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【ネタバレあり】【雑感】告るタイミング(ジェーン・オースティン『高慢と偏見』)
In vain I have struggled. It will not do. My feelings will not be repressed. You must allow me to tell you how ardently I admire and love you.(p.132)
なんとか忘れようとしましたが、無駄でした。無理なのです。この気持ちを抑えることなど、できそうにありません。どうか最後まで聞いてください、私がどれほど強くあなたにこがれ、深く愛してしまっているのかを。
評判の悪い、いけ好かないダーシー氏に、主人公のエリザベスが突然告られる場面である。
えっ?って思った。もう?って。早くない?
エリザベスもびっくりしただろうけど、私も驚いた。まだ全体の49%だよ?
二百年前に書かれた小説にネタバレもヘッタクレもないと思うが、まだあと半分もあるのに告るって、早すぎない?
そういえば『ジェイン・エア』のときもびっくりしたのだった。確認したらジェインがプロポーズされたのが56%の時だった。
そんときも思った。早すぎない?あと半分、もつの?って。
もったのである。色々波乱万丈があって。なかなかやるじゃないか(誰に言ってんだ)。
そう言えば『冬ソナ』のときも思った。くっつくの、早すぎない?って。でももったのである。色々色々あって。ありすぎて。
たぶん私が恋愛小説やドラマの作法に不慣れなだけなのだ。
たとえば『十角館の殺人』の犯人が誰なのか、半分くらいでわかってしまっては、あと半分読んでもらえないだろうし、ターミーネーターやプレデターが半分くらいの尺でやられてしまったら、みんな映画館出ちゃうでしょ?っていうか半額返せ!って思うでしょ?
でも恋愛モノは多分そうではないのだ。告るのは、火サスの断崖絶壁での自白とはちがうし、RPGのラスボスでもないのだ。
1回ピークが来てから、あと残り半分くらいの尺を使って、すれ違いとかゴタゴタとか新キャラ登場とかで旨味成分を引き出していき、骨までしゃぶるのだ。骨まで愛して、なのだ。きっと。
だからこの『こまへん』も、あと半分、なんとかかんとかもたせるつもりなのだろう。
よかろう。
お手並み拝見といこうか(だから、誰に言ってんだ)。