んでいるのは「資本主義」と「民主主義」が要因ではないかと書きました。
この中で私は現在の社会(会社)は「売上と利益を最大化するために、最大多数のお客様のニーズと、働く人の一番多い意見を取り入れながら効率的な企業運営をすること」が求められていると書きました。
言い方を少し変えれば、今までの会社の「組織風土」にはこの考え方が少なからず含まれているといえます。つまり会社は「モノカルチャー(単一の(価値観)文化)」になりやすいということです。
ドラマ「半沢直樹」や映画「七つの会議」ではそれが極端に描かれています。つまり売上や出世争いが組織の中では一番大事な価値観となっているので、会社の中の制度やルールといった明文化されているモノから、雰囲気、文化といった暗黙知に語られているものも全て似たような価値観になってしまうということです。
つまりこの時点で「多様な価値観」を認める仕組みにはなっていないということです。
モノカルチャーは根深いところまで浸透している
このモノカルチャーは実はかなり深いところまで既に浸透しているため、正直変えていくのは並大抵のことではないと感じています。
例えば、会社として「残業時間削減」をしていこうと目標を立てたとします。しかし現場は忙しいうえに、これまで残業規制が殆どなかった職場ではスタッフにも仕事を早く終わらせようという考えがそもそもないため、改革はなかなか進みません。そんな時あなたが管理職の立場だとしたら部下にどのような話しをして残業削減に皆の意識を向けさせるでしょうか?
仕事の「生産性」を高めるために残業を抑えた働き方をしよう
会社もいま「売上」を伸ばすのは大変だから「利益」を出すために残業を抑えよう
というような「売上」「生産性」「利益」という言葉を使って説明をするでしょうか?
もしこれ以外の言葉が見つからないとしたら、あなたは既存のモノカルチャーに染まっている可能性があります。
もちろん上記の言葉で理解を示してくれる社員もいます。そのためこの言葉を使ってはいけないという話しではありません。ただ、説明する言葉はもっと多く持っていた方が良いということです。
例えば
会社は社員が「心身共に健康的」に働いて欲しいので、既定の時間で収まるような仕事の仕方を見つけよう
会社は社員のQOL(人生の質)を高めてほしいと思っている。だからみんなのプライベートを充実させるために残業しなくても提示で帰れる仕事のスタイルを一緒に考えよう
家族との時間を重視したい社員や、もしかしたら介護が必要な社員もいるかもしれない。そういった人も当社で働けるようにするために残業がない仕事スタイルを皆で見つけたい
といった、「社員の心身の健康」「プライベートの充実」「家族との時間」まで含めて話しの引き出しを持っていれば、より多くのスタッフの賛同を得られる可能性があります。
つまり、現在は働く人の価値観は多様化しているので、「売上」や「利益」「生産性」だけでマネジメントできていた時代ではなくなりました。それよりも
多様な価値観があることを認めて、その価値観に沿った「文脈」で話しができるようになることが必要です。
それができるようになれば、職場でも多様な価値観を認め合うことができるようになり、「インクルーシブな社会」の実現に近づくのではないかと思います。
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