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足利義満ひとくちばなし
唯我独尊!将軍への道。
我らが誇るフリーダム将軍
室町幕府第3代将軍、足利義満さん。
金閣寺(鹿苑寺金閣)を建てたことや、日明貿易を始めたことで有名ですね。
それだけでなく、義満が屋敷を室町に造営したことから、室町幕府の名前の由来にもなっています。
個人的には足利将軍の中でも、知名度や権力はもちろん、教養、賢さでも群を抜いているように感じます。
好奇心旺盛で、若い頃から何事も優秀。非の打ち所がありません。
・・・性格の悪さを除いては。(あれ、今回も悪く書くの?)
今回は、そんな義満の面白いと思ったエピソードを2つ紹介したいと思います!
時間に厳しい!
義満は時間に厳しい男です。(ちなみに特技は早起き。)
当時の貴族社会では、遅刻・無断欠席が当たり前でした。
これは南北朝の動乱が原因というより、平安時代からの慣習であったようです。
義満は、当たり前に遅刻を繰り返す貴族たちが許せなかったようで、数年かけて、時間厳守を徹底させました。
会議や朝廷行事の定刻に遅れると、身分に関わらず罰せられ、たとえ僧侶であっても追い出されました。
こう見ると、義満は時間に厳しい真面目な将軍にも見えますが、彼は足利義満です。いい話では終わらないのでした。
家臣への嫌がらせ
義満は普段から「会議や儀礼に、自分より遅く来た者はみんな遅刻とするよ」と周りに伝えていました。
とはいえ、将軍の義満が上の立場。一番最後に来るのが当たり前です。
みんな、「始まる1時間前には来ていればいいだろう」とでも思っていたのではないでしょうか。
しかし当日、早めに来た貴族が部屋に入ると・・・
なんと義満がとっくに着席していました!!
「いついらっしゃったのですか」と聞いてみると、
「え?夜明け前からだよ。君、遅刻ね」
えええ!?
どうやって夜明け前に到着した義満より早く来いと・・・?
こういうことが仏事や儀礼の場で何度もあったそうです。悪趣味がすぎる。
(こういうエピソードを聞くと、大内義弘でなくても応永の乱を起こしたくなるような笑)
後円融天皇のDV。からの、義満の院政
義満が将軍に就任した時の天皇は、後円融天皇でした。(後小松天皇が即位した後は、上皇)
後円融天皇は、義満の従兄弟であり、同い年。
若い頃は2人の仲は悪くなかったようですが、義満の権力が朝廷にまで及び、危機感を抱き始めたころから、険悪になっていきます。
そして、1382年2月1日。
後円融上皇が妻・厳子(たかこ/いずこ)に対して「義満と繋がっているのでは?」と疑り深くなっていたころ、事件が起きます。
後円融上皇が厳子に対して暴力を働いたのです。
呼んだのに、厳子がすぐに自分のもとに来なかったことで激怒した後円融上皇。
厳子の部屋に乗り出し、刀の柄で厳子を何度も殴り、厳子は失神。翌日まで出血が止まらない事態になります。
義満への恐怖症から精神的におかしくなっていたのでしょうか。
実の母が駆けつけ、後円融上皇を別邸に連れ出そうとしますが、上皇は錯乱していました。
義満や母が自分を流罪にしようとしていると思い込み、自殺未遂を起こします。
この暴行事件で、後円融上皇の権威はガタ落ちし、上皇による政治もストップ。
義満はさすがに上皇のDVには困惑したそうですが、すぐに切り替え、ここぞとばかりに登場。
「あ、後円融上皇、政治難しい感じ?
じゃあ僕、代わりに院政やるよー(ニタリ)」
行動が早い!
この上皇の代わりに政治を行う、という出来事がよく天皇乗っ取り説(いわゆる皇位簒奪説)の理由とされています。
しかし個人的には、ただ後円融天皇に政治能力がないためであって、義満に天皇になる意思があってもなくても、結局は義満が主導になるしかなかったのではないかとも思いました。
何しろこの頃、幕府と朝廷(北朝)は南朝の脅威に、共に立ち向かう関係性。
朝廷がしっかりしてくれなければ、幕府の権威に関わります。
(ちなみに、二条良基という義満の師匠であり、側近でもある人物がいるのですが、暴行事件で政治が乱れる中、悠々と作文会を開いたらしいです・・・さすが義満を育てた人ですね。)
あとがき
先日、大内義弘さんに肩入れした記事を投稿したので、義満を中心とした記事を書きました。
が、大内義弘以外にも同じような態度だったので、全く擁護になりませんでした笑
私の周りには「あのぽわんとした尊氏の血から、義満みたいな人が出てきたのが信じられない」と言う人が多いのですが、義満のマイペースさは、まさに尊氏から受け継いだものでは?と思ったりします😅
(政治へのやる気は対称的ですが。)
義満さん、本当に面白い人なのでしばらく続きます!
参考文献
・小川剛生著『足利義満』
・榎原雅治・清水克行『室町幕府将軍列伝』
イラスト
・ソコスト