見出し画像

【中国語】大虫(施耐庵『水滸伝』)

如今前面景阳冈上有只吊睛白额大虫,晚了出来伤人,坏了三二十条大汉性命。
このところ、そこの景陽岡には目のつり上がった額の白い虎がいましてね、夜出てきては人を襲い、大の大人をもう2、30人は殺してるんです。

施耐庵《水浒传》

中国四大奇書のひとつ『水滸伝』より、武松の虎退治の場面。

「虫」が小動物全般のこと(本草学によるらしい)だとか、人間のことを「裸虫」と言ったりする(孔子家語?)ことは聞いてたけど、「大虫」がトラのことを指すとは知らなかった。

たとえばラテン語由来の insect だったら「節のあるもの」という意味だそうなので、間違っても西洋人が哺乳類を insect と呼ぶことはなさそうだけど、(昔の?)中国人にとっては「虫」はトラでも無問題なのだ。

大型のケモノのことではなく、トラ限定らしい。つまりウマとかウシとかには使わない。

「虫」と言われると昆虫やクモなどを思い浮かべてしまうし、「大虫」と言われたらカブトエビとかメガネウラとかウシアブとかを思い浮かべてしまう日本人の私には、やっぱりずいぶん異質な感覚だ。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集