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物理数学赤点子ちゃんにも読むことはできる量子重力理論の本【読書感想文】カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』

Kindle英語版。

円城塔さんの惹句に惹かれたのが失敗だった。

小説家が薦める科学本なら私にも読めるだろうと踏んだのだが、そもそも円城さんの理系な小説は肌に合わないのだった。

数式をとことん排除し、優しい言葉を使い、例え話や逸話を繰り出しながらわかりやすく説明しようとしてくれてはいるが、持ち出してくる例がアリストテレスとかマハーバーラタとかホフマンスタールとかやたら高尚で、繰り返しも多く、疲れるし面白くはない。

たぶんこの作者にはこれ以上やさしく書くことはできないだろうし、ここまで歩み寄って目線を下げても文句を言うわからん子ちゃんがいるなんて考えたこともないだろうし、もっと分かりやすくしてよって言ったらキレられそうな気もする。

しかし、同じテーマで、私のような物理数学赤点子ちゃんにももっと分かりやすく、もっと面白く書ける人は、世の中にきっといると思う。

邦題は、本書の趣旨にはそぐわない(著者は「時間は存在しない」とは言っていない)が、素晴らしい(原題は L'ordine del tempo『時間の順序?』)。

73点。

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